今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

文月

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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

ハヅキの結婚式。そして、ハヅキとナガツキ

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 ドレスはシンプルに白一色。装飾はダイヤモンドのあしらわれたシルバーのネックレス。ブーケは赤系統であったかいイメージで。青も素敵だけど、オズワルドさんの色を持ちたい。それは譲れない。
 アンバーの瞳と金茶の髪のオズワルドさん。アンバーはオレンジ色っぽいブラウン。琥珀の色。セピアほどシブくない‥あったかい茶色って感じ? チョコレートコスモスほどは濃くないイメージ。
「それに‥コスモスはちょっとイメージじゃない。薔薇も違う‥」
 あたし的にコスモスは線が細すぎるし、薔薇は華やか過ぎる。情熱的な赤い薔薇じゃなくて落ち着いた深紅の‥それも咲きかけの薔薇を使うんだったら華やか過ぎずオズワルドさんのイメージからもそう離れないんだけど、今日はさ、そんな‥「生まれた時から主役」じゃない花を使いたいなって。
 で、夕日の様なあったかい落ち着いた色居合の、黄色っぽい赤のダリアを選んでみました。
 ダリアは切り花としての寿命もそう長くないからこの国ではそう人気がない。大輪の花を咲かして華やかだけど、茎が薔薇ほど丈夫じゃないから扱いにくいから花屋があんまり仕入れたがらないから流通量も少ない。あと‥実はあたし的にも「好き! 」って花でもないんだけど(ゴメンね)、今日の大人でオリエンタルなドレスのイメージには合うかなって。ドレスを邪魔しない。さりげなく花を添える‥そういうの大事。花屋にはなかったから我が家の温室からもらって来ました。
 実はこの花を初めて見た時「オズワルドさんの瞳の色だ‥」って思って苗を購入して育ててもらったんだ。
 偶然の出会いって‥運命を感じるよね。
 この花との出会いは、ホント偶然で‥たまたま行った市場で、野菜を売る農夫婦の傍らでまだ幼い孫娘が畑で育てた切り花なんかを売ってたのをあたしがたまたま見つけたって具合だった。
 ダリアで、しかも大輪でもない地味な花。丈も子どもが育てた様なものだから長くもない。だけどその色を見た瞬間、あたしは目が惹きつけられた。「ああ、夕焼けの空の色‥オズワルドさんの色だ‥」って思った。その場ですぐに農夫婦に頼み込んで苗を少し分けてもらう約束をした。孫娘も「そんなに気に入ってくれたならいいよ」って承諾してくれて、彼女とは今では「お友だち」だ。(勿論一緒に遊ぶとかではない。見掛けたらその子から花を買う‥そんな「気前のいい顧客」と売主って感じだ)
 こないだ市場に行ったときあの時の花をブーケに使うって話をしたら、あの子にまで
「え!? あの花をブーケにするの? 」
 って驚かれちゃった。
 というのも‥この国のブーケといえば、赤系なら赤い薔薇、清楚な白系ならカサブランカ、青系ならブルースターって感じで「当たり前」が固定されちゃってるんだ。「そういうのが望ましい」って感じじゃなくて、もう、「それが常識」「それ以外は許せない」「それ以外とか‥変なの」って感じで‥頑固に決めつけちゃってる感じ。あたしには‥何故だか「いまだに」慣れない。

