近未来判事「タクヤ」

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事件簿005 『帯久』その16

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いつも笑顔を絶やさないヒトミが、ここ数日ひどく塞ぎ込んでいた。
誰が理由を尋ねても首を振るだけで何も答えない。
ほとんど食事も取っていないヒトミを南社長は放っておけなかった。

「ヒトミ。黙っていても、何も解決しないよ。お前が身体でも壊したら天国のママになんと言って詫びたらいいんだね?」

「パパ・・・。わたし、もう耐えられない!」

ヒトミは大粒の涙をこぼしたかと思うと、床に崩れ落ち大声で泣き始めた。

「な、なにがあったんだ?」

「蜜朗おじさまは、人を殺してなんかいないの!!」

「なんだって?!」

「おじさまは・・・わたしをかばって・・・。イカオさんを刺したのは、わたしなの!」

「えぇっっ!?」

父親に全てを打ち明けたヒトミは涙をぬぐうと立ち上がった。

「わたし、自首します。」

「う・・・ん。そうだな。私も一緒に行こう。でも、警察に行く前にママに謝っておこうね。」

佐藤蜜朗とアツシ親子にも家族のように温かく接していたヒトミの母親チエミは、数年前にガンで亡くなっていた。

「ママ、ごめんなさい・・・。」

「チエミ・・・すまん。全て私の責任だ。」

チエミの墓の前で南社長とヒトミは最後の時間を惜しむかのように長い時間、手を合わせていた。

---

時代は300年前に遡る。
お白州では、お裁きが続いていた。

「さて、帯屋。おぬしが10年前に和泉屋に返したという100両だが。」

「はい。」

「おぬしが懐に戻して店を出て行ったと証言するものがおる。」

「うっ!そんなはずは・・・」

「よいよい。今さら罪を咎めようというのではない。このまま和泉屋が死罪になるとおそらく成仏できず、おぬしの所に化けて出るであろう。どうじゃ。金だけは返しておかぬか?」

「う~む。お奉行様のご命令とあらば仕方ありませんが・・・。ただ、急に100両返せと言われても、そんな余裕はございません。」

「いつなら返せるのじゃ?」

「さぁ、いつになることやら。」

「困ったのぉ。では、分割ではどうじゃ?」

「それならばなんとか・・・。」

「よし!それでは帯屋久七。毎年1両を和泉屋に返済せよ!和泉屋の刑執行は返済が終わった後に執り行う!」

毎年1両ということは返済が終わるのは・・・100年後!!
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