近未来判事「タクヤ」

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事件簿010 『藁人形』その19

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イビキをかいて寝ている若旦那を見下ろしながら、お熊はほくそ笑んでいた。

「いい話を聞いたわ。ちょいと小遣いを稼がせてもらうかねぇ。」

若旦那が酔っ払ってお熊にしゃべったのは、千住に新しい店を出す計画だった。

最近の伊音屋が作る店は普通の店の数倍の大きさ。
新しく店を出す時には土地の調達、建物の普請から店内の調度や奉公人の手配など大金が動くのだ。

今回はまだ計画の段階。
おそらく一部の人間しか知らないに違いない。
今のうちに何かを安く手に入れておいて、若旦那に高く売ればいい。

「さて、何をネタにすれば一番儲かるかねぇ。そうだ!うまくいけば儲けだけじゃなく、若旦那に感謝されて身請けってことも・・・。ウッフフフフ。」

お熊は既に妄想の世界で蝶のように舞い上がっていた。

次の夜。お熊は若旦那にどんどん酒を勧めてまた酔っ払わせた。

「若旦那。お店の準備で困ってることは無いのかぃ?」

若旦那の目は既にトロンとなっている。

「いやいや。順調順調。今日はいい場所を見ちゅけたんだよ~。そこの地主を探して譲ってもらえばワシの仕事は終わりじゃ~。」

お熊の目が光った。

「おや、そうかい。それで?どこに作るんだぃ?ふんふん。へぇ。あんなところに。」

翌日、お熊は若旦那に聞き出した土地の情報を聞きまわった。
その土地は木材問屋が所有する広い空き地だった。

「ここかぃ?確かに大きな店が作れそうだねぇ。さて、ひと儲けしようかね。」

お熊は木材問屋の暖簾をくぐった。
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