非現実的転職~暗殺者から第二王子になりました~

赤寺 蘭兎

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突然ですが、王子だったそうです

家族と死神の我儘

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 ラモールの今後。このまま、暗殺者として生きるか。はたまた、このまま王宮で第二王子として生きるか。提示された選択肢は、この二つ。

(俺的には普通に今まで通りが良い。でも…)

 視線だけ動かすと、オルコと目が合った。彼は、ラモールに気が付くと薄く笑ってくれた。ラモールにはそれが、「好きにしな」と言われているような気がした。

「俺は…」
 
 『家族と笑って欲しかった。』

 誰でもない。家族からの願い。それを無碍にすることは出来ない。でも…

「俺は、王族になれるほどきれいな人間じゃないです。だから…」
 俺には無理です。そう言おうとしたが、
「さっきも言ったじゃない。資格があるか無いかじゃないのよ。」

 そう言ったのは、レモレントだった

「私達は、貴方がどうしていきたい来たいか聞いているのよ。過去の話じゃなくて、未来の話をしてるの。」

 この先、どうやって生きたいか。過去ではなく未来。自分がどうすればいいのか、ラモールには分からなかった。どの選択が正しいのか。考え込んでいた時、ラモールは昔、オルコと共に自分の家族について話した事があった事を思い出した。確かあの時は…

『ラモール。もしも、家族が出来たら…ラモールはどうする?』
『愚門だな…』
『お前と一緒じゃない生活なんて、ありえないさ。』
『それって…』
『いつか…本当の家族が出来ても、お前が家族じゃない生活なんて考えられねぇよ。』

そんな会話を思い出した。
(そうだ。俺はずっとこいつを待っていた理由。あいつと、昔みたいに暮らしたっかたんだ。仕事が違くても…。)

彼の中では、今でも一切変わっていない。例え、勝手に個人情報を話されていても、誘拐されても(流石に怒っているが…)それでも、大事な相棒だ。

「オルコも、家族になるならいい…」

 いや、それだけでよかった。馬鹿らしいと思われてもいい。これが彼の願い。ただの我儘だ。
 
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