華の剣士

小夜時雨

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軍事同盟

覚悟 弍

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「世話になったな。」

  リョンヘ一行が淬の国を発つ日。朝焼けの余韻が残る空の下、リョンヘは一行の先頭に立ち、そうジンホに告げた。

「私の方こそ様々な意見を交わすことができて、貴重な時間だった」

  ジンホも相変わらず固い口調だったが、彼の表情には笑みが見てとれた。

「ではまた近いうちに会おう。」

  きっと燐と滓に面するあの国は、遠からず戦を仕掛けるだろう。そして、燐の内部自体も、混乱する。それをみな察しているからジンホは口にしたのだ。

「ああ、では。」

  リョンヘは輿に向かって歩き出し、ハヨンはリョンヘが輿に乗るのを手伝ったあと側に控えている馬に乗る。
  静かに一行は動き出した。城の前の大通りをゆっくりと進んでいく。開けた視界の先に、曇った空が見える。先程までは晴れていたのに急に天候が変わったのだ。

「こりゃ、一雨きそうだな」

  そんな誰かのぼやきが聞こえた。誰だろうと辺りを見渡すが、その声の主は見つからない。

「一雨どころじゃないだろう、大雨に違いない。この時期の天候は荒れやすいからな。燐の国は晴れているといいのだが。」

と囁き返す声も聞こえる。
  ハヨンの耳にも何やら遠雷の音が届いた。怪しくなる雲行きを見ながら、なぜこんなにも胸騒ぎがするのかハヨンにはわからなかった。

(なんだろう、でも城に入ってから私の嫌な予感は外れたことがない…)

  どうかこの悪い予感は外れて欲しいと願いながら、この頃ハヨン達は、まさかこんなにも早く事態が急変すると思いもしなかったのだった。





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