元殺し屋だった俺は騎士団長に溺愛されているらしい

MICHE

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第1章 

第5話

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「おはよう、青年」
「あ、ん?」

窓から差し込む光を眩しく思いながら、掛けられた声に目を覚ました。

「うお!……なんだよ」

 昨日といい、俺はまたこいつに起こされたのか。

「いい寝顔だったな。あぁ、それと昨夜の飯はうまかったぞ」

あれを食べたのか。いつ帰ってきたのかは知らないが、口にあったなら良かっただろうか。

「お前、昨日から風呂に入っていないだろう。丁度いいから今から入ろう」
「一緒に入るっていうのか?子どもでもないのに」
「お前のとこの文化がどうかは知らないが、ここでは子どもも成年も関係ない。それに、きちんと話をするのにも多少寛いでいたほうが良いだろう」

 つまり、俺に聞きたいことがあるということ。日本の温泉に似た部分を感じつつ、話があるのはお互い様だと割り切って立ち上がる。タイミングを見計らって提案を持ち出すあたり、こいつは馬鹿ではないらしい。

「お前、今なにか失礼なことを考えなかったか」
「ふん」

 こいつは既に俺への警戒を無くしているように見えるが、本心はわからない。これから俺をどうするつもりだろうか。

「俺の家の風呂は大きいからな、ゆっくりとできるだろう。先に入っておけ。お前の分の着替えもついでに用意しておくから」
「あぁ」

 言われた通りリビングを抜けた先の廊下を渡って、風呂……というより温泉に辿り着いた。本当の温泉のように様々な種類があるわけではないが、雰囲気が温泉だ。手前の脱衣所に置いてあるカゴに身に付けていたものを入れ、中でかけ湯をした。やはり日本に似ているとはいえどもシャワーはない。
 数分ほど浸かっていると、奴が入ってきた。

「湯加減はどうだ?ここは騎士団ほど設備が整った場所ではないが、水なんかの管理は騎士団と同じだから心地よいはずだ」
「丁度いい」
「よかった。体はもう洗ったのか?」
「使い勝手が分からなくて軽くしかしていない」
「なら俺が流してやる。こっちへ来い」

 俺はぎょっ、としたが奴は本気で言っているようだ。

「野郎なんか洗ってもいいことないぞ」
「俺が拾ってきたんだ、面倒くらいきちんとみる」
「っ、」

 まるで拾ってきた犬や猫のような扱いにカチンときたが、そこは冷静に受け流す。癪に触るがこいつの言動には振り回されてばかりだ。

「あの桶を壁の魔方陣の前にかざすとお湯が出てくる。それで体を流すといい。それからその棚の石鹸で全身が洗える」

 簡単に説明しながら石鹸の泡をたてて俺の髪も背中も丁寧に洗い流してくれる。その間俺はゆっくりとした風呂の時間に胸のもやもやが絶えなかった。他人に背中を向けていることか、それとも体を洗われていることか。もしかしたらどこか感じている心地よさのせいかもしれない。

「よし、これで綺麗になったな」

 だんだんとうとうとしていたところで、風呂に声が響いた。

「ありがとう」

 俺がお礼を伝えると、奴は少し目尻を下げて優しい顔をした。

 
「早速だが、話を始めよう」
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