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56.黒白の告白(五)
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「はい、そこまで」
バチンと手を叩く音と無遠慮な声が近くから聞こえてきた。
そっと目を開けると、荒木さんは「何コイツ」みたいな表情で声の主を睨んでいる。その視線の先をたどり、驚いて息を呑む。
「……誰?」
「ケント、く……?」
「あかりちゃんから離れて」
冷たい目をした美少年がそこに立っていた。仁王立ちだ。腕まで組んで、娘を心配する父親のような形相で睨んでいる。……ええと、怒っているようだ。
「月野さん、彼は?」
「あ……遠縁の親戚です」
セフレです、とは口が裂けても言えない。とにかく、今は言えない。
サキュバス・インキュバスに血縁なんてないんだろうけど、同族であることに変わりはない。当たらずも遠からずといったところだろうと、自分でも納得する。
「ケントくん、彼は同僚の荒木さん。ここまで送ってもらったの」
「ふぅん。送ってもらった、ねぇ」
疑いの目で荒木さんをジロジロ見て、不機嫌が直らないケントくんは、ぐいと私の手を引いた。そして、私を背中に隠すようにして、荒木さんの前に立ちはだかる。
ケントくんのほうが荒木さんより背が高く、荒木さんは見下ろされている形になる。
「それはどうもありがとうございました。でも、もう大丈夫なんでお引き取りください」
「うん、そうさせてもらうよ。月野さん、今日はありがとう。また」
「あ、はい。素敵なお店を教えてくださって、ありがとうございました」
形式的な挨拶を終えて、荒木さんが帰っていく。すんなり引き下がってくれて、本当に安心する。ホッと胸を撫で下ろす。
「あかりちゃん、部屋に入るよ」
ケントくんは私の手を引いて、階段を上る。不機嫌はまだ直らない。私の部屋の扉を開け、ケントくんは私を玄関に押し入れる。
既に、部屋の電気はついている。
……あれ?
「ケントくん、カギ、どうし――んむっ」
玄関の壁に背中と両腕を押し付けられ、唇が乱暴に重ねられる。歯が当たりそうなくらいの口づけをされ、口内を舌が犯していく。
「あっ、やだっ」
ブラウスのボタンが外され、キャミソールがたくし上げられ、ブラから乳房が取り出される。その先端をペロリとひと舐めされただけで、ビリリと体が疼く。
「やっ、ん、ケントく」
「……濡れてる。あかりちゃん、そんなにあいつを受け入れたかったんだ?」
ストッキングの上からでもわかるくらい、ショーツもその奥も濡れてしまっている。スカートをたくし上げられて指で確認され、私は羞恥に身悶えるしかない。
「だっ、て……好きな」
だって好きな人なんだもん。好きな人から求められたら、受け入れたくなるでしょ。
声にならない抗議は、唇の中に消えていく。
それより、カギは? 何でケントくんがここにいるの?
