【R18】サキュバスちゃんの純情

千咲

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あとがき

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「サキュバスちゃんの純情」読者様、応援ありがとうございました。
ようやく完結です。……完結です。


以下、私がひたすらダラダラ語るだけのあとがきなので、読了後の気分に浸りたい方は読まなくても大丈夫です。


◆◇◆◇◆


「ビッチな女の子を書いてみたい。最初から最後までエロを書いてみたい。できれば年上女性と年下男子の絡みを!」という欲から、「サキュバスちゃんの純情」が誕生しました。
世間一般で知られるサキュバスとは違い、妊娠もしないし、夢に現れたりもしない、人間のようにうじうじ悩む普通の女の子になってしまいましたが、概ね満足しています。不老ということで、究極の年上キャラでしたし。

村上叡心という夫に身も心も捧げたのに、生きるためにセックスをしなければならない――そんな体を持ったことに葛藤しながら、心だけは叡心に操立てしようとする清楚系(?)ビッチなヒロインでした。


サキュバスちゃんと関係を持った男の人は書いただけでも結構いますが、「逆ハーレム」という理想郷をどう決着させるか、大変悩みました。
何しろ、読者様の推しメンはみんな違いますし、全員の方を納得させられるだけのエンディングを書く筆力もないので、本当に悩みました。

けれど、『げんしけん』20巻でのアンジェラのセリフ。
『ハーレム物なんて誰と結ばれたって全ての読者を満足させる事なんてできない』
『誰も傷つかない幸せな結末を迎えるためには、まさにそのままのハーレムエンドしかない』
に、救われた気がしました。
すべての読者様を満足させることはできないけれど、できる限り傷つく人(キャラも含め)がいないエンディングを迎えさせてあげよう、と結論付けるに至りました。


それまで頭の中で構想していたのは、サキュバスちゃんが叡心先生のもとへ逝ってしまうバッドエンドでした(サキュバスちゃんにとってはハッピーエンド)。
でも、そうするとセフレさんたちが悲しむに違いないし、私も悲しい。読者様も悲しい(かもしれない)。
ならば、サキュバスちゃんに「前向きに生きる」ことを課してみよう、と思い至ったわけです。

そして、叡心先生と過ごした港町に墓参りのために(過去の自分との決別のために)やってきたサキュバスちゃんを、誰が迎えに行くか――そこを書くための物語を作ることになりました。
叡心先生との精神的な別れのあと、誰かに迎えに来て欲しかったんです。
「誰」にするかは、本当に直前まで悩みました。

サキュバスちゃんの記憶の中で美化され続ける叡心先生を上回るだけの相手、を考えるのは難しかったです。
特定の一人に絞るという手も考えていましたが、どうしても叡心先生を超えられないままエンディングを迎える気がしました。
サキュバスちゃん自身も初恋(初めての夫)をこじらせている人ですし、彼女が納得できる形と相手を決めるのは容易ではなかったです。
結局、ああいう形でのハーレムエンドとなりました。
賛否両論あるとは思いますが、私は満足しています。

推しメンが選ばれなくて立腹なさる方もいらっしゃるとは思いますが、それは私の不徳の致すところです。筆力の限界です。すみません。
けれど、最後まで読んでくださってありがとうございました。

体と心、性と生――その二律背反。
使い古されたテーマでしたが、書くことができて良かったです。


反省点といたしましては、前作長編「君がため」と比べると、エロ度が少なかったかなぁ、と。
「エロあります。お気をつけください。」は単語登録して何回使ったのかわからないのですけど……サキュバスちゃんが性に奔放で淡白だということを抜きにしても、ちょっと汁気が少なかったかなぁと反省しています。
多数プレイや玩具プレイを初めて書いたので、私としては満足していますが、物足りない方には物足りなかったかもしれません。
……つわりと出産のせいか、私の筆力のせいか……まぁ、両方だと思います。すみませんでした。

あと、叡心先生・水森貴一の方言はナシにして、標準語に近づけております。広島弁備後弁は、文字にすると案外読みづらかったのでした。
当初は普通に「じゃけえ」とか書いていました……書かなくて良かったかもしれません。

余談ですが、箱根・軽井沢・尾道など、それぞれの場所や建物にモデルはあります。一応。
「あそこのことだな」と思えるご存知の場所があったら、ニヤリとしていただければ幸いです。


◆◇◆◇◆


以下、登場人物たちのその後と裏話です。

・宮野さん
結婚をして、出世をして、銀行員として普通の人生を歩むと思います。サキュバスちゃんのことは頭の片隅にはありますが、「生かされている」ことに感謝しつつ、思い出として胸のうちにしまっておく、そんな人です。
でも、たぶん、ソファは捨てられません。

サキュバスちゃんが自分の気持ちに気づくのがもう少し早かったなら、彼も恋人・夫になっていたかもしれません。
ちょっとタイミングが合いませんでしたが、銀行員としての人生を大事にするなら、そちらのほうが正解かなと思います。


