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王国大会編
三日目終了
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「大会三日目の全ての試合が終わりました。これで残す所明日の決勝のみになりました。今から興奮して今夜は寝れない気がします!」
「最後のボルガン選手が登場した時もヒヤヒヤしましたね。試合を始めるんじゃないかと思うくらいの迫力がありました。何をする訳でもなくボルガン選手は帰って行きましたが、明日はどうなるのか全く予想がつきません」
「全くもってその通りです。明日の決勝は何かが起こる。そんな気がしてなりませんね」
マネッティアとセルビアが三日目の締めと明日への期待を語って本日の大会は終了した。
選手専用通路ではカナードがコソコソ歩いていた。そんな情けない動きをしているカナードの後ろからノーゼンが声を掛けた。
「カナード」
「うおっ!脅かすなよ!」
「そちらが勝手に驚いただけでしょ?それより何をコソコソしてるのですか?」
ノーゼンの質問にカナードは少し黙ったが諦めた表情をして話し始めた。
「ノーゼンちゃんに会いたくなかったんだよ」
「どうして?」
「優勝するとか言ってカッコよく別れたのに速攻で負けて恥ずかしいだろ?」
「それを言うなら私だって恥ずかしいですよ。二人で勝手に盛り上がって馬鹿みたいじゃないですか」
二人は何だか気まずそうな雰囲気になっている。そんな空気を壊したのはカナードからであった。
「なあ、ノーゼンちゃんはカズマちゃんがやった最後の技はできるか?」
カナードの目は真剣であった。ノーゼンはその事に気付いており真剣に答えた。
「カナディアンデストロイヤーですか?練習すれば出来ますよ。カズマは何度もあの動きを訓練したのでしょう。エルロンやバフェットがいるので練習相手には困らないはずです。私だって訓練所では出来ます。しかしそれを……」
ノーゼンは言葉を詰まらせた。ノーゼンが言いたいことはカナードは分かり代わりに答えた。
「それを試合の中でやれたかって事か……」
「そうです。彼の凄さはその練習量と試合でやり切る覚悟を備えている事です。貴方は彼の訓練を見た事ありますか?」
「いや、無い」
「彼は別に特別な訓練をしてる訳じゃありません。何度も同じ動きを繰り返して身体に技を染み込ませているのです。試合で同じ動きができるよう」
「……」
「まあ、私もあの技を身につければ今度こそ貴方に勝てる訳ですから。練習しない理由はないですよ」
ノーゼンは勝ち誇ったように笑っている。
「止めろよノーゼンちゃん!あれ滅茶苦茶怖いんだぞ!それに試合中失敗したらダセーぞ!」
カナードは焦ってノーゼンを説得しようとしている。そんなカナードを無視してノーゼンは独り言を言いながら歩いていく。
「カナディアンデストロイヤー……いいですね。回転するのも美しい……」
「聞けよ!」
バンカーは会場から撤収しようと荷物を纏めていた。その動きは遅く、隣で見ているストロンガーを随分待たせていた。
「負けちゃいましたね」
ストロンガーはボソリと呟いた。その言葉にバンカーの手が少し止まった。
「ああ、完敗だ……」
ようやく荷物を纏めたバンカーは控え室から出た。お互い無言が続いていく。
「今度やったら勝てるのか?」
ストロンガーの質問にバンカーは間髪入れずに答えた。
「勝つ、必ずだ」
それを聞いたストロンガーは安心した。バンカーの心は折れていない。諦めていないのだ。
「なら、そんな顔すんなって。外出たらアンタの追っかけが待ってるぜ?」
ストロンガーはバンカーの背中をバシバシ叩いてバンカーを元気付けた。
競技場から出るとバンカーのファン達が大勢の待っていた。バンカーの顔を見ると皆心配そうに声を上げた。
「大丈夫か!バンカー!」「また今度勝とう!」「次こそやってやれ!」