疑問が浮かぶけれど、尋ねる機会がない。熱い唇と舌に邪魔され、言葉が紡げない。
「……挿れたい」
甘い吐息に混じる熱。体がぞくりと粟立つ。さっきは荒木さんの好意を受け入れようとしていた体が、今度はケントくんの行為を受け入れようとしている。
結局のところ、私の体は、精液が搾取できれば相手は誰だっていいのだろう。
誰だって、いいのだ。たぶん。
「ここで?」
「ん。もう我慢できない。あかりちゃん、すごい匂い。クラクラする」
「知ら、な……っ、ふ」
ストッキングを太腿までずり下げ、ケントくんは躊躇することなくショーツの中に指を入れる。そして、滴り落ちるほどに蜜に濡れた膣口に中指を侵入させる。
「んんんっ!」
「すごい濡れてる。あかりちゃん、わかる?」
ぐちゅぐちゅと響く音をわざと立てて、ケントくんは私の中を指で犯す。私の好きなところを的確に突いてくる指が、甘い痺れを誘発する。
指だけじゃ我慢できない。もっと太くて硬いものを――ちょうだい。
「あかりちゃんも欲しい?」
ハーフパンツの上から硬く反り立った肉棒を撫でると、ケントくんの甘い声。その誘惑に抗えるわけがない。パンパンになったものを布の上から優しく扱きながら、直に触りたいと願う。
「……欲しい」
「僕も」
くるりと体を反転させて、壁に手をつく。ショーツがずり下げられると同時に、熱を持った肉杭が膣口に宛てがわれ、一気に隘路を割った。
「ああっ!」
軽く達してしまったのは、不可抗力だ。奥深くまで貫かれ、待ちに待った刺激に、体が歓喜した。
「あかりちゃん、締めないで」
「無理っ、だって、イッちゃ、あぁぁっ」
最初から激しく抽挿され、イッたばかりの膣内がさらにケントくんの肉棒を締め上げる。蜜が溢れて仕方がない。
壁にすがりついて、快感を享受する。早くも足が崩れ落ちそうだ。気持ち良すぎて立っていられない。
「おいし。我慢しないよ。出すよ」
「ケントくっ」
「ごめん、出る……っ」
どくんと最奥で精液が弾ける。ビクビクと震える肉棒を締め上げて、白濁液を搾り取る。相変わらず、量が多い。美味しい。
週末の精液の確保、何とかなったなぁなんて思いながら、背後で荒い息をしながら「食事」をしているケントくんを睨む。
「説明、してね、ケントくん」
「え? 何を?」
「なん、で、カギ、持っているのか」
ケントくんはぎゅうと私の腰を抱きしめて、笑った。
「こないだ、あかりちゃんが寝ている間にちょっとスペアを探して、ね」
「はぁっ!?」
確かに、合鍵はチェストにしまってあるだけだから、簡単に取り出すことができる。そして、私も毎日確認するわけじゃないので、合鍵がなくなったのに気づかなかったというわけか。
「ま、いいじゃん。結果的に僕がヒーローになれたんだから」
「ヒーロー?」
「迫られて困っているあかりちゃんを助け出すヒーロー!」
迫られて困っていたのは事実だから、反論はしない。あのまま荒木さんにキスされて、さらに抱かれていたら、絶対に後悔していたはずだ。確かに、ケントくんがいてくれて助かった。
けど、ヒーローは紳士であるべきで、助けた女を乱暴に抱いたりはしないはずだ。きっと。
「あ、んっ」
ピンと乳首を弾かれて、体が震える。一向に萎えてくれない肉棒から、そろそろ解放して欲しいんだけど。
……って、いやいや、まさか、だよね?
「今日は一段とあかりちゃんの体が美味しいな。ね、二回戦、付き合って」
「やだ、無理! 立ってらんないよ!」
「わかった。じゃあ、正常位か後背位にしようね」
何が「じゃあ」なのか!
せめて、服を脱いで、ベッドかソファで!
……そんな私の願いは聞き届けられることなく、玄関先の廊下で声を我慢して汗だくになりながら、たっぷり貪られる羽目になるのだった。
◆◇◆◇◆
「へえ、あかりちゃん、ああいう男が好みだったの?」
シャワーを浴びてソファに寝転ぶケントくんに、洗濯物を干しながら最近のことを報告する。とりあえずは、さっきの荒木さんのこと、だ。
「豹変する前の荒木さんが好きだったんだけどね」
「ま、仕方ないよ。甘いものが好きで、匂いに敏感な人なら、あかりちゃんの匂いは特別美味しそうに思えるだろうし」
「……そんなに匂う? どんな匂い?」
「飴とか金平糖とかの甘ったるい匂い」
思いの外、甘い匂いなんだなと想像する。……甘いもの苦手な湯川先生、そんな匂いによく耐えていたなぁ。ほんと申し訳ない。
「食事をしたくなると匂いが出てくるのは普通のことだよ。フェロモン? とにかく、異性を誘うための匂いだね」
「サキュバスもインキュバスも、結構動物的なんだね」
