近未来判事「タクヤ」

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事件簿010 『藁人形』その9

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お熊は涙を拭いた指を2本立てた。

「二両か?」

お熊は首を振った。

「二十両・・・。」

西念は腕を組んで考え込んでしまった。

「しょうがないよね。諦めるしかないよ。広い屋敷があの値段で売りに出ることはもうないだろうし、やっぱり分相応に一人で暮らせってことよね。西念さん、ありがとう。夢だけでも見られて良かった。」

「ま、待ちなさい。まだ諦めるのは早い。」

「え?でも・・・。」

「ワシに任せなさい。悪いようにはせん。明朝、また来る。」

翌朝、西念は20年間、壺に小銭でコツコツと貯めた全財産のほとんど、二十両をお熊に届けた。

「西念さん。ありがとう!家の準備が出来たら必ず呼ぶから、それまで待っててね!」

「ああ。楽しみに待ってるよ。」

無一文にはなったが、西念は20年ぶりに心から安らぐ思いを噛みしめた。
真夏の太陽の下や、雪の降り積もる冬に、街角で托鉢をすることももうないだろう。
お熊と暮らす屋敷では、植木の世話はワシの仕事だろうなぁ。
蒔き割りも自分でやれる。
小遣い稼ぎに竹細工でもやるか。

西念の妄想は膨らむ一方だった。
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