世界の美しさを君に

広瀬あかり

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いつか君に届きますように

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いつからだろう?君が泣いているのは…
いつからだろう?僕の声が届かなくなったのは…
お願い、どうか泣かないで、君は僕の天使なのだから…

「ねぇ…ちょっとねぇってば!桜子聞いてる!?」
「……え?あ、ごめんごめん!どうしたの紅葉。」
「また考え事?最近ボーっとしてること多くない?大丈夫?」

会社のデスク、ああ…休憩中だったっけ

「そんなんじゃまた部長に詰められるよ?例のプレゼンだって…」
「分かってる、何とかするよ。」
「ねぇ…あんた、もしかして…まだ…」

“僕のことは忘れて、幸せになって、この美しい世界で”

気が付くと、私は会社を飛び出していた。
頭では分かっている、こんなのは就業規則違反だ。
今すぐ戻らなければ減給…いや解雇だって考えられる。
それでも・・・それでも・・・!!


どれ程走った?どれ程時間が経った?
気が付けば私は知らない丘の上に立っていた。

この街が…よく見える。
スマホはさっきからずっと振動している、紅葉か部長だろうな。
でもそんなものはどうでもいい。
知りもしない場所、何故私はこんなところに来たのだろう?

走り続けた肉体の限界か、私は息を荒げたままその場にドサッと倒れ込む。

「・・・・」

晴れた空も澱んで見えた
綺麗な空気も汚染されたガスのよう

「もう、よくない…?いくら頑張っても陽介は帰って来ない、私をこのまま…死なせて…?」

涙を流し、ぽつりと呟いたその時だった

「え?」

自分の周囲を光り輝く何かが飛んでいる
虫?そんな訳ない、なにこれ・・・?
私は驚いて飛び起きる。

縦横無尽に飛び回る“それ”はピタリと私の前で動きを止めた。
自然と手を差し出す、危険はないと…そんな気がした。
光の加減も一定ではなく強く光ったり弱くなったりと様々だ。

「あったかい・・・」

何故か自然と解れていく心
また涙があふれる

「もしかして・・・陽介なの・・・?」

その声に頷くようにピカッピカッと大きな輝きを放つ謎の光球

「どうして!どうして死んじゃったの!帰って来てよ!私はずっと・・・」

大きな光が 桜子 を 包む

「もう、戻れないんだ」
真っ白な空間で声だけがした
「やっと話せた、ごめんな桜子、もう泣かないでほしい」
いくら叫んでも、私の声は声にならなかった、陽介の声だけが聴こえる
「君を泣かせていたのは僕だったんだね、声が届かないのも当然か、僕は事故で死んでいたんだ」
徐々に声が遠くなる
「これは僕の最後の力、君の世界に色を戻してあげる、勝手なお願いだけど…どうか幸せになってほしい。」

白い世界が再び激しく輝き・・・気が付くと元の場所に戻っていた。

ピカッ・・・

え?薄暗かった世界に、一瞬色が戻ったがまた色褪せる

しかし・・・霧が晴れる様に・・・世界はまた美しく染まった・・・。
もう消えない、光り輝く世界がそこにはあった。

「心配かけてごめんね陽介・・・私、生きるよ・・・!」

こうして汚れた世界は美しさを取り戻し、彼女は再び人生を歩き始めるーーーー
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