俺が誰って? 只の‥乙女ゲームを恋愛抜き(希望)でクリアしたいごく普通のDKですが? 

文月

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58.ライ様とでぇと。

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「これは何!? 」
 市場は控えめに言っても‥楽しかった。
 海外旅行に来た気分だ。
 海外には違いないんだが、ここに来てこんなに楽しかったのは初めてだ。
 学校がある街でも市場には行ったことがあるが、ここのそれは‥なんてかな、スケールが違った。
 地元のスーパーマーケットとデパート位違う。
 デパートってか、ショッピングモール? 食料品だけじゃなくて衣料品も売ってる‥みたいな。母親が妹に「買い物一緒に行く? 」ってスーパーに誘ってもいかないけど、そこなら「行く」「服買って」っていう‥みたいな? 俺? 俺は行かないかな。服とかも別に興味ないし、そもそも、人が多いのって面倒だよ。でも、時々「お兄ちゃんも服とか買った方がいいよ‥。いつもその服じゃん‥」って妹に呆れ顔されて、連れていかれる。で、行ったら行ったで余計なものを買っちゃったりする。アウトドアの店の靴とか、上着とか。ああいうのって、品質がいいんだよね。丈夫だし。デザインは二の次か? って言われるとそうでもなくて機能的で無駄がなくお洒落な感じ。‥高いんだけどね。そもそも、「山靴とか買っても山とか行かないでしょ」「普段履きには勿体なくない? 汚れたら手入れしにくいじゃん。しかも‥重いし」って感じなんだけどね。でも、好きなものを履いてるってテンション上がるよ。ってか、好きじゃないもの買う意味なくない? 
 つまり俺は「ちょっとゴツイ機能的なスタイル」が好きってこと。でも、そればっかりもゴツクなり過ぎちゃうから、例えばジャケットと靴はそれだけど、アンダーやパンツはカジュアルな奴‥みたいな感じ‥にしてる。 
 ま! お洒落とは程遠いんだけどね~。
 ってな感じで、出不精な俺でもそこそこ楽しい大型ショッピングモール風市場。しかも、(それに加え)プラス海外旅行に来たっていう特別感。
 自然とテンションもあがる。
 それはでも、俺だけじゃなかったみたい。
「魔女の街だから魔道具も結構売ってるんだ。これは、ランプ。ロウソクや油の代わりに火の属性の魔石を使っている。これは、水筒。水魔法の魔石が底にはいっている。水がない場所に行くときに重宝される」
 ライ様は、俺が聞く前から色々と商品の説明をしてくれた。
 目がキラキラしてる。
 俺に説明してるっていうより「聞いて聞いて」って感じ。どこの世界もオタクは同じだね~。わかる~。
 聞いてる俺も全く興味ない話だったら「ハイハイ」って話半分に聞くんだろうけど、珍しさとあと‥ライ様の話のうまさでどんどん引き込まれていく感じ。‥まあ、「楽しい」雰囲気にのまれちゃってるって理由が大きいんだろうけどね(笑)
「へ~面白いね」
 俺は今、必要最低限のお金しか持ってないけど、もし、余分にお金を持ってたらくだらないもの無限に買っちゃいそうなくらい楽しかった。
 水属性は俺も持ってるから、普通は必要ないんだけど、なんかああいうの見ると「いるかも」「欲しいかも」っておもっちゃうよね。
 商売上手~☆
 色々見ながら、
「成程~。こういうのって魔女が作るの? 」
 ってライ様に聞くとライ様が、ふふって笑って
「いいや? 」
 って言った。こんな上機嫌なライ様初めて見る。よっぽど魔道具が楽しいんだろう。なんか嬉しいな。
 俺はそのライ様の「楽しい気持ち」を壊さない様に、
「だって、魔女の街って‥」
 首を傾げながら「教えてください先輩」スタイルだ。(社会人必須スタイル)
 ライ様はさらに上機嫌に、
「魔女は、実用品は‥いや、言い方が違うな。生活に必要な商品は作らない。それは魔女の仕事ではない」
 って言った。 
 ‥なんか自慢気に。魔女好きなのか? 
