4 / 46
目覚める戦士編
第4話 戦いに慣れし戦士
しおりを挟む
幕昰と合流した六問は怪人科の部屋を訪れ、共に入れるように頭を下げた。
「お願いします。もう1度この部署に入らせてください」
「そう言ってもねぇ。君は位が高いんだ。前線で働く必要はないんだよ。それに幕昰くん。六問くんはそもそも警察の人間ではない。我々にはZシリーズがある。もう彼に頼る必要はない」
上司に断言されてしまった幕昰はそれでも「お願いします」と頭を下げる。
すると光炎が隣に立ち、同じく頭を下げた。
「私からもお願いします。Z3の性能は六問さんを超えていません。量産化もまだ整っていないですし、Zシリーズを集結させるにもかなり時間が掛かるでしょう」
「光炎くん、君はZシリーズを過信しすぎている。そう言いたいのかね?」
「はい。製作者である私が言うんです。間違いありません」
彼女の熱弁に上司は大きな鼻息を立てると、腕組みをし始める。
そして口を動かした。
「分かった。しかしだよ。もし六問くんと幕昰くんが不祥事を起こしたらすぐに怪人科から出てってもらう。それでいいね」
その発言を聞き、安心した様子で「ありがとうございます」と感謝を幕昰は言った。
それから1日が経過、早朝に出動命令が出たZトレーラーはすぐに現場へ向かう。
運転するのは3人のチームで唯一の男性、鈴静スズメ。
30代前半で名前から女性だと面と向かう前に勘違いされるのがコンプレックスである。
カーナビの案内に従っていると現場に到着、車両を止めた。
如鬼はZ3を装着、六問も左手首の腕輪に右手をかざすと電気を纏ってザーガへと姿を変えた。
「六問、いつも通りやれば必ず倒せる。頑張れよ」
幕昰の応援にサムズアップし「はい!」と元気よく返事を返す。
白バイに彼女が乗り込むと、Zトレーラーの後方ハッチが開き出撃して行く。
「じゃあ俺も行って来ます」
「あぁ、任せたぞ」
ザーガは車両から降りると、高く跳び上がり、Z3について行った。
現場に到着すると乾涸びた死体が乱雑に放置されており、その真ん中に堕天使が立っている。
「ようやく来たか。強者よ」
その姿はまるで吸血コウモリと牛の幻獣ミノタウロスを融合させた様な物で、2本の鋭い牙、悪魔を彷彿とさせる2本の角、とんでもない筋肉質なブラウンの体、黒き装飾で身を包んでいる。
「お前! 罪のない人間を何人殺した!」
「罪のない? なにを言っている? 生きていることが罪の人間など、死んで当然だろう」
六問の怒りから放った叫びをバットタウロス・ダークエンジェルは不敵な笑みで返し、バトルアックスを召喚する。
『如鬼、無理は絶対にしちゃダメよ』
「分かりました。これより攻撃に入ります」
スキャンを終えた如鬼がサブマシンガン〈アーチャー〉の銃口を堕天使の左胸に向けて連射する。
「グワ!?」
全弾命中、敵が怯んだところでマガジンを取り外しリロードする。
しかし傷口をすぐさま再生させ、猛突進して来るバットタウロス・ダークエンジェル。
その速度あっという間に60キロを超え、バトルアックスを大きく振りかぶる。
「このぉぉぉ!」
そこにザーガが割り込むと角を掴み、勢いをそのままに投げ飛ばした。
だが黒き翼を大きく広げ荒々しく咆哮を上げると、その場で着地する。
「ふん。人間の強者とはその程度か」
「悪いけどあなたの能力とステータスは把握済み。倒す方法を知っている以上、ここで倒させてもらう」
「そうか、ではそれが事実か、やってみろ! ヲォォォォォォ!」
バトルアックスを構え再び突進を仕掛ける堕天使、それに対してZ3は白バイに収納された超振動ブレード〈セイバー〉を右腕に装着する。
止まらないバットタウロス・ダークエンジェルに剣先を向けると、腹を貫通し、大量の血が吹き出す。
あまりの勢いに負担が腕へと重くのしかかり「ウッ」と思わず声が出た。
「………あなたの能力は吸血した血を代償に自身を再生させること。再生を続ければいずれ底が尽き撃破可能」
「素晴らしい! 素晴らしいぞ人間! 戦いはこうでなければなぁ!」
人間の策士に喜びながら叫びを上げ、痛みに耐えながらバトルアックスを振りかぶる。
『躱して如鬼!』
「無理です。このまま攻撃を続行します」
大量の返り血を浴びながら命令に逆らい、リロードした〈アーチャー〉でゼロ距離射撃を繰り出す。
思わぬ攻撃に風穴が開けられ吹き飛ばされる堕天使、体を再生しきれず息を切らした様子。
だが戦いを楽しむ彼は高笑いを上げ、バトルアックスをブンブンと振り回す。
(如鬼さん、あの若さで戦いに慣れすぎている。攻めに躊躇がない。それは戦闘するには向いてるのかもしれないけど……)
彼女のその冷静さ、それを六問には諸刃の剣に見え、嫌な予感がするのだった。
