【R18】サキュバスちゃんの純情

千咲

文字の大きさ
9 / 75

09.週末の終末(三)

しおりを挟む
「あかり……好きだよ、あかり」

 宮野さんはキス魔だ。キスが大好きな人だ。深く重いのも、浅く軽いのも、どちらも好きらしい。
 宮野さんに会うときは、口紅もグロスも塗らない。すぐに落ちてしまうから。

 もう、十何分、ソファでキスだけをしているのだろう。唇はもう柔らかくなりすぎて、吸って吸われて赤くなっているに違いない。宮野さんの首に巻きつけていた腕はもうつらくて離してしまった。
 それでも、宮野さんはやめない。私とのキスを覚えていたいのか、無我夢中なのか、よくわからないけれど。

「ん、っ」

 ちょっと酸素不足で朦朧とし始めたところで、ブラウスの裾から宮野さんの指が入ってくる。キャミソールの上から優しく腹を撫でられると、既に濡れそぼった下腹部が強く疼き、蜜がさらに溢れ出てくる。
 もっと触れてほしい。もっと気持ち良くしてほしい。もっと。

「じゅ、ん」
「あかり、脱がすよ」

 いつもは「脱がしていい?」だった。小さな違いだけど、宮野さんにとっては大きな違いだ。
 彼は、今、私を好きなように抱きたいのだ。

 ブラウスのボタンをゆっくり外し、キャミソールを押し上げ、背中のブラのホックを外す。もちろん、話しているとき以外は、キスをしたままだ。
 ブラウスをソファの下に落として、ブラの肩紐を腕から抜く。キャミソールはそのままだ。宮野さんにしてはこれも珍しい。いつもは裸で抱き合っていたから。

「脱がせないの?」
「……見たくないんだ。他の男がつけた痕は」

 チリリと胸が痛くなる。
 翔吾くんがつけたキスマークはまだ残っている。宮野さんは気にしないからと思ってつけるのを許したけど、私のバカ、宮野さん、ものすごく気にしているじゃないか。

「ごめん、ね? 今まで、イヤだったよね?」
「うん。でも、仕方ないって諦めていたから。俺も伝えなかったし、いいんだ」

 キャミソールの上から手のひらで軽く刺激を与えられただけで、胸の頂はすぐにはしたなく立ち上がってしまう。ぷくりと存在を主張し始めた突起を見つめ、宮野さんは笑う。

「それに、見えなくても、わかる」

 布の上から乳房を押し上げるように優しく揉まれる。感触を楽しむかのように揉まれるだけだと、少しくすぐったい。
 指が一瞬突起を引っ掻いただけで、体がビクリと波打つ。

「んっ、あ」

 触って欲しい。
 もっと気持ち良くしてほしい。
 ねだるために、宮野さんの舌を吸う。唾液を飲み込んで、首に手を回す。でも、宮野さんは乳房を揉んで焦らすだけで、決定的な快楽を与えてくれない。抗議のためにちょっと強めに舌を吸おうとすると、宮野さんが笑った。

「どうしたの?」
「……触って欲しい」
「どこを?」
「胸」
「もう揉んでいるよ?」

 そうじゃない。そうじゃないのに。宮野さんは意地悪だ。
 けれど、こんな宮野さんは初めてだ。優しくて献身的なセックスが多くて、こんな意地の悪い言い方なんてしなかった。したことがなかった。
 それがぜんぶ抑圧されていた姿だったなら、私は彼に、本当に申し訳ないことをしてきたんだろう。

「じゅ、んんっ」

 触って欲しい。
 舐めて欲しい。
 挿れて欲しい。
 歯列をなぞり、口蓋を撫でる舌に、あなたが欲しいと伝える。
 あなたの、体が、精液が、欲しい。

「あかり」

 我慢できなくて、膝で宮野さんのズボンの真ん中を撫で上げる。閉じられたファスナーの奥で、硬く屹立した雄の存在を感じる。膝でもわかるくらい、熱い。
 早くそれを突き立てて欲しい。強く、深く。乱暴にしていいから。
 お願い、挿れて。

「もう我慢できないの?」

 うんうんと頷くと、宮野さんは苦笑する。

「あかりはえっちだね。でも――」

 乳房を覆っていた暖かい手が、消えた。

「最初は指で我慢して」

 するりとフレアスカートの中に腕が差し込まれ、ショーツ越しに秘所を撫でられる。その湿り具合に、宮野さんは笑う。

「すごいよ、あかり」

 くちくちと卑猥な音がする。私から漏れ出た蜜が宮野さんの指を汚し、彼の指が私の腰を揺らす。
 クロッチ部分が引っ張られ、間を割って、宮野さんの指が、挿入ってくる。直接秘所に触れられる。ぬるぬるとだらしなく蜜を生み続ける割れ目に指を宛てがい、宮野さんは目を細めて笑みを浮かべる。

「濡れすぎ」
「だっ、て」
「キスしかしていないよ?」

 そのキスが原因の大洪水なんです!
 恨みがましく宮野さんを見上げると、指を舐めている。舐めて。舐めて!?

「っ!?」
「おいし。もっと欲しい」

 美味しいわけがない。
 私にとっては精液は美味しいものだけど、普通の男性にとって愛液は美味しいものではないはずだ。私がサキュバスだからといって、体液が甘くなるわけではないのだから。
 ショーツの端を引っ張って、宮野さんは器用に脱がしてくれる。キャミソールとスカートと靴下だけになった私を見下ろして、宮野さんは初めての言葉を呟いた。

「……かわいい」

 顔から火が出るかと思った。
 かわいい、なんて、宮野さんから初めて聞いた。他の人からは何度も聞いた言葉だけど、宮野さんからは、初めてだ。

「あかり、かわいい」
「ありが――っん」

 唇が塞がれる。乱暴なまでに貪られる。でも、気持ちいい。
 熱い指がぬるぬると割れ目をたどり、小さな花芽を擦る。途端に、腰が浮き、与えられた強い快感から逃れようと暴れる。

「っや」

 親指で押さえつけられるように蕾が擦られ、指で弾かれるたびに腰が動く。左足がソファから落ちて、宮野さんの太腿が私の足を押さえつける。
 ぬるりとした指が蜜口に宛てがわれ、くちゅと音を立てながら挿入ってくる。ゆっくりと肉襞をたどるように進み入ってくる、細くて長い中指。中を往復するたび、くちゅくちゅと水音が響く。

「っ、ん、ん」

 宮野さんはずっとキスをしたままだ。私が出した声はくぐもったまま、宮野さんの中に消えていく。
 左手はいつの間にかキャミソールの下で胸の突起を摘んでいる。右手の親指は肉芽を、中指と薬指が内壁を、擦る。

「んんんっ!」

 指が中で一番いいところと外で一番敏感なところを同時に引っ掻いた瞬間に、体が大きく震えた。きゅうきゅうと宮野さんの指を締め付け、体が何度か跳ねたあと、ゆっくり緊張が解けていく。

「っ、あ……は、あ」

 達してしまった体はすべてが敏感で、けれど、周りのことには無頓着になってしまう。
 ぐったりとした私の中から指を引き抜いて、宮野さんは指を舐める。そして、すぐにカチャリとベルトを外して、チノパンを脱ぐ。そそり立っている男根の形がトランクスの上からでもよくわかる。

「……エロい」

 笑いながら、宮野さんは私を見下ろす。イッたばかりの男の人が色っぽいのと同じように、私も宮野さんにはそう見えているのだろうか。

「あかり、エロくてかわいい」

 左足がソファの上に戻される。弛緩した体ではうまく足に力が入れられないけど、宮野さんがしっかり持って支えてくれる。

「じゅ、ん」

 しとどに濡れた蜜口に肉棒の先端が宛てがわれる。ぬるぬると割れ目の上を滑り、まだ挿入ってはこない。

「潤、お願い……」
「どうして欲しい?」
「潤、意地悪しないで」
「あかり。俺にどうして欲しい?」

 湯川先生といい、宮野さんといい、男はどうして女に卑猥な言葉を言わせたがるの!? ほんとに、もう!

「……潤の、挿れて……ッア!」

 花弁を割り、太くて熱い肉棒が一気に奥まで到達する。言い様のない、気持ちの良い圧迫感。絶頂を迎えたばかりの膣壁が新たな刺激にまた収縮を始める。
 宮野さんは私の腰をしっかりと抱いて、何度も何度も昂ぶる雄を打ち付けてくる。

「あっ、あ、っや」

 奥が抉られるかと思うくらいに激しい抽挿。宮野さんの竿は長めなので、簡単に奥まで届いてしまう。子宮口に亀頭を擦り付けるのが、彼のお気に入りだ。

「見える? あかりと俺が繋がっているところ」
「ん、ん、見え、るっ」
「やらしいよね。中、熱いよ。ヌルヌルしてるし、とろけそう」
「あっ、やっ」
「気持ちいい。あかり、気持ちいいよ」

 セックスの最中に宮野さんがこんなこと言うなんて。
 驚いたけど、耳触りのいい低い声でそんなことを言われたら、私のほうがとろけてしまう。

「あかり、好きだよ」

 宮野さんが強く私を求めてくれる。

「好きだよ」

 重ねられる唇は、ふやふやに柔らかい。

「好き」

 私も好きだよ。
 宮野さんとのセックス、好き。
 宮野さんが言う「好き」とは違うけど。

「……出すよ」

 宮野さんの舌を吸いながら、うんうんと頷く。
 出して。いっぱい出して。

「奥に、出す……っ」

 激しく腰を動かして、一瞬の間のあと。宮野さんは震えて、宣言通り最奥で精液を吐き出した。
 びくびくと震え、何度も精を放つ肉棒が愛しい。零さないように、しっかり吸い上げる。その収縮に、宮野さんの腰が震える。

「……あかり」

 はい、ご馳走さまでした! 相変わらず美味しいです!

「もう少し、このままで」

 宮野さんの額や体に浮かぶ汗を、愛しいと思う。頑張ってくれて、ありがとう。

「もう少し、挿れた、ままで」

 私を押しつぶさない程度の体重をかけて、宮野さんは倒れ込んできた。近づいた頬にちゅっとキスをして、最後の一滴まで搾り取る。

「あとで、お風呂、入ろう」
「一緒に?」
「ん」

 耳元で力なく頷く宮野さんの頭を撫で、着たままの服の惨状を想像して苦笑する。
 ……洗濯機、使わせてもらおう。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

処理中です...