漫画のような恋がしたい!

広瀬あかり

文字の大きさ
1 / 1

諦めない、絶対に!!

しおりを挟む
私の名前は佐久間愛夢さくまあむ(16)

あなたは信じる?白馬の王子様とか!ガラスの靴とか!
待って?普通の高校生シチュだったら定番は
登校中に曲がり角でぶつかってそれが実は転校生で隣の席パターンね。
これは外せない王道パターンよね、ね?そう思うでしょ?
私はいつだってそれを待っているの。
だって一度きりの人生だもの、夢は追いかけるものでしょう?

え?お前いくつだって?高校生なんて年齢はとうに過ぎてるだろ?
・・・・・なに?ふーん、そういうこと言うんだ。
じゃあ貴方に恋人の一人でもいるっていうの?見せてごらんなさいよ!私が査定して・・・

あ、いけないいけない、そんな時間じゃないの。
こう見えて私は忙しいの、ほら・・・今だって・・・

「おい!佐久間!佐久間伸子!聞いてるのか!何だこの企画書は!全部やり直しだ!!」

こんな・・・風に・・・

私の本当の名前は佐久間伸子、実際の年齢は39
社会に食いつぶされていくだけの・・・おばさん・・・
そして今は部長の前に立ち尽くすことしかできない・・・無能社員。

「佐久間さん、大丈夫?ほら席に戻って、ね?」

同僚に促されるまま自分のデスクに腰を落とす私は実績もなくノルマも達成できず間もなく左遷

「はぁ・・・こんな私を救ってくれる王子様はいないの・・・?」

ただの紙と化した企画書と現実に打ちのめされる日々、私の現実は過酷だ

ー昼休み、社員食堂ー

私はいつも決まった場所で食事を摂る、隅の誰からも見えにくい場所
ここが私の定位置、唯一落ち着ける場所。
でも、ここも最近変な男が現れる。

「隣、いいですか?」

ほら出た

「はい、どうぞ・・・」

会話はない、でもこの細身で眼鏡で見るからに陰キャのこの男は必ずこの席に座る。
この人も会社に居場所がないのだろうか。
汚れた作業服の恰好を見るにうちの部署ではない、隣の部署だろう。

どうでもいいけどね、私には関係ないし・・・

毎度黙々と食事を掻き込むその男の姿は見慣れていた

「もっとゆっくり食べればいいのに・・・食べ方は陰キャというよりもしっかり男って感じ。」

これがいわゆるギャップ萌えってやつ?はは、バカみたい。

あれ?

気が付けば、私はじっと見入っていた。

「えっと・・・なにか?」

さすがに視線に気づいたらしい、そりゃ・・・そうか、申し訳ない。

「いえ・・・いい食べっぷりだなと思いまして、失礼しました。」

私は椅子に座ったまま軽く頭を下げた。

「佐久間さん・・・ですよね?確か下の名前は・・・伸子さん、でしたっけ。」

これは今までにないパターン構成、いったいどういうこと!?
この男ルートが生まれた!?いや・・・いらないいらない・・・

「ど、どうして私の名前を?」
ここは平静を装う、これが最善
「隣の部署ですので、いつも狩野部長の怒鳴り声が聞こえるもんで・・・大変ですね。」
なんだ、同情か
「すみません、ご迷惑をおかけしております・・・」
男は何も言わずみそ汁を一口すする。
そして、覚悟の一つでも決めたように話し出す。

「ずっと、あなたのことが気になっていました、私は北川丈一郎といいます。」

は?何故このタイミングで自己紹介?

「北川さん・・・ですか。」
「はい、41のもう立派なおっさんですがもしよろしければ仲良くしていただけませんか?」

な、なにこれどういう流れ?
脳内は若干のパニック状態だ

「年齢は・・・私も39なので似たようなものです・・・よろしく、お願いします」

待って待って待って!何言ってるの私!?動揺のあまり自分でも何を言っているのか!?
こんな陰キャおじさんにこの私が興味なんてある訳ーーー

カチャ・・・安心したように丈一郎が不意に眼鏡を外した

「よかった、これからもご飯、一緒に食べてくれますか?」

ーーーーーそこには、私の白馬の王子様・・・もとい!
汚れた作業着姿の私の軽自動車の王子様(勝手なイメージ)丈一郎がいたーーーー


キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
間髪入れず私は即座に答える
「も、もちろんでございます!」

諦めなければ夢は叶う、本当にそうなのかも知れない
ちょっと完璧に理想通りとはいかなかったけれど・・・イケメンだから±0
まずは文通、ならぬ相席飯から私達の純愛物語は始まるーーー
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た

しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。 学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。 彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。 そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢(濡れ衣)は怒ったお兄ちゃんが一番怖い

下菊みこと
恋愛
お兄ちゃん大暴走。 小説家になろう様でも投稿しています。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...