チェンジソルジャーザーガ

ガトリングレックス

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バラダザ編

第17話 真実の戦士

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六問が目を覚ますと、そこはとあるキャンプ場。
照りつける太陽を浴びながら、寝袋から出てて最初に目に入ったのは紺色のジャンパーを着た見知らぬ中年の男性だった。

お米を炊いている鍋の火を調整しながらスマホで音楽を楽しんでいる。

「あのー」

「起きたね。ごはんがもう少しでできるから待ってて」

状況を飲み込めずあたりを見渡す彼に、男性は優しく微笑む。

「ほら、座りなよ」

「わっ、分かりました」

折りたたみ式のイスに座り、六問は視線を焚き火に送る。
すると男性が白飯を鍋からプラスチック皿に装い、そして温めていたレトルトカレーをかけた。

「君、カレーは好きかい?」

「はい! 大好きです!」

「良かった。じゃあ温かいうちにどうぞ」

皿とスプーンを手渡された彼は「いただきます!」と元気よく感謝の言葉を述べる。
カレーと白飯を掬い、口にするとピリリとからさの中にほんのり甘みを感じた。

「助けてくれてありがとうございます。あなたがいなければ今頃堕天使にやられていました。もしかしてゴアドさんと同じ………」

「違うよ。俺はザーガ、六問日叉ろくもんひささ」

思わずスプーンが止まり咽せる。

「ゴホ……ゴホ……何を言ってるんですか! 俺が六問日叉です!」

声を荒げる六問に男性の表情は変わらず微笑み続け、カレーを食べ始めた。

「どうしたんだい? 君も六問日叉、俺も六問日叉。それで良いじゃないか。自分が本物とか自分が偽物とか今言ってる場合じゃないだろう?」

落ち着いた様子で裾をめくると手首が光出し、ザーガの腕輪が現れる。
その光景に六問は動揺を隠せず、自分が六問だと言う自信が無くなる。

「俺は………俺はなんなんでしょう。怪人と戦った記憶も、幕昰さんとの記憶も、全部まやかしだったんですか………」

「………俺の知っている事。全部話すよ」

そう言って語り始めたのは六問にとって悲しき現実だった。

あれは20年ほど前、怪人の親玉のクワガタ怪人との戦闘を終え、ザーガはその場で倒れた。

蓄積したダメージで変身が解除される。

「終わったよ。みんな」

立ち上がる気力を失い、ザーガの腕輪の力で回復するのをその場で待った。

目を覚ますと病院に運ばれていたのか六問は病室のベッドで大の字に寝て………いや、拘束されていた。

「どうなってるんだ!?」

見覚えがあると思えば、そこはアレックスのいる研究所の実験室。

左のベッドにはアレックスが拘束され、こちらは気を失っている様だ。

「アレックスさん! アレックスさん!」

名を叫ぶが目を覚ます様子がない。
そんな時現れたのは見知らぬ50代男性の研究者だった。

「あなたですね! 俺達を拘束したのは! 早く解いてください!」

「良かろう。もう実験は済んでいるからな」

「実験? 一体なにを!」

六問の質問に研究者は鼻を鳴らし、狂気に満ちた笑みを浮かべる。

「ふん。良かろう。特別に教えてやる。分かりやすく言えば六問、お前のクローンを1人作成させてもらった。これが成功すれば量産兵器として利用できる。英雄は何人言っても良いからな。グハハハ!!」

「あなたの考え方は間違ってる! クローンにだって命がある! 心がある! それを兵器にするなんて!」

高笑いを上げる研究者に、彼は怒りに叫ぶ。
自分の模倣品を作られたことに怒っているわけではない。
作られたクローンに罪はない。
あるのはそれを利用する人間、六問にとってそれが1番許せなかった。

「私のクローン研究はいつもそうやって否定される。だがようやく成果が実る時が来たのだ! おっとこれ以上語ると失敗に繋がるからな。記憶を抹消してから返してやる。ガハハ!」


悪魔の科学者は記憶を消す特殊な装置を六問の頭に取り付けようとするが、危機を察したザーガの腕輪が強制的に古代の戦士へと変身させた。

「なっ、なにぃ!?」

拘束具を引きちぎり、ベッドから降りる。

「裏に影があるのは分かりました。でもザーガの力は人を守るためにある。あなたの野望、俺が打ち砕く!」

「人である私に手を出すのか? それも良かろう。お前が私を悪と見るならばな」

立ち上がったザーガは邪悪な考えを持つ者に指を指すと、科学者はニヤリと笑う。

「クローン技術を否定するつもりはありません。いずれ人間は人口を減らし、絶滅するでしょう。ですが彼らを兵器に転用すること、それは本意じゃないはずです。あなたは研究資金けんきゅうしきんを積み上げられ利用されているだけなんでしょう?」

彼の同情の言葉に笑みは怒りの表情へと変貌した。

「お前になにが分かる! 私のクローン技術を誰もが否定した! 人類を脅かすだの! 禁断の研究だの! だが唯一認めてくれた者達がいたのだ!」

「だからってクローンを兵器にする必要はなかったはずです!」

「今更止められん。すでに契約はみ、運び出されているのだから」

手遅れだと宣言する研究者に「本当に可哀想かわいそうな人だ」とザーガは哀れみながらアレックスの拘束を解き、おんぶする。

「あなたとは、協力関係でいたかった」

そう言いながら実験室を出ると、クローンの居場所を察知し向かうのだった。


真実を聞きうつむくと、六問は内容の衝撃に狼狽うろたえる。

「そのクローンと言うのが、俺なんですか?」

震え声で喋る彼に、本物の六問は優しく「そうだよ」と語りかける。

「あのあと赤ちゃんだった君を救出したんだけど、身分証明書がないのが分かった。それでアレックスさんが俺の記憶を一部コピーして自分が六問日叉だと思い込ませたんだよ。正直ひどいことをしたと後悔してる。他人の人生を押し付けて、成り代わらせた。ザーガの腕輪だってなければ普通の人として生きられたはずなのに」

「俺は別にあなたへ怒りとか憎しみなんて覚えてはいません。あるのはたくさんの疑問です」

受け入れる余裕なんてない。
しかしここで追求しなければさらなる真実に到達できない。
そんな気がしながらもお腹が鳴り、本物の六問はクスっと笑う。

「質問コーナーは食事を終えてからにしようよ。まだ君は育ち盛りなんだから」

「はっ、はい!」

返事を返しカレーライスを再び口へ運んだ。

ゆっくりと時間は過ぎて行き、時刻は午前8時を過ぎたところ。
2人は片付けを済ませ、赤い軽自動車に乗り込む。

「さてヒサくん、君は怒りに囚われるとザーガの腕輪に支配されてしまう。それを防ぐ方法があるんだ」

起動ボタンを押しエンジンを掛けながらそう言うと、駐車場を出てスマホのナビを利用し幕昰がいる警察署へ向かう。

「それは君がザーガの腕輪の事を理解してあげることだよ。黒き目に成るのはまだザーガに成りきれていない。不完全な状態なんだ」

「ザーガに変身できても、戦士としては未熟。と言うことでしょうか」

「その通り、俺の記憶があっても体が着いて行かない。知識があろうが技術がなければできないのと同じさ」

自分がいかに彼の記憶に頼ってきたのか。
如鬼に先輩ズラしたことが恥ずかしくなる。
こうして六問の運転でヒサは幕昰の元へ戻ることになった。

だが堕天使達がその跡を追っていることを2人は知らないのだった。
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