近未来判事「タクヤ」

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事件簿008 『白波看板』その4

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「タクヤ君。五右衛門風呂って、なぜそう呼ばれるか知ってるかね?」

サエパパが土台にセメントを流し込みながらボクに尋ねた。

「いえ・・・つい最近、そういうお風呂があることを知りました。」

「ふむ。それも仕方ないな。絶滅危惧種だからね。」

それから30分ほどサエパパの薀蓄が続いた・・・。
要約すると、薪を燃やした火で水を張った大きな釜を熱してお湯を沸かすお風呂のことらしい。

昔、石川五右衛門という大泥棒がいて、捕まって釜茹での刑になったことから、五右衛門風呂と呼ばれているそうだ。
面倒だし、薪も手に入らないし、薪を燃やすと大量のCO2が発生するから、地球温暖化の一因ともなるしで、20年前にはほとんどが姿を消したらしい。
そりゃそうだ。電気やガスならスイッチ一つでお湯が沸かせるし、温度設定も簡単だからね。

「ところが5年ほど前に、大阪の町工場が画期的なボイラーを作ったんだよ。」

「画期的・・・ですか。」

「そう、画期的!30年以上前に人工衛星を飛ばした大阪の町工場の社長たちが次に取り組んだのが、環境に優しい五右衛門風呂だったのさ。」

「はぁ、環境にいい風呂・・。」

ボクは、環境より身体にいい遠赤外線サウナか、目の保養にいい混浴ジャグジーのほうがうれしいんだけど・・・。
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