発情期みたいなものかと納得させる。私たちは年がら年中、発情期みたいなものか。まぁ、間違いではない。毎日セックスだと疲れるけど、たぶん毎日でも精液は受け入れられる。
「しかも、あかりちゃんはあいつが好きなんでしょ? じゃあ、あいつの近くにいると匂いは強くなるだろうね」
「なるほど」
「あいつもあかりちゃんのこと好きなんだよね……嫌だな」
ペットボトルの飲み口をガジガジと噛みながら、ケントくんは唸る。綺麗な顔なのに、眉間にシワを寄せちゃって。
それにしても、ケントくんが泊まる気満々だったのが解せない。荒木さんとの夕食中に『今から泊まりに行くね』というメッセージが入っていたのも、解せない。私の都合なんてお構いなしなのが、解せない。
本当に、もう。
それを受け入れている私が一番、解せない。何で許しちゃうかなぁ……もう。
「あいつもセフレに加えるの?」
「んー……それは、どうかな。荒木さんは職場の人だから、あまり波風立てたくなくて。それに、今の彼氏のはとこだし」
「は? カレシ? 聞いてない。どういうこと?」
「あ……セフレを彼氏にしたの、まずかった?」
洗濯物を干し終えて、窓とカーテンを閉める。振り向いた瞬間に、ケントくんに抱きしめられる。
「僕がパートナーになってって言ったときは断ったのに、何で他のセフレならいいわけ?」
「……ケントくん、妬いてる?」
「多少はね」
ソファに先にケントくんが座って、その膝の上に座るよう要求される。ケントくんに背中を向けて座ろうとしたら、向きを変えられた。
結局、向かい合わせで、ケントくんの太腿をまたぐように座る羽目になっている。ケントくんはTシャツ一枚しか着ていない。トランクスは洗って窓の外。つまり、彼の下半身が丸見え。これはちょっと恥ずかしい。
「じゃあ、僕も彼氏になる」
「え、やだ。さすがに中学生を彼氏にはしたくないよ」
「あかりちゃんはカタイなぁ。インキュバスに年齢なんてないようなものなのに」
確かに、ケントくんは中学生にしては老け顔だし、体の成長も止まっている。成人男性よりも高い身長は中学生にしては目を引くが、あと何年かすれば「ちょっと高いね」程度になる。
私も二十五歳にしては若いと言われる。二十歳前後の姿なのだから、仕方がない。
でも、ケントくんは今は中学生。制度上では。彼氏だと公言するわけにはいかない。
「好きな男には簡単に流されるくせに、僕には流されてくれないなんてムカつく」
「……ごめんね? あと三年待ってくれたら」
「十八? あのね、あかりちゃん、僕は」
Tシャツの上から乳房を揉みしだきながら、ケントくんは私にそっとキスをする。
「僕は?」
「僕は……そのときにはもう日本にはいないの」
寂しそうな視線がぶつかる。そういえば、彼は日本に「来ている」だけだった。
「スウェーデンに帰るの?」
「向こうの大学に行くつもりだからね」
「そっか。寂しくなるね」
ぎゅうと抱きしめられて、視界がぐるりと反転する。背中にソファの感触。目の前にケントくんの顔。押し倒された。
ケントくんは真剣な目で私を見下ろす。
「本当に、寂しい?」
「え?」
「僕がいなくなったら、寂しいって思う? あかりちゃんは寂しいって思ってくれる?」
セフレさんと別れるときはいつもそうだ。多少は寂しい。体だけの関係だとしても、情はあるわけだから、やっぱり、寂しいよ。
「思う。ケントくんがいなくなったら、やっぱり寂しいって思うよ」
「ん、ありがと、あかりちゃん」
どれだけ酷いことをされても、そう思うんじゃないかな。たぶん。
「じゃあ、僕がスウェーデンに帰るとき、一緒に連れてってもいい?」
「それはお断りいたします」
「即答!?」
食事に困らない相手がそばにいるのは心強いけど、国境をまたぐほど食料に困っているわけではない。必要のない選択だ。
「日本から出てどこかで永住することは考えていないよ」
「残念。絶対過ごしやすいのに」
「誘ってくれてありがとうね。日本にいる間は、体を提供してあげるから」
色素の薄い髪を撫で、唇を受け入れる。甘く蕩けるようなキスをしながら、太腿に押し付けられた熱が少しずつ怒張してくる気配を感じる。
ズルリとショーツを脱がされ、お互いTシャツ一枚だけの状態になる。亀頭がヌルと割れ目を這う。濡れている、ようだ。
「あかりちゃんの体、好きにしていい?」
「痛いのとか、無理やりはダメだよ?」
「んー……」
いやいやいや、そこは頷いてよ。痛いのとか無理やりは許可できません! ケントくんは前科があるんだから、気をつけてもらわないと!
