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第三幕 7場 カルール村の長い夜
第44話 ハーフエルフ
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「確かに私はエルフよ」
夕食後、皆の前で母さんはあっさりと白状した。
それでも俺は信じなかった。いや、信じたくなかったのだ。
なぜなら……
「では、ユーマ様はハーフエルフということになりますね……」
カリンが言った。
そう、母さんがエルフで父さんが人間。
俺たち兄弟はみな半分はエルフの血を受け継ぐハーフエルフ。
「でも、ユーマのお父さんは異世界から召喚された元勇者だったのよね。と言うことは異世界人とエルフのハーフということね。素敵じゃない!」
「何が素敵なんだよッ!」
俺は思わずアリシアに当たり散らしてしまった。
「ご、ごめんなさい……」
「いや、怒鳴ってすまん。でも……異世界人とエルフのハーフなんて大笑いだろう? 俺はこの世界の人間とは何の関係もない存在なんだぜ……」
雰囲気が悪くなってしまった。
でも、俺はこの世界の人間界にも魔族界にも属さない存在。
こんなにショックキングなことって……他にあるか?
「ユーマちゃま……元気を出してください。フォクスはこれまでもこれからも、ユーマちゃまのおそばにずっといますです!」
「カ、カリンもずっとそばにいますから!」
「ちょっとあなた達、アタシの前でよくそんなデレたことを言えたわねッ!」
アリシアが眉を吊り上げて声を荒げた。
二人は『ひえー』と慌てたが、アリシアは本気で怒ってはいない。
本気ならば同時に手が出ているはずだから。
そもそも俺たちは結婚はしたけれどそれも偽装だからな。
彼女が嫉妬する訳はないのだ。
「ところでユーマ殿の母君様――」
「は、母君様ァ!?」
カルバスの肩苦しい言い方に慣れない母さんは素っ頓狂な声を上げた。
「ん!? 拙者の言い方が間違っていますか?」
「い、いえ。何でしょうかカルバスさん?」
「母君様はご自身がエルフである事実をこれまでずっと隠してこられた。それなのに、なぜこの場で打ち明けたのでござるか?」
「あー、そのことか……それはね」
母さんは少し考え込むような仕草をとってから、アリシアの方を見た。
アリシアは突然視線を向けられて戸惑っている。
いや、違う。
母さんが見ているのはアリシアの後ろ髪に隠れていたハリィ。
ハリィはずっと彼女の首の後ろにしがみついていたのだ。
「悪魔さんが来てしまったのなら、もう隠し通すことは出来ないものねッ!」
ハリィに向かってウインクをした。
まるで少女のような純真な笑顔で。
ハリィはアリシアの肩の上に移動し――
「さすがはエルフ。汝には誤魔化しは通用せぬか、確かに我は悪魔ルルシェ。この子たちの創造主じゃ――」
ハリィの姿のままだが、口調は悪魔ルルシェそのものだった。
これにはカリンとカルバス、そしてフォクスが身を仰け反って驚いた。
ハリィの正体は俺とアリシアしか知らなかったのだから。
「しかし、これで謎が解明されたな。ユーマの半分がエルフなら、我の能力では鑑定出来ぬわけじゃ。エルフは悪魔や天使とは別次元の生態系で成り立っておるからな」
ルルシェは一人納得しているけれど……
「別次元って……どういう意味なんだ?」
「それには……うちの子たちにとっては辛い歴史の話をせねばならぬのじゃが……汝ら、それでも我の話を聞くか?」
ルルシェの言葉に魔人たちは互いに目を合わせた。
そして――
「ルルシェ様。アタシたちに真の歴史をお教えください。覚悟は出来ております」
アリシアは片膝を付いて頭を下げた。
「そうか……では話そう。世界の真の歴史を――」
ハリィは短い後ろ足と尻尾で立ち上がる。
そして、ゆっくりと話し始めた――
夕食後、皆の前で母さんはあっさりと白状した。
それでも俺は信じなかった。いや、信じたくなかったのだ。
なぜなら……
「では、ユーマ様はハーフエルフということになりますね……」
カリンが言った。
そう、母さんがエルフで父さんが人間。
俺たち兄弟はみな半分はエルフの血を受け継ぐハーフエルフ。
「でも、ユーマのお父さんは異世界から召喚された元勇者だったのよね。と言うことは異世界人とエルフのハーフということね。素敵じゃない!」
「何が素敵なんだよッ!」
俺は思わずアリシアに当たり散らしてしまった。
「ご、ごめんなさい……」
「いや、怒鳴ってすまん。でも……異世界人とエルフのハーフなんて大笑いだろう? 俺はこの世界の人間とは何の関係もない存在なんだぜ……」
雰囲気が悪くなってしまった。
でも、俺はこの世界の人間界にも魔族界にも属さない存在。
こんなにショックキングなことって……他にあるか?
「ユーマちゃま……元気を出してください。フォクスはこれまでもこれからも、ユーマちゃまのおそばにずっといますです!」
「カ、カリンもずっとそばにいますから!」
「ちょっとあなた達、アタシの前でよくそんなデレたことを言えたわねッ!」
アリシアが眉を吊り上げて声を荒げた。
二人は『ひえー』と慌てたが、アリシアは本気で怒ってはいない。
本気ならば同時に手が出ているはずだから。
そもそも俺たちは結婚はしたけれどそれも偽装だからな。
彼女が嫉妬する訳はないのだ。
「ところでユーマ殿の母君様――」
「は、母君様ァ!?」
カルバスの肩苦しい言い方に慣れない母さんは素っ頓狂な声を上げた。
「ん!? 拙者の言い方が間違っていますか?」
「い、いえ。何でしょうかカルバスさん?」
「母君様はご自身がエルフである事実をこれまでずっと隠してこられた。それなのに、なぜこの場で打ち明けたのでござるか?」
「あー、そのことか……それはね」
母さんは少し考え込むような仕草をとってから、アリシアの方を見た。
アリシアは突然視線を向けられて戸惑っている。
いや、違う。
母さんが見ているのはアリシアの後ろ髪に隠れていたハリィ。
ハリィはずっと彼女の首の後ろにしがみついていたのだ。
「悪魔さんが来てしまったのなら、もう隠し通すことは出来ないものねッ!」
ハリィに向かってウインクをした。
まるで少女のような純真な笑顔で。
ハリィはアリシアの肩の上に移動し――
「さすがはエルフ。汝には誤魔化しは通用せぬか、確かに我は悪魔ルルシェ。この子たちの創造主じゃ――」
ハリィの姿のままだが、口調は悪魔ルルシェそのものだった。
これにはカリンとカルバス、そしてフォクスが身を仰け反って驚いた。
ハリィの正体は俺とアリシアしか知らなかったのだから。
「しかし、これで謎が解明されたな。ユーマの半分がエルフなら、我の能力では鑑定出来ぬわけじゃ。エルフは悪魔や天使とは別次元の生態系で成り立っておるからな」
ルルシェは一人納得しているけれど……
「別次元って……どういう意味なんだ?」
「それには……うちの子たちにとっては辛い歴史の話をせねばならぬのじゃが……汝ら、それでも我の話を聞くか?」
ルルシェの言葉に魔人たちは互いに目を合わせた。
そして――
「ルルシェ様。アタシたちに真の歴史をお教えください。覚悟は出来ております」
アリシアは片膝を付いて頭を下げた。
「そうか……では話そう。世界の真の歴史を――」
ハリィは短い後ろ足と尻尾で立ち上がる。
そして、ゆっくりと話し始めた――
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