元殺し屋だった俺は騎士団長に溺愛されているらしい

MICHE

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第2章 

第16話

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 そうして、騎士たちを順番に相手しているうちに、騎士団の中に俺の居場所ができていった。食堂では他の騎士達とも話すようになり、なんともいえない温かさを感じている。
 俺は毎日朝ごはんを食べてから騎士団に向かう。夜もオルスタに送られて帰り、1人で晩ご飯を食べる。寝るためだけに帰ってきているようなものだが、もう1つ。アルゼオの朝ごはんと夜ご飯も用意している。この2週間近く、全くアルゼオと会うことはなかったが、冷蔵庫に入れているご飯は確実に無くなっているし、食べ終わった皿なんかもシンクにきちんといれてある。

 そして今日、最終日になった。誰もいない部屋に向かって行ってきますということも、もう習慣になってしまった。


「神子様、今日もよろしくお願いします!」
「本日の手合わせ、全力でいきます!」

 この2週間で一番気合いが入っている。真剣な眼差しで俺を見る奴らが、本当の仲間のようで懐かしさを思い出した。

「あぁ、俺も力を出すとしよう」

 そういうと、少しだけ嫌そうな顔をしていたのはあえてスルーする。最後まで短剣を持って、ミルから手合わせが始まる。

剣の鋼がぶつかる音かいつもより多く響いている。それは俺からも攻撃をしかけているからだ。避けるだけではなく、正面から剣で受け止める。久方ぶりに味わえる、剣に乗っかる重み。

「甘いぞ。もっと足に力をいれて踏ん張れ」
「はい!」

 ミルは額に汗を滲ませながら、返事をする。彼らは言われたことを素直に吸収する。そのおかげで、初日よりも本当に強くなった。彼らなら、この先きっと己の力を最大限に発揮した戦いが皆できるようになるはずだ。

「今日は最後だからな。3対1もやってみるか」
「本当ですか!俺、やりたいです!」
「僕も!」

 なんとなくの提案だったが、思ったより食いつきはよかった。昼飯と休憩を挟んで、最後の手合わせをした。

 好きなタイミングで、と言ったから、3人はどのタイミングで仕掛けるか考えているようだ。息の詰まりそうな緊張感が肌にひしひしと伝わっている。

「はっ!!」

 俺が右手の短剣をかすかに握りなおした瞬間、ミルが細剣を構えて走ってきた。

カキン!!!

 いつものように、剣を擦り合わせて力を受け流す。ミルは後ろに下がり、入れ違うようにフォンスの大剣が頭上に見えた。さらには、足元にマオの魔方陣が出ていた。足が捕らわれ、フォンスの攻撃を受け止める形になる。なんとか衝撃は下に流すことができたが、そのまま魔法により重力攻撃を受け、動きがとれなくなる。俺の背後から、ミルがとどめを刺しに、俺に向かって細剣を伸ばす。

「ぐはっ、」

 もちろんこれで終わることはなく、フォンスの腹に足蹴りをする。思惑が外れ動揺するマオに向かって短剣を投げる。しかし、マオは防御魔法を発動し、間一髪で避けられた。その間に隅に置いてあった箱から細剣を持ち出し3人に向き直る。ミルのところに向かうまでに、マオにも腹に足蹴りをいれる。ミルと何度か剣を交わした後、首もとに剣を添えた俺の勝ちで終わった。

「確かに皆強くなったが、今ので他にも鍛えるべきことができたな」
「うぅ、はい…」
「もっと強くなります……」

 他の騎士が3人に治癒魔法をかける。依然ぐったりとしているが、自信満々だっから、きっとメンタルもやられたんだろう。

「よく頑張った。みんなと手合わせができて俺も良かったよ」
「うぅ~神子様ぁ!!」

 ミルは涙を流してわんわん泣いていた。

「ははっ、なに泣いてるんだ」

 ミルは俺に抱き着いてきて、俺もそれを受け止める。

「神子様」

 ふと名前を呼ばれ、振り返る。

「…ん?オルスタか」
「はい、騎士団長が……」
「っ!」
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