「ね、あかりちゃん」
「ん?」
「コレ、使っていい?」
ガサリ、どこかで音がした。紙の音。紙袋の、音?
「コレ使ったら、どうなるの?」
ケントくんの手に握られていたのは、既に開封された――極太くん。黒光りする憎いやつ。相馬さんの置き土産だ。
……何で、ケントくんがそれを!?
「やだ! ちょっと、それは!」
「何であかりちゃんが持ってるの? コレ、精液出ないよ?」
「わかってるよ! それは貰い物だけど、処分しようと――んんんっ」
取り上げようとしたけれど、リーチの差に愕然とする。ケントくんの指の先には全然届かない。うるさいとばかりにキスまでされて、私の腕が空を切る。
「ローション使わなくても挿入るよね? ローション使うと、愛液がうまく吸収できなくなるから苦手なんだよね」
「や、やだ、ダメ!」
「何が? バイブ使うのダメなの? そんなに僕のがいいの?」
偽物と本物なら、本物のほうが好きだけど、今はそんなことを素直に答えている場合ではない。
「大丈夫。ぐずぐずに蕩けたところで、僕のを挿れてあげるから。たくさん濡らしてね」
全然、大丈夫じゃない!
左手で器用に私の腕を押さえつけて、悪魔は微笑んだ。
「じゃ、あかりちゃん、気持ち良くなろうか」
冷たいシリコンの先端が蜜をすくうように割れ目を往復し、膣口に宛てがわれると同時に――電池のスイッチがオンになった。
バチンと手を叩く音と無遠慮な声が近くから聞こえてきた。
そっと目を開けると、荒木さんは「何コイツ」みたいな表情で声の主を睨んでいる。その視線の先をたどり、驚いて息を呑む。
「……誰?」
「ケント、く……?」
「あかりちゃんから離れて」
冷たい目をした美少年がそこに立っていた。仁王立ちだ。腕まで組んで、娘を心配する父親のような形相で睨んでいる。……ええと、怒っているようだ。
「月野さん、彼は?」
「あ……遠縁の親戚です」
セフレです、とは口が裂けても言えない。とにかく、今は言えない。
サキュバス・インキュバスに血縁なんてないんだろうけど、同族であることに変わりはない。当たらずも遠からずといったところだろうと、自分でも納得する。
「ケントくん、彼は同僚の荒木さん。ここまで送ってもらったの」
「ふぅん。送ってもらった、ねぇ」
疑いの目で荒木さんをジロジロ見て、不機嫌が直らないケントくんは、ぐいと私の手を引いた。そして、私を背中に隠すようにして、荒木さんの前に立ちはだかる。
ケントくんのほうが荒木さんより背が高く、荒木さんは見下ろされている形になる。
「それはどうもありがとうございました。でも、もう大丈夫なんでお引き取りください」
「うん、そうさせてもらうよ。月野さん、今日はありがとう。また」
「あ、はい。素敵なお店を教えてくださって、ありがとうございました」
形式的な挨拶を終えて、荒木さんが帰っていく。すんなり引き下がってくれて、本当に安心する。ホッと胸を撫で下ろす。
「あかりちゃん、部屋に入るよ」
ケントくんは私の手を引いて、階段を上る。不機嫌はまだ直らない。私の部屋の扉を開け、ケントくんは私を玄関に押し入れる。
既に、部屋の電気はついている。
……あれ?