 つい笑ってしまいそうになったがそこは勿論我慢だ。俺だってそこで笑われたら、なんか嫌だ。 
 ここは、黙って聞くが、正解だ。
 俺はでも、興味に負けて
「じゃあ、どんなものを作るの? 」
 って聞いてしまった。
 ライ様はぱっと目を輝かせて(よかった「黙って話聞け」ってならなくて‥)
「そうだな‥これなんかが魔女の作った物だね」
 って言った。ライ様が指さしたものは‥
 恋に効く鈴♡。
 うわ~おまじないグッズ? なんかうさんくさ~。
 鳴らせば魅力アップ「チャームの鈴。1回分」「チャームの鈴。5回分」髪の毛ツヤツヤ「チャームの櫛。1回分」「チャームの櫛。5回分」気になるあの子に会えるかも? 「ドキドキチャンスお守り」あ。ドキドキハーブポーション。
 何? その1回or5回。俺が商品をガン見していると、
「一回ってのは、お試し様だね。で、お気に召したら5回を買う。なぜ、5回かっていうと、それがこの商品の‥素材としての限界だから。例えばこの鈴には、5回分くらいのおまじないしか掛けられないってことだな」
 じゃあこの櫛もそうか? って話なんだけど‥まあ、「それ位が妥当」って感じなのかな。
 気に入った人は、一人で何個も5回分って奴を買っていくらしい。
「あ~魔女はおまじない使いって言ってたもんな」
 成程、魔女はそういうのを売って生計を立ててるってことか。
 俺は(勝手に)納得して頷いた。
 しかし‥「お試し」してって‥効果があったかどうかは「見るからに」分かるのか? それとも「そんな気がする」位のものなのか? ちょっと気になるけど、別に髪の毛サラサラになってもなあ。俺、そんなに髪の毛長くないから多分効果を実感できない。効果を実感できる程の長さがあるのは、レオン様やライ様だけど、二人とも何にもしなくてもサラサラだから必要なさそう。
 アレだ。乙女ゲームの攻略対象効果。
 だけどなんか可愛いな~。恋する女の子がこういうの「好きなあの人を振り向かせたい♡」って買うんだろうな~。
 そう想像してなんかほっこりした。
 でも‥
「でも、こんな平和なもん作ってる魔女が魔界(みたいな物騒なところ)に住んでるって変だねえ」
 俺が首を傾げながら聞くと、
「ここで売ることが出来るのはこういう商品だけってことだよ。魔界での魔女は違う」
 つまり、おまじないじゃなくて、「魅了の魔法」とか「強制追尾」「居場所追跡」「強制自白」なんかの「物騒な」薬を作っているってこと。‥そういえば、ルミエルも「情報強制開示」してたもんな。
 ‥でも、それはジーナ先生の望む「おまじない使い」とは違う「ガチ魔女」だ。ジーナ先生はルミエルが「そう」なることは望んでなかった。「だから」魔界から逃げて来たルミエルを匿ってるのだろう。もしかしたら、匿う代わりに弟さんのカイル君を助ける代わり‥とかかもしれない。
 あ、カイル君ていうのはね、ジーナ先生の弟さんなんだ。ルミエルに聞いたんだけど、魔力が多かったカイル君は幼い頃誘拐されて、どうやら魔界に居るらしい。魔界に行くには魔女にならなきゃ! ってジーナ先生はおまじないを学んだんだけど、魔女になる適性がなくって魔女になれなかった。つまり魔界に行けなかった。で、ルミエルに「カイルを見つけて助け出して! 」って願いを託した。‥まあ、普通だったら「なんで私が」ってなるだろう。だけど、ジーナ先生に借りが出来たルミエルは最終的にはこのお願いを聞くことになるんだろう。
 ‥魔王討伐が終わったら手伝ってあげようと思う。
 魔王がいる間は、魔界は「通常より」荒れるらしいから。よくわからんけど、なんか「ヤバい気」が魔界に充満するんだって。
 だから、魔女希望者も魔王がいる間は就職者が少ない。逆に就職する人間は、100%ヤバい奴ってことだろうね。きっと、魔女とかいい人ばっかりじゃないだろうから。例えば、魅了の魔法って‥普通にヤバない??