バンカーは自分が情けなくなった。観客を心配させて、何が人の為にプロレスをやるだ。自身の信条を忘れかけていた。
バンカーは大きく息を吸い、そして応援の声に応えた。
「当たり前だ!次こそボルガンの野郎をぶっ倒す!約束する!」
その言葉を聞き観衆は大いに湧き立った。
その後バンカーは試合で結果を残せず心配させてた償いとして全てのファンと言葉を交わしてファンサービスをした。
それは日が落ちるまで続き、いつまで経ってもバンカーの前から人がいなくなる事は無かった。
「いつまでやるんだよ……」
そんな状況を見てストロンガーは愚痴をこぼしめ、早々に一人で宿に帰っていった。
カズマ一行は宿で食事をしていた。話題はもちろん今日の試合の事だ。
「まさか本当にカナディアンデストロイヤーを使うとは……」
バフェットは驚きと尊敬を持って呟いた。
「バフェットとエルロンが練習を手伝ってくれたおかげだ」
カズマは二人に感謝の言葉を述べた。
「そんなカズマさんの実力です、でもカズマさんのお役に立てて嬉しいです」
エルロンは照れ臭そうにしている。バフェットはカズマに質問した。
「ところで、もし失敗してたらどうやって立て直しました?」
「立て直す事は無理だろう。あの場で失敗したら俺の負けだった」
「そんな状況で使ったんですか……」
エルロンは驚きのあまり絶句した。
「そうだろ。あそこで技を失敗すれば観客は冷めちまう。それなら俺は勝つべきじゃないだろ。残念だが実力不足だったって事だ」
カズマの発言は周りの選手に重くのしかかった。そんな中ベアルが口を開いた。
「試合の反省もいいが、それよりも明日のボルガンはどうやって戦うつもりじゃ?また何か特訓でもするのか?」
その言葉にエルロンも賛同した。
「そうです!僕に何か手伝える事はありますか?」
二人の質問にカズマは即答した。
「いや、特にない」
「「え?」」
誰もが驚きのあまり声を出した。
「特に無いって作戦とかそういうのは?」
バフェットは慌てて質問する。
「あいつは何か対策したら勝てるとかそんなんじゃないだろ。全てを力でねじ伏せてくる。なら俺に出来る事は一つ。俺のプロレスをぶつけるだけだ」
「最後のボルガン選手が登場した時もヒヤヒヤしましたね。試合を始めるんじゃないかと思うくらいの迫力がありました。何をする訳でもなくボルガン選手は帰って行きましたが、明日はどうなるのか全く予想がつきません」
「全くもってその通りです。明日の決勝は何かが起こる。そんな気がしてなりませんね」
マネッティアとセルビアが三日目の締めと明日への期待を語って本日の大会は終了した。
選手専用通路ではカナードがコソコソ歩いていた。そんな情けない動きをしているカナードの後ろからノーゼンが声を掛けた。
「カナード」
「うおっ!脅かすなよ!」
「そちらが勝手に驚いただけでしょ?それより何をコソコソしてるのですか?」
ノーゼンの質問にカナードは少し黙ったが諦めた表情をして話し始めた。
「ノーゼンちゃんに会いたくなかったんだよ」
「どうして?」
「優勝するとか言ってカッコよく別れたのに速攻で負けて恥ずかしいだろ?」
「それを言うなら私だって恥ずかしいですよ。二人で勝手に盛り上がって馬鹿みたいじゃないですか」
二人は何だか気まずそうな雰囲気になっている。そんな空気を壊したのはカナードからであった。
「なあ、ノーゼンちゃんはカズマちゃんがやった最後の技はできるか?」
カナードの目は真剣であった。ノーゼンはその事に気付いており真剣に答えた。
「カナディアンデストロイヤーですか?練習すれば出来ますよ。カズマは何度もあの動きを訓練したのでしょう。エルロンやバフェットがいるので練習相手には困らないはずです。私だって訓練所では出来ます。しかしそれを……」
ノーゼンは言葉を詰まらせた。ノーゼンが言いたいことはカナードは分かり代わりに答えた。
「それを試合の中でやれたかって事か……」
「そうです。彼の凄さはその練習量と試合でやり切る覚悟を備えている事です。貴方は彼の訓練を見た事ありますか?」
「いや、無い」
「彼は別に特別な訓練をしてる訳じゃありません。何度も同じ動きを繰り返して身体に技を染み込ませているのです。試合で同じ動きができるよう」
「……」
「まあ、私もあの技を身につければ今度こそ貴方に勝てる訳ですから。練習しない理由はないですよ」
ノーゼンは勝ち誇ったように笑っている。
「止めろよノーゼンちゃん!あれ滅茶苦茶怖いんだぞ!それに試合中失敗したらダセーぞ!」
カナードは焦ってノーゼンを説得しようとしている。そんなカナードを無視してノーゼンは独り言を言いながら歩いていく。
「カナディアンデストロイヤー……いいですね。回転するのも美しい……」
「聞けよ!」
バンカーは会場から撤収しようと荷物を纏めていた。その動きは遅く、隣で見ているストロンガーを随分待たせていた。
「負けちゃいましたね」
ストロンガーはボソリと呟いた。その言葉にバンカーの手が少し止まった。
「ああ、完敗だ……」
ようやく荷物を纏めたバンカーは控え室から出た。お互い無言が続いていく。
「今度やったら勝てるのか?」
ストロンガーの質問にバンカーは間髪入れずに答えた。
「勝つ、必ずだ」
それを聞いたストロンガーは安心した。バンカーの心は折れていない。諦めていないのだ。
「なら、そんな顔すんなって。外出たらアンタの追っかけが待ってるぜ?」
ストロンガーはバンカーの背中をバシバシ叩いてバンカーを元気付けた。
競技場から出るとバンカーのファン達が大勢の待っていた。バンカーの顔を見ると皆心配そうに声を上げた。
「大丈夫か!バンカー!」「また今度勝とう!」「次こそやってやれ!」
バンカーは自分が情けなくなった。観客を心配させて、何が人の為にプロレスをやるだ。自身の信条を忘れかけていた。
バンカーは大きく息を吸い、そして応援の声に応えた。
「当たり前だ!次こそボルガンの野郎をぶっ倒す!約束する!」
その言葉を聞き観衆は大いに湧き立った。
その後バンカーは試合で結果を残せず心配させてた償いとして全てのファンと言葉を交わしてファンサービスをした。
それは日が落ちるまで続き、いつまで経ってもバンカーの前から人がいなくなる事は無かった。
「いつまでやるんだよ……」
そんな状況を見てストロンガーは愚痴をこぼしめ、早々に一人で宿に帰っていった。
カズマ一行は宿で食事をしていた。話題はもちろん今日の試合の事だ。
「まさか本当にカナディアンデストロイヤーを使うとは……」
バフェットは驚きと尊敬を持って呟いた。
「バフェットとエルロンが練習を手伝ってくれたおかげだ」
カズマは二人に感謝の言葉を述べた。
「そんなカズマさんの実力です、でもカズマさんのお役に立てて嬉しいです」
エルロンは照れ臭そうにしている。バフェットはカズマに質問した。
「ところで、もし失敗してたらどうやって立て直しました?」
「立て直す事は無理だろう。あの場で失敗したら俺の負けだった」
「そんな状況で使ったんですか……」
エルロンは驚きのあまり絶句した。
「そうだろ。あそこで技を失敗すれば観客は冷めちまう。それなら俺は勝つべきじゃないだろ。残念だが実力不足だったって事だ」
カズマの発言は周りの選手に重くのしかかった。そんな中ベアルが口を開いた。
「試合の反省もいいが、それよりも明日のボルガンはどうやって戦うつもりじゃ?また何か特訓でもするのか?」
その言葉にエルロンも賛同した。
「そうです!僕に何か手伝える事はありますか?」
二人の質問にカズマは即答した。
「いや、特にない」
「「え?」」
誰もが驚きのあまり声を出した。
「特に無いって作戦とかそういうのは?」
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