「お願いします。もう1度この部署に入らせてください」
「そう言ってもねぇ。君は位が高いんだ。前線で働く必要はないんだよ。それに幕昰くん。六問くんはそもそも警察の人間ではない。我々にはZシリーズがある。もう彼に頼る必要はない」
上司に断言されてしまった幕昰はそれでも「お願いします」と頭を下げる。
すると光炎が隣に立ち、同じく頭を下げた。
「私からもお願いします。Z3の性能は六問さんを超えていません。量産化もまだ整っていないですし、Zシリーズを集結させるにもかなり時間が掛かるでしょう」
「光炎くん、君はZシリーズを過信しすぎている。そう言いたいのかね?」
「はい。製作者である私が言うんです。間違いありません」
彼女の熱弁に上司は大きな鼻息を立てると、腕組みをし始める。
そして口を動かした。
「分かった。しかしだよ。もし六問くんと幕昰くんが不祥事を起こしたらすぐに怪人科から出てってもらう。それでいいね」
その発言を聞き、安心した様子で「ありがとうございます」と感謝を幕昰は言った。
それから1日が経過、早朝に出動命令が出たZトレーラーはすぐに現場へ向かう。
運転するのは3人のチームで唯一の男性、鈴静スズメ。
30代前半で名前から女性だと面と向かう前に勘違いされるのがコンプレックスである。
カーナビの案内に従っていると現場に到着、車両を止めた。
如鬼はZ3を装着、六問も左手首の腕輪に右手をかざすと電気を纏ってザーガへと姿を変えた。
「六問、いつも通りやれば必ず倒せる。頑張れよ」
幕昰の応援にサムズアップし「はい!」と元気よく返事を返す。
白バイに彼女が乗り込むと、Zトレーラーの後方ハッチが開き出撃して行く。
「じゃあ俺も行って来ます」
「あぁ、任せたぞ」
ザーガは車両から降りると、高く跳び上がり、Z3について行った。
現場に到着すると乾涸びた死体が乱雑に放置されており、その真ん中に堕天使が立っている。
「ようやく来たか。強者よ」
その姿はまるで吸血コウモリと牛の幻獣ミノタウロスを融合させた様な物で、2本の鋭い牙、悪魔を彷彿とさせる2本の角、とんでもない筋肉質なブラウンの体、黒き装飾で身を包んでいる。
「お前! 罪のない人間を何人殺した!」
「罪のない? なにを言っている? 生きていることが罪の人間など、死んで当然だろう」
六問の怒りから放った叫びをバットタウロス・ダークエンジェルは不敵な笑みで返し、バトルアックスを召喚する。
『如鬼、無理は絶対にしちゃダメよ』
「分かりました。これより攻撃に入ります」
スキャンを終えた如鬼がサブマシンガン〈アーチャー〉の銃口を堕天使の左胸に向けて連射する。
「グワ!?」
全弾命中、敵が怯んだところでマガジンを取り外しリロードする。
しかし傷口をすぐさま再生させ、猛突進して来るバットタウロス・ダークエンジェル。
その速度あっという間に60キロを超え、バトルアックスを大きく振りかぶる。
「このぉぉぉ!」
そこにザーガが割り込むと角を掴み、勢いをそのままに投げ飛ばした。
だが黒き翼を大きく広げ荒々しく咆哮を上げると、その場で着地する。
「ふん。人間の強者とはその程度か」
「悪いけどあなたの能力とステータスは把握済み。倒す方法を知っている以上、ここで倒させてもらう」
「そうか、ではそれが事実か、やってみろ! ヲォォォォォォ!」
バトルアックスを構え再び突進を仕掛ける堕天使、それに対してZ3は白バイに収納された超振動ブレード〈セイバー〉を右腕に装着する。
止まらないバットタウロス・ダークエンジェルに剣先を向けると、腹を貫通し、大量の血が吹き出す。
あまりの勢いに負担が腕へと重くのしかかり「ウッ」と思わず声が出た。
「………あなたの能力は吸血した血を代償に自身を再生させること。再生を続ければいずれ底が尽き撃破可能」
「素晴らしい! 素晴らしいぞ人間! 戦いはこうでなければなぁ!」
人間の策士に喜びながら叫びを上げ、痛みに耐えながらバトルアックスを振りかぶる。
『躱して如鬼!』
「無理です。このまま攻撃を続行します」
大量の返り血を浴びながら命令に逆らい、リロードした〈アーチャー〉でゼロ距離射撃を繰り出す。
思わぬ攻撃に風穴が開けられ吹き飛ばされる堕天使、体を再生しきれず息を切らした様子。
だが戦いを楽しむ彼は高笑いを上げ、バトルアックスをブンブンと振り回す。
(如鬼さん、あの若さで戦いに慣れすぎている。攻めに躊躇がない。それは戦闘するには向いてるのかもしれないけど……)
彼女のその冷静さ、それを六問には諸刃の剣に見え、嫌な予感がするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる