近未来判事「タクヤ」

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事件簿006 『江戸の夢』その8

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「ふぅ~~~」

判事室から出てきたボクにサエが声をかけた。

「調書、読み終わったの?」
「うーん、あと150ページくらいかな。」
「え~?まだ半分も終わってないのぉ??」
「うるせぇ!あんな分厚い調書、そんなに早く読めるわけがないじゃないか。」
「フリガナつけてあげようか?」

「くそっ・・・。」

ボクが漢字に弱く、辞書を片手に読んでいることを知っているのだ。

「半分読み終わったら、おいしいお茶、いれてあげる。」
「よし!約束な!」

サエの入れるお茶は抜群に美味しい。もっと洒落た湯のみで飲めたらいいんだけど・・・。

判事室に戻ったボクは、また調書を開きながら300年前に思いを馳せた。

---

「許さん!だめだだめだ!!」

駿河の国でも一二を争う大地主、庄屋の内山武兵衛は娘を叱りつけた。

「どこの馬の骨かわからん奴を婿になどできるものか!」
「お願いします!あの人と一緒にさせてください!」

泣いて頼むのは武兵衛の一人娘テル。母親も困った様子で諭す。

「籐七さんは悪い人じゃないけど流れ者だからね・・・。」

半年前、新茶の茶摘みで大忙しの頃、籐七はぶらりとこの村にやってきた。
猫でも狸でも手を借りたい時期。
籐七も頼まれて日雇いで働きはじめた。
しかし、籐七の手慣れた茶葉の扱いを見て、武兵衛は素人じゃないと見抜き、そのままここに残ってもらうことにした。
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