「ケントくん、カギ、どうし――んむっ」
玄関の壁に背中と両腕を押し付けられ、唇が乱暴に重ねられる。歯が当たりそうなくらいの口づけをされ、口内を舌が犯していく。
「あっ、やだっ」
ブラウスのボタンが外され、キャミソールがたくし上げられ、ブラから乳房が取り出される。その先端をペロリとひと舐めされただけで、ビリリと体が疼く。
「やっ、ん、ケントく」
「……濡れてる。あかりちゃん、そんなにあいつを受け入れたかったんだ?」
ストッキングの上からでもわかるくらい、ショーツもその奥も濡れてしまっている。スカートをたくし上げられて指で確認され、私は羞恥に身悶えるしかない。
「だっ、て……好きな」
だって好きな人なんだもん。好きな人から求められたら、受け入れたくなるでしょ。
声にならない抗議は、唇の中に消えていく。
それより、カギは? 何でケントくんがここにいるの?
疑問が浮かぶけれど、尋ねる機会がない。熱い唇と舌に邪魔され、言葉が紡げない。
「……挿れたい」
甘い吐息に混じる熱。体がぞくりと粟立つ。さっきは荒木さんの好意を受け入れようとしていた体が、今度はケントくんの行為を受け入れようとしている。
結局のところ、私の体は、精液が搾取できれば相手は誰だっていいのだろう。
誰だって、いいのだ。たぶん。
「ここで?」
「ん。もう我慢できない。あかりちゃん、すごい匂い。クラクラする」
「知ら、な……っ、ふ」
ストッキングを太腿までずり下げ、ケントくんは躊躇することなくショーツの中に指を入れる。そして、滴り落ちるほどに蜜に濡れた膣口に中指を侵入させる。
「んんんっ!」
「すごい濡れてる。あかりちゃん、わかる?」
ぐちゅぐちゅと響く音をわざと立てて、ケントくんは私の中を指で犯す。私の好きなところを的確に突いてくる指が、甘い痺れを誘発する。
指だけじゃ我慢できない。もっと太くて硬いものを――ちょうだい。
「あかりちゃんも欲しい?」
ハーフパンツの上から硬く反り立った肉棒を撫でると、ケントくんの甘い声。その誘惑に抗えるわけがない。パンパンになったものを布の上から優しく扱きながら、直に触りたいと願う。
「……欲しい」
「僕も」
くるりと体を反転させて、壁に手をつく。ショーツがずり下げられると同時に、熱を持った肉杭が膣口に宛てがわれ、一気に隘路を割った。
「ああっ!」
軽く達してしまったのは、不可抗力だ。奥深くまで貫かれ、待ちに待った刺激に、体が歓喜した。
「あかりちゃん、締めないで」
「無理っ、だって、イッちゃ、あぁぁっ」
最初から激しく抽挿され、イッたばかりの膣内がさらにケントくんの肉棒を締め上げる。蜜が溢れて仕方がない。
壁にすがりついて、快感を享受する。早くも足が崩れ落ちそうだ。気持ち良すぎて立っていられない。
「おいし。我慢しないよ。出すよ」
「ケントくっ」
「ごめん、出る……っ」
どくんと最奥で精液が弾ける。ビクビクと震える肉棒を締め上げて、白濁液を搾り取る。相変わらず、量が多い。美味しい。
週末の精液の確保、何とかなったなぁなんて思いながら、背後で荒い息をしながら「食事」をしているケントくんを睨む。
「説明、してね、ケントくん」
「え? 何を?」
「なん、で、カギ、持っているのか」
ケントくんはぎゅうと私の腰を抱きしめて、笑った。
「こないだ、あかりちゃんが寝ている間にちょっとスペアを探して、ね」
「はぁっ!?」
確かに、合鍵はチェストにしまってあるだけだから、簡単に取り出すことができる。そして、私も毎日確認するわけじゃないので、合鍵がなくなったのに気づかなかったというわけか。
「ま、いいじゃん。結果的に僕がヒーローになれたんだから」
「ヒーロー?」
「迫られて困っているあかりちゃんを助け出すヒーロー!」
迫られて困っていたのは事実だから、反論はしない。あのまま荒木さんにキスされて、さらに抱かれていたら、絶対に後悔していたはずだ。確かに、ケントくんがいてくれて助かった。
けど、ヒーローは紳士であるべきで、助けた女を乱暴に抱いたりはしないはずだ。きっと。
「あ、んっ」
ピンと乳首を弾かれて、体が震える。一向に萎えてくれない肉棒から、そろそろ解放して欲しいんだけど。
……って、いやいや、まさか、だよね?
「今日は一段とあかりちゃんの体が美味しいな。ね、二回戦、付き合って」
「やだ、無理! 立ってらんないよ!」
「わかった。じゃあ、正常位か後背位にしようね」
何が「じゃあ」なのか!
せめて、服を脱いで、ベッドかソファで!
……そんな私の願いは聞き届けられることなく、玄関先の廊下で声を我慢して汗だくになりながら、たっぷり貪られる羽目になるのだった。
◆◇◆◇◆
「へえ、あかりちゃん、ああいう男が好みだったの?」
シャワーを浴びてソファに寝転ぶケントくんに、洗濯物を干しながら最近のことを報告する。とりあえずは、さっきの荒木さんのこと、だ。
「豹変する前の荒木さんが好きだったんだけどね」
「ま、仕方ないよ。甘いものが好きで、匂いに敏感な人なら、あかりちゃんの匂いは特別美味しそうに思えるだろうし」
「……そんなに匂う? どんな匂い?」
「飴とか金平糖とかの甘ったるい匂い」
思いの外、甘い匂いなんだなと想像する。……甘いもの苦手な湯川先生、そんな匂いによく耐えていたなぁ。ほんと申し訳ない。
「食事をしたくなると匂いが出てくるのは普通のことだよ。フェロモン? とにかく、異性を誘うための匂いだね」
「サキュバスもインキュバスも、結構動物的なんだね」
発情期みたいなものかと納得させる。私たちは年がら年中、発情期みたいなものか。まぁ、間違いではない。毎日セックスだと疲れるけど、たぶん毎日でも精液は受け入れられる。
「しかも、あかりちゃんはあいつが好きなんでしょ? じゃあ、あいつの近くにいると匂いは強くなるだろうね」
「なるほど」
「あいつもあかりちゃんのこと好きなんだよね……嫌だな」
ペットボトルの飲み口をガジガジと噛みながら、ケントくんは唸る。綺麗な顔なのに、眉間にシワを寄せちゃって。
それにしても、ケントくんが泊まる気満々だったのが解せない。荒木さんとの夕食中に『今から泊まりに行くね』というメッセージが入っていたのも、解せない。私の都合なんてお構いなしなのが、解せない。
本当に、もう。
それを受け入れている私が一番、解せない。何で許しちゃうかなぁ……もう。
「あいつもセフレに加えるの?」
「んー……それは、どうかな。荒木さんは職場の人だから、あまり波風立てたくなくて。それに、今の彼氏のはとこだし」
「は? カレシ? 聞いてない。どういうこと?」
「あ……セフレを彼氏にしたの、まずかった?」
洗濯物を干し終えて、窓とカーテンを閉める。振り向いた瞬間に、ケントくんに抱きしめられる。
「僕がパートナーになってって言ったときは断ったのに、何で他のセフレならいいわけ?」
「……ケントくん、妬いてる?」
「多少はね」
ソファに先にケントくんが座って、その膝の上に座るよう要求される。ケントくんに背中を向けて座ろうとしたら、向きを変えられた。
結局、向かい合わせで、ケントくんの太腿をまたぐように座る羽目になっている。ケントくんはTシャツ一枚しか着ていない。トランクスは洗って窓の外。つまり、彼の下半身が丸見え。これはちょっと恥ずかしい。
「じゃあ、僕も彼氏になる」
「え、やだ。さすがに中学生を彼氏にはしたくないよ」
「あかりちゃんはカタイなぁ。インキュバスに年齢なんてないようなものなのに」
確かに、ケントくんは中学生にしては老け顔だし、体の成長も止まっている。成人男性よりも高い身長は中学生にしては目を引くが、あと何年かすれば「ちょっと高いね」程度になる。
私も二十五歳にしては若いと言われる。二十歳前後の姿なのだから、仕方がない。
でも、ケントくんは今は中学生。制度上では。彼氏だと公言するわけにはいかない。
「好きな男には簡単に流されるくせに、僕には流されてくれないなんてムカつく」
「……ごめんね? あと三年待ってくれたら」
「十八? あのね、あかりちゃん、僕は」
Tシャツの上から乳房を揉みしだきながら、ケントくんは私にそっとキスをする。
「僕は?」
「僕は……そのときにはもう日本にはいないの」
寂しそうな視線がぶつかる。そういえば、彼は日本に「来ている」だけだった。
「スウェーデンに帰るの?」
「向こうの大学に行くつもりだからね」
「そっか。寂しくなるね」
ぎゅうと抱きしめられて、視界がぐるりと反転する。背中にソファの感触。目の前にケントくんの顔。押し倒された。
ケントくんは真剣な目で私を見下ろす。
「本当に、寂しい?」
「え?」
「僕がいなくなったら、寂しいって思う? あかりちゃんは寂しいって思ってくれる?」
セフレさんと別れるときはいつもそうだ。多少は寂しい。体だけの関係だとしても、情はあるわけだから、やっぱり、寂しいよ。
「思う。ケントくんがいなくなったら、やっぱり寂しいって思うよ」
「ん、ありがと、あかりちゃん」
どれだけ酷いことをされても、そう思うんじゃないかな。たぶん。
「じゃあ、僕がスウェーデンに帰るとき、一緒に連れてってもいい?」
「それはお断りいたします」
「即答!?」
食事に困らない相手がそばにいるのは心強いけど、国境をまたぐほど食料に困っているわけではない。必要のない選択だ。
「日本から出てどこかで永住することは考えていないよ」
「残念。絶対過ごしやすいのに」
「誘ってくれてありがとうね。日本にいる間は、体を提供してあげるから」
色素の薄い髪を撫で、唇を受け入れる。甘く蕩けるようなキスをしながら、太腿に押し付けられた熱が少しずつ怒張してくる気配を感じる。
ズルリとショーツを脱がされ、お互いTシャツ一枚だけの状態になる。亀頭がヌルと割れ目を這う。濡れている、ようだ。
「あかりちゃんの体、好きにしていい?」
「痛いのとか、無理やりはダメだよ?」
「んー……」
いやいやいや、そこは頷いてよ。痛いのとか無理やりは許可できません! ケントくんは前科があるんだから、気をつけてもらわないと!
「ね、あかりちゃん」
「ん?」
「コレ、使っていい?」
ガサリ、どこかで音がした。紙の音。紙袋の、音?
「コレ使ったら、どうなるの?」
ケントくんの手に握られていたのは、既に開封された――極太くん。黒光りする憎いやつ。相馬さんの置き土産だ。
……何で、ケントくんがそれを!?
「やだ! ちょっと、それは!」
「何であかりちゃんが持ってるの? コレ、精液出ないよ?」
「わかってるよ! それは貰い物だけど、処分しようと――んんんっ」
取り上げようとしたけれど、リーチの差に愕然とする。ケントくんの指の先には全然届かない。うるさいとばかりにキスまでされて、私の腕が空を切る。
「ローション使わなくても挿入るよね? ローション使うと、愛液がうまく吸収できなくなるから苦手なんだよね」
「や、やだ、ダメ!」
「何が? バイブ使うのダメなの? そんなに僕のがいいの?」
偽物と本物なら、本物のほうが好きだけど、今はそんなことを素直に答えている場合ではない。
「大丈夫。ぐずぐずに蕩けたところで、僕のを挿れてあげるから。たくさん濡らしてね」
全然、大丈夫じゃない!
左手で器用に私の腕を押さえつけて、悪魔は微笑んだ。
「じゃ、あかりちゃん、気持ち良くなろうか」
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2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
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