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事件簿001 『子争い』その2
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実は、夫側の両親にはどうしても子供夫婦に同居して欲しい事情があった。
それは、住宅ローン。
「マイホームは今がチャンス!絶対お買い得!」
「一流企業社員のお客様なら、自己資金ゼロでOK!」
銀行と不動産屋の溢れんばかりの笑顔についハンコを押した『50年返済住宅ローン』。
不況時のワークシェアリングが定着した結果、45歳から週休4日制が基本となった今では金利だけでも返済するのがやっとなのだ。
なんとか家ごとローンを引き継いで欲しい・・・。その気持ちはわかるが、身勝手といえば身勝手。
別室で5人の裁判員から意見を聞きながら、ボクは300年前に思いを馳せる。
---
奉行所のお白州で自分こそが母親だと主張する2人の女性と幼子1人。
南町奉行大岡忠相は、子供の手を両側から引っ張り合って勝った方を母親と認める、と告げる。
必死の形相で子供の手を引っ張る2人。痛みに泣き叫ぶ子供。
その泣き声に、ついに耐えかねて片方の女性が手を離してしまう。
子供の手をにぎったままの勝ち誇った顔の女性に大岡は告げる。
「子の痛みが解からない者に親の資格は無いと知れ!!さっさと出て行くがよい!!」
これにて一件落着!!!
---
よっ!名裁き!!
大岡越前サイコー!!
「・・・では、タクヤ判事のご意見を。」
急に現実に呼び戻されたボクは咄嗟に言葉を発した。
「子の痛みが解からねぇ奴に親の資格はねぇ!!」
3秒ほどでタクヤ語の解釈を終えた書記官サエが宣言する。
「それでは、自分達は70歳までに完全介護付き終身老人ホームに入居し、所有している都市部の4LDKマンションを子供夫婦に譲渡する」という案を提示した妻側両親の主張を採用とします。
したがいまして、本件夫婦は《まるこちゃん型同居》ではなく《サザエさん型同居》を開始していただきます。」
この言葉で夫側の両親は花と芝生に囲まれた2階建てのおしゃれな家に二人きりで、変動金利で毎月の返済額が膨れ上がり、これから更に30年以上支払い続ける長期住宅ローンの為に死ぬまで働かざるをえないことが確定した。
いつもながら、書記官のサエは頭が冴えている。
というか、冴えすぎだっつーの!
ボクはこれから考えようと思ったのに・・・。
それは、住宅ローン。
「マイホームは今がチャンス!絶対お買い得!」
「一流企業社員のお客様なら、自己資金ゼロでOK!」
銀行と不動産屋の溢れんばかりの笑顔についハンコを押した『50年返済住宅ローン』。
不況時のワークシェアリングが定着した結果、45歳から週休4日制が基本となった今では金利だけでも返済するのがやっとなのだ。
なんとか家ごとローンを引き継いで欲しい・・・。その気持ちはわかるが、身勝手といえば身勝手。
別室で5人の裁判員から意見を聞きながら、ボクは300年前に思いを馳せる。
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奉行所のお白州で自分こそが母親だと主張する2人の女性と幼子1人。
南町奉行大岡忠相は、子供の手を両側から引っ張り合って勝った方を母親と認める、と告げる。
必死の形相で子供の手を引っ張る2人。痛みに泣き叫ぶ子供。
その泣き声に、ついに耐えかねて片方の女性が手を離してしまう。
子供の手をにぎったままの勝ち誇った顔の女性に大岡は告げる。
「子の痛みが解からない者に親の資格は無いと知れ!!さっさと出て行くがよい!!」
これにて一件落着!!!
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よっ!名裁き!!
大岡越前サイコー!!
「・・・では、タクヤ判事のご意見を。」
急に現実に呼び戻されたボクは咄嗟に言葉を発した。
「子の痛みが解からねぇ奴に親の資格はねぇ!!」
3秒ほどでタクヤ語の解釈を終えた書記官サエが宣言する。
「それでは、自分達は70歳までに完全介護付き終身老人ホームに入居し、所有している都市部の4LDKマンションを子供夫婦に譲渡する」という案を提示した妻側両親の主張を採用とします。
したがいまして、本件夫婦は《まるこちゃん型同居》ではなく《サザエさん型同居》を開始していただきます。」
この言葉で夫側の両親は花と芝生に囲まれた2階建てのおしゃれな家に二人きりで、変動金利で毎月の返済額が膨れ上がり、これから更に30年以上支払い続ける長期住宅ローンの為に死ぬまで働かざるをえないことが確定した。
いつもながら、書記官のサエは頭が冴えている。
というか、冴えすぎだっつーの!
ボクはこれから考えようと思ったのに・・・。
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