 ずっとここで暮らしてて、ここでの生活しか知らないのに変なの‥ってそれがずっと気になってる。

 だってさ、おかしいじゃん? 頑固で頑なな人たちばっかりってちょっと変だよ。「そういう人(頑固で頑なな人)」もいてもいいけど、そんな人ばっかりじゃなくって、色んな人がいて、自分と違う意見の人の考えも尊重されるべきじゃない? それが普通だよ。「アンタ頑固だよね」って言われない方が変だと思うんだ。なのに‥あたしからしたら普通のあたしが「変だよね」って言われるって腑に落ちない。って口にしたら「変な人って大概そういうよね」「自分が変だって気付かないんだよね」って言われるだろうな‥って思った。
 いや違うそういう話じゃない。
 だって!! 変だよ。
 オズワルドさんにしてもそう。
 あたしは「カッコイイ!! 」って思うけど、皆はそう思わない。あたし(とナガツキさん以外)オズワルドさんをカッコイイって思わない。(お兄さんたちは顔のことについては全然触れていない。あと‥ナガツキさんの洗脳)
 ‥そんなことってある?
「人それぞれ顔が違うと同じで人の好みも人それぞれでしょ? 」
 ってあたしは思うんだけど
「赤い花を見て皆「赤い」って思うでしょ? 「青い」とは思わないでしょ。それと一緒だよ」
 って皆はいうんだ。「分かってない」あたしに分かるように‥説明してくれるんだ。ご親切に。
 いやいや。
「赤にも色々あるでしょ」「薄い赤は嫌いでも、濃いい赤は好き‥とかあるわけじゃない。仮にね、赤=好き、青=嫌いという法則を作るとする。深紅が好きのMAX、嫌いのMAXが濃紺ってことになる。それはいいよね? 」
 ってあたしが言うと
「そういう例えで話すんだね? 」
 ってあたしの意見を聞いてくれた。コイツは‥存外イイ奴かもしれない(頑固野郎だけど)。話し合いはお互いを理解する第一歩ですからね。
 だけど、あたしが小さく頷いて、
「赤は好き。青は嫌い。じゃあ赤っぽい青は? 世の中にはそんな色はあるよ? 嫌い寄りの好きにならない? 」
 って言ったら、
「赤っぽい青は‥赤とは言わないでしょ? 」
 って思いっきり苦笑された。
 極めつけは、
「それは、紫でしょ。つまり、赤(好き)とも青(嫌い)とも別のものだ。つまり、やっぱり赤は赤で、青は青でしょ」
 って真顔で言われちゃった。
 コイツ‥全然分かっちゃいねえ。
 つまり、コイツが納得してくれたのはあたしの設定だけで、あたしの意見そのものじゃないってことだ。
 あたしに「教えてあげる」ためにあたしが分かりやすいようにあたしの意見を尊重してくれるが、自分の意見は変わらないってやつなのだろう。
 ああ! どう言ったら分かってもらえるんだ!! って黙ったら、「親切な人」は得意げに
 深紅(「好き」のMAX) 超美人(世の中に0.1割いない位)
 赤寄りの色 赤に近い程美人。(2割いるかいないか)
 紫 普通。(その他大勢。沢山いる)
 青寄りの色 青に近い程嫌い。(こりゃまた2割いるかいないか)
 濃紺(「嫌い」のMAX) 超不細工(世の中に0.1割いない位)
 っていう「世の常識」をに(←もはや、有難迷惑)教えてくれた。

 めっちゃ、赤が嫌いになったね!!

 別に実際問題でこの国の人たちが赤好きで青が嫌いって話ではない。
 でもさ、でも‥人の顔なんてそれぞれの好みで、カラーチャートみたいに分類できるものじゃないじゃない??
 っていう‥あたしみたいな考え方はこの国では受け入れられないみたいってことは分かった。
 だから。
 ナガツキさんと会ってすごくうれしかったんだ。
 ナガツキさんは他の皆と全然違ってたから。
 好きな物を好きだって言える人だから。
 「だって人の好みなんてそれぞれで当たり前でしょ」って言える人だから。
 それでも、そんな偏見溢れる世界を悲観したり忌諱したり、誰かと闘うこともなく、誰かを批判したり非難したりすることもなく、でも迎合することもなく飄々と‥「貴方たちはそうなの? 」(私は違いますけどね。‥わざわざ言いませんが勝手にさせてもらいますよ)って自分の考え方を貫いてさっそうと生きてる。
 色々考えた末‥とか悩んだ末‥とかじゃなくって、自然にね。「勝手にしたら~」って飄々と。
 ホントにカッコイイ人なんだ。
 あたしは‥ちょっと(うそです、結構悩みました)悩んだかな。‥そういう性格なんだ。(で、悩んだ末、ローブに引きこもった)
 あたしのカッコイイが皆のカッコイイとは違うって気付いた時、話しても無駄って分かった時。嫌で、苦しくて、自分と他人どっちが正しいのかわかんなくて、まず「隠さなきゃ」って思った。「変だって思われるのは嫌だな」って。趣味や嗜好を変える気はさらさらなかったけど、でも、堂々としてることはできなかった。
 分からない。そればっかりだった。
 あたしのこと皆は可愛いって言ってくれるけど‥あたしはそうは思わない。そもそも、家族だから言ってるんじゃない? ホントは‥?? 皆の意見はどうでもいい。自分は? 自分は‥自分の顔が‥「可愛いとは思わない」嫌な顔じゃないと思う。嫌な顔って言うのは性格が現れる物だから。自分の責任で「作った」顔だから。だけど、造作は生まれ持ったものだ。それが‥自分的には微妙かな‥って。(お母さんゴメン)
 自分が可愛いって思わないものを可愛いって‥絶対認められない。
「皆はそういうよ」
 そうなの? ホントに? 
 あたしは‥この世界では異質なんじゃないか? ってちょっと自信を失いかけた時も‥あった‥様な気もする。あんまり覚えてないけど(転生の記憶を消された時の弊害で記憶がちょっと混乱している)
 だけどきっとね
 ナガツキさんは(そんなことで)落ち込まない。
「ま、どうでもいいや」
 って笑って
「私にとってはカッコイイ。それでいいじゃん。え? 変? そう。なら友だち止めるか! 」
 って言える人。
「え? 私が美人? そう。貴方にとっては私は美人に見えるんだね。それは嬉しいね。でも、御免なさい。私は貴方のことを恋愛対象には見れない。美人だから好きになったって告白は少なくとも私の心には届かないな~」
 って言っちゃって、自分の好みの人と結婚しちゃえる人。
「私、自分的には美人じゃないの。だけど世間的には美人らしい。趣味が合わないわね~」
 って笑って、自分の顔を堂々と出して暮らしていける人。

 他人に振り回されたりしない人。
  
 どう説明しても分かってもらえないこともあるだろう。分かってもらえなくていいって思うことも大事。だけど‥分かってもらえるように方法を変えることだって‥大事だ。
 言葉では伝わらないなら、
 伝わる方法を考えればいい。
 きっと難しいと思う。「あたらしいこと」を考えつく苦しさは今まで散々味わって来た。‥押し付けられてきたってのが正しい。言うまでもなく、あの協会幹部によってだ。
 でもさ、終われば「やってよかった」って毎回思った。
 喜んでくれる人を見るたびに嬉しくなって‥ホント苦労も忘れるよ!! って思った。
 やる前に諦めるんじゃなくって、「やってみる‥」ってか「やってやる! 」の気持ち、大事。
 例えそれが自己満足に過ぎないとしても‥何かをやるってことは無駄じゃない。
 皆に届く‥ささることはなくても、誰かひとりの助けになったら‥きっと意味がある。それどころじゃなくって、もしかしたら「誰か」にとっては「何よりも大事」なことになり得るかもしれない。
 なんかさ、そういうのって‥凄く夢があると思わない? 
 自分の人生の一ページにそんな夢がある出来事が残せるかもって考えただけでワクワクする。
 ましてや結婚式。一番の思い出に残る出来事にしたい。
 うんと幸せなイベントにしたい。あたしとオズワルドさんにとってだけでなくね。
 そんな時ね、手伝いに行った教会(勿論金持ち教会マリエールだ)でふと目にしたお嬢さん(※ この街は教会で新人の集い的な儀式がある。都会におけるデビュタント的な儀式だ。そこで同年代の男女が知り合う場にもなるのだが、準備にお金もかかるし貴族ぐらいしか来ない)お嬢さんは貴族らしいけど、そうご実家が裕福ではなかったようだ。装飾のないシンプルな白いドレスを着ていた。レースもフリルも付いてない。だけど、きっとご家族が一生懸命用意してくださったんだろう。ドレスの裾に、銀色の糸で丁寧な花の刺繍が施されていた。白ユリの様なシンプルなドレス。それが、(この国で一般的に美しいとは言われないであろうが)あたし好みの凛々しい顔立ちをした彼女によく似合っていた。
 美しいって思った。
 でも、そんな彼女を見て美しく着飾った女の子たちは「なにそのつまらないドレス。葬式みたい! 」「恥ずかしい、よくそんな恰好で来れたわねえ‥」「まあ‥あの方の家は裕福じゃないから仕方がないわね‥」「でも‥失礼じゃない? そんな恰好で来るなんて」って揶揄ってた。男どももそんな彼女たちと一緒になって「そんな顔なんだからせめて服ぐらいは‥」って苦笑い。‥殴ってやりたいって思った。(勿論知りもしない子どもたち(※ ハヅキも成人したばかりだから年的にはそうかわらない)をしばきまわるわけにはいかないから我慢したが)
 アンタらにはあのシンプルな美しさが分からんかね!! って思ったけど‥すぐそういう話じゃないって分かった。色が問題なんだと。白で、シンプルな服は‥死に装束だ。だからといって白が悪い色なわけではない。清純、高貴、そして「明日への希望」という意味がある。だからデビュタントの色として選ばれている。ようはデザインの問題なんだ。
 白は同時に「再生」を意味して、死に装束に使われるから。
 (だから)死に装束を連想させない華やかなデザインにするのが「当たり前」。似合うかどうかは二の次。新社会人として、人を不快にさせないために「相応しい装い」を用意するのが当たり前。子どもが可愛ければお金をかけるべきだ‥そう言いたいんだろう。
 子どもが可愛くない親なんているわけないだろ。そして‥親に気を使わない子どももいるわけがない。(程度の差はあるだろうが)
 あたしは腹が立ったね! 「また「当たり前」か!! 」って。
 そのことがあっての、今回の「新しい白いウエディングドレス計画」だった。
 白のシンプルドレス=死のイメージを払しょくする。

 もっと自由に好きな服を着る。

 あたしは白を「偏見」の呪縛から解き放ちたいんだ。
 あたしが出来る方法で!
 白のシンプルドレスが脚光を浴びる。→ 白のドレスの「当たり前」がなくなる。
 それが‥まわりまわってあの子のためになったらいいなって‥そう思ったんだ。(さすがにどこの誰かも知らないあの子を結婚式に呼ぶわけにはいかないからね‥) 

 ほんの些細で、小さなことだけど‥それはきっと何かの役に立つ。‥そう信じたいんだ。
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