 そういう「ヤバい奴」が待ち望んでた魔王復活期。
 魔界にだって「人間と共存して適当に平和に過ごしてたら員じゃね? 」って魔族だっているだろう。言うならば平和主義者の「新時代推進派」そういう魔族からしたら、魔王復活期の「ヤバい気」が魔界に充満する時期は「ヤバいよな~」って時期なんだと思う。逆に、「魔界がこの世を支配するゼ! 」的なヤバい奴にとっては「来た来た~! 」って時期なんだろう。そんな時期に弟さん助けに行くとか、無理じゃね? 
 ‥多分ね、何にも考えてない奴が大半何だと思う。推進派も過激派も小数で、殆どは「普通に暮らしてる魔族」。その割合は魔王復活期だってそうは変わらないだろうけど、もしかしたらパワーバランスが変わるかもしれないしね。数ではなく、力的に。
 無駄に危険度を上げたくない。
 「ヤバい気」か~。予想だと、聖魔力(神聖力? )と逆の気なんだろう。俺たちからしたら、逆パワースポット的なもんになる‥感じ? 「ここ‥なんか、めちゃ居心地悪いわ~」って思うんかな? 逆に魔族には「ここに居るだけで力が漲る‥っ! 」ってなる。(想像)なんか‥ホント、別世界だよな。魔界って。得体がしれない。そんなところに、俺たちはこれから行くわけで‥
「魔界の魔女‥かあ。なんか怖いね」
 俺はぽつり‥と呟いた。ほんと、ポツリ‥口から思わず出ちゃったって感じ。
 魔族ではない。でも、「悪い魔族」寄りの考えを持った「悪い(あくまで人間からしたら、だ)」魔女。
 ライ様は頷いて
「大丈夫だ。魔女は、こちらが何かをしない限り悪さをしてくるわけではない」
 って言った。
 なぜって、生まれながらの魔族じゃなくて、普通に人間だから安心しろ。ってライ様は言葉を続けたけど、俺は到底安心できなかった。
 だって、寧ろさ、それってある意味魔族より怖くない?人間だからこそ「寧ろ」エゲツナイ気もする‥。
 因みに、人間寄り‥つまりおまじない使いの魔女は、寄りは世間では「ホワイトウイッチ」というらしく、魔界寄りの魔女を「ブラックウイッチ」と呼ぶらしい。(なんか、ホワイトハッカー、ブラックハッカーみたい‥)
 ブラックウイッチ。つまり黒魔女は怖いけど‥今は考えるのは良そう。(怖がってても仕方がないからね)
 そう思って店の賞品に視線を戻す。
 可愛らしい、如何にも女の子の好きそうな商品ばかりだ。
「ホワイトウイッチは、恋関係のグッズしか作らないの? 」
 小声でライ様に聞くと、ライ様は軽く首を振って、
「よく売れるから店頭に置いてるだけだろうね。他には、嫌いな子の頭に鳥の糞を落とすおまじない、とかも地味に売れるらしいよ。でもそういうのは、店頭には置かない」 
 って言った。
「あ~‥」
 乙女が鳥のフンって‥。
 まあ‥気持ち分かるけど。でも、もうちょっと穏やかに‥バナナの皮で足を滑らせるとか、横を走る車が泥水はねていく‥とかで止めてあげて欲しいなあ‥。フンは、洒落なんないよね。なんか「うわ~きたねえ! 今すぐ家に帰ってシャンプーしなきゃ! 」ってなるよ。
 その後、ちょっと店内を見ていたら「もしかして聖女様ですか? 何かお探しですか? 」って店主さんが寄ってきたから「いえ、見せて頂いただけですありがとうございます」って営業スマイルを浮かべて店を出た。
 ‥でも、魔女じゃなくても、聖女グッズとか作ったら売れるかも。「置いてたら空気が綺麗になる(気がする)壺」とかいいかも‥。
 そんなくだらないこと考えてたら、目の前にいい匂いの串焼きが差し出された。さっぱりとした果実水のおまけつきだ。
「はい。これタツミの。甘いものもいいかなって思ったけど‥甘いものはタツミが作った物の方がおいしいから」
 って照れ笑い。
 キュン‥‥‥
 ‥やっぱり、ライ様も顔が‥いい。そして、イイ奴。その上‥褒め上手。
 これは‥
 (お笑い芸人のネタじゃないけど)惚れてしまうやろ!! 
 串焼きは文句なしに美味しくって、俺はライ様との距離がほんのちょっと近くなったように感じたのだった。
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