・相馬さん
佐々木先輩と結婚、婿入り。彼女の実家を継ぎ、色々と画策して工場を立て直す、はず。
巨根は相変わらず。佐々木先輩との間に子どもができるのも時間の問題でしょう。

玩具を出したかったので、彼というキャラクターを作りました。でもあまり書けなくて消化不良でした。残念。


・ケントくん
彼の大学進学まで関係は続くかと。ノーマルプレイに飽きちゃっているので、一番アブノーマルなプレイを強要されそうです。大変だ。
スウェーデンに戻るか、日本に留まるか、彼の進路関係でひと悶着ありそうです。

彼は最初インキュバスではなく、ただの素行の悪い少年として書く予定でした。が、あんな感じになりました。
条例的な配慮をしたとかではないです。決して。年下男子、ご馳走様です。


・健吾くん
少し女性に優しくなるだけで、彼はモテると思います。兄ほどではないにしても。
彼女を作り、サキュバスちゃんから離れるのは、案外と早い気がします。

似ているようで似ていない双子と複数プレイ!という欲から生まれたキャラクターです。童貞ご馳走様でした。
ツンデレキャラ登場に、一瞬読者様の心が奪われましたが(キャラ投票)、その後の兄の巻き返しには勝てませんでした。


・水森さん
彼とは今後必要以上に接点を持つことはないかと。ケーキバイキングに誘われたら行くかもしれませんが、相談者以上の関係には発展しないでしょう。
尾道に迎えに来る人リストの中に彼も入っていましたが、泥沼の未来しか描けそうになかったので、却下しました。

セフレにならない男性がいてもいいなぁと思って彼が生まれました。
昔の男の子孫というのもロマンがあるかな、サキュバスだと知っているのも面白いかな、と欲張ってしまったら……こんな捻くれ者になってしまいました。でも、案外彼のことは好きです。


・荒木さん
気の合うM女子が見つかると良いですね!
……ケントくんのセフレさんの中からMな子を紹介するという下世話な話や、営業部に元セフレ(妹尾さんではない福岡時代の人)が配属されてきてサキュバスちゃんピンチという話を考えたりもしましたが、お蔵入り。

ケントくんではなく、当初は彼がインキュバスの予定でした。
途中でキャラ変更をしたせいで、「荒木さんとは何者か」わからなくなりまして……本当に悩んで悩んで悩みました。
結果、得体の知れない不気味な人になってしまいました……未だに彼のことがよくわかりません。
ちゃんとキャラクターを作り込むべきでした。ごめん、荒木さん!


・湯川先生・翔吾くん
湯川先生の就活がどうなるか……どこに配属になるにしても、翔吾くんもついてくるでしょうね。
そして、しばらくは三人でいちゃいちゃするんでしょう。アナルを守り抜け、サキュバスちゃん!(笑)
しかし、翔吾くんが「サキュバスちゃんに執着する強い意志」がない限り、いつか脱落してしまうかもしれません。正直に言うと、何年か後のそういう葛藤も書いてみたいのですが、まぁなかなか執筆時間・状況的に難しいところです。
そうなると湯川先生の一人勝ち?
いずれは湯川先生が小さなクリニックを始めて、サキュバスちゃんが手伝うという形の未来もありそうです。

人気者二人でしたが、ちょっと同じような性格だったかなぁと反省しています。もう少し違う性格でも良かったかなぁ、と。
でも、二人の出会い編とサキュバスちゃんが覚悟を決める所を書けたのは良かったかな、と思っています。


◆◇◆◇◆


今後は「月光の誘惑」《番外編》にて、一夜限りの情事やセフレさんたちとの(本編には絡まない程度の)アレコレを書きたいと思っています。
本編の後日譚や小咄は、本編の続きとして書いてみたいとは思いますが、いつになるかは明言できません。小咄1話だけはすぐに公開いたします。
お待ちいただけるなら、頑張ります。


構想から約8ヶ月。
逆ハーレムという初めてのジャンル、今までにない長い話、大勢のキャラクター、定まらない着地点……加えて、妊娠出産という人生の節目をこの作品と駆け抜けることになりました。
つわりは本当に大変でしたし、構想を練り直す過程は苦しかったですが、全体として見ると、非常に楽しく執筆できたと思います。
本当に楽しかったんです。

ドリノベ・ムーン・アルファ等、それぞれの投稿サイトを通じ、今までの長編連載にないくらい、読者様から感想や拍手、レビューをいただいて、本当に励みになりました。
ありがとうございました。嬉しかったです。
最後まで書き続けることができたのは、皆様がいたからこそです。
未熟な作者ではありますが、支えてくださって、本当に本当に、ありがとうございました。


また他の作品でお会いできたら、幸せです。

拙作にお付き合いくださって、ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
心から感謝いたします。


千咲

(来週は小咄を2話更新いたします。話の途中で書き切れなかったアレコレ……是非、お楽しみくださいませ)
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