出会いは新たな希望(のぞみ)をもたらす

天パー侍

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~出会い~

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出会いは新たな希望(のぞみ)をもたらす
                         ~出会い~

運動をして汗をかく事は、汚いことだと思っている人もいるが、実際汚いとは限らない。運動をして汗をかいて爽快感を味わい、そして運動が終わった後の達成感が半端ない。まぁ、その達成感が味わえるのは勝者のみだがな。

今俺、氷室 荀はその達成感を味わう為、目の前にいる強敵を討ち果たそうとしていた。お互いの得物を構え、隙があらば狙おうとしている。だが、その均衡も束の間、敵が一瞬前に出たところを逃さず一気に間合いを詰め、振り下ろさず、突き刺すに近い感覚で頭部を狙う。

これは貰ったも当然だ。俺の勝ちだな。

そう自身の勝利を確信していたとき、読んでいたかのように相手は即座に得物を水平に構え、俺の打撃を受け止める。かと思えば、そのまま武器を返し、俺の横っ腹目掛けて払って来る。
そのまま打突部位である胴に当たり、竹刀のしなる音が響く。
「胴あり!!」
俺と先生の中間の存在である、審判の判定が武道場に木霊し、先生側に赤旗が翻る。
敵の打撃は見事命中。結果、試合開始の相面、先程の返し胴で俺の二本負けに終わった。
『ありがとうございました』
蹲踞姿勢から納刀し、後ろに下がりいつもの言葉を交わす。
「やっぱり先生は強いですね。これじゃあ、俺が勝てる日なんて一生来ませんよ」
若干自嘲気味で笑うも、どこか悔しいものがあった。
「だが、成長は感じられたぞ?少しだけだがな」
右手の親指と人差し指で、少量の砂糖を摘むぐらいの感覚で表現し、俺と対象的に豪快に笑い、生徒の成長を楽しんでいるようだった。
「さて、俺に負けた罰として、今日は竹刀を持ち帰って自宅素振り1000本だ。負けた罰のこと、忘れてないとは言わせないぞ?」

うっかり忘れてました。すみません…。

先にふっかけたのは俺なのに、今更無しにすることは無理だろうな。

剣道の部活を終えた後、早々に着替えを済まし、真面目な俺はしっかりと竹刀を背負い、私物がたんまり入ったスクールバッグを肩からぶら下げ、武道場を後にしようとする。
「くっそ~、絶対に今度こそは勝ちますからね!」
去り際の捨て台詞みたいな感じだと後から気づいた俺は、思わず苦笑を漏らす。

沈みかけた夕日に照らされ、鼻歌まじりの歌を歌いながら自転車で高校からの帰路につく俺は、心の中で、どうすれば勝てるかを模索していた。
やっぱり日々の鍛錬が重要なのは確かで納得が行くのだが、今の俺には他が