髪の子

大窟凱人

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死窓

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 ある町のはずれにある廃墟の窓を覗き込むと、自分の死に様が見える。都市伝説の類だ。


 夜、俺は大学の友人三人を誘ってその廃墟に行き、忍び込んだ。思い出作りの肝試し。飲み会でのネタにもなる。

「窓は二階の部屋。足元気を付けろ」

「ガチ怖い。昼間がよかった」

「昼じゃ映らねえんだよ」

「落書きだらけだね」

 暗闇の中、懐中電灯やランタンを駆使して進む。壁やドアはボロボロで、開きっぱなし。埃まみれの角材や家具の破片が乱雑に散らばっていた。ドキドキしながら二階に上がり、噂の部屋に到着。

 窓は確かにあった。

「じゃあ、いくぜ?」

 俺たちは順番に窓の前に立ち、自分の姿を見た。



「ど、どうだった?」

 全員、映った直後に青ざめていた。

「どうだったもなにも! 殺されてたよ! タクマにな!」

 タクマとは俺のことだ。みんな、俺に惨殺されている自分の姿を見たらしい。だが。

「まて、俺はお前らに殺されている姿を――」

 言い切る前に、ユウトが床に落ちていた折れた木材を拾った。

 他の二人も続々と。

 明らかに様子がおかしい。

「なななな舐めんなカス……」「う、裏切者がァ」「しね、しね、しね」

 呂律の回らない口調で責め立ててきたあげく、襲い掛かってきやがった!

 ガン、と頭に一発食らう。血が流れた。嘘だろおい。

 目がマジだ。

「う……あああああ!!」

 死を感じた途端、俺の中の何かが咆哮した。

 一人にタックルをかまし、後退させた後、俺も木材を手に取り、突き刺す。返り血が飛び散る。

 倒した。

 あと二人。やつらは同時に攻撃を繰り出す。上からの一撃は受け止めたが、腹に木の棒が突き刺さった。

 痛。

 だが叫んでいる暇はない。

 刺さった棒を掴み、返す刀で木材を槍のごとく突き刺す。相手の眼球に深くめり込み、絶叫。床に倒れ、もがき回ったのち絶命した。

 残るは一人。

「はぁ……はぁ……」

「しね……しねよ……」

 空気が張り詰め――そして破られる。

 剣道の試合のような一瞬。わずかに速く、俺の木材が相手の首筋をえぐった。



 部屋の中は、床も壁も血まみれだった。

 友達の惨殺死体が三つ、床に転がっている。



 くそっ、あの窓――! それになんだこの感じは。頭がおかしくなりそうだ。

 俺は窓を睨みつけた。

 そこに映っていたのは俺と、さっき殺したはずの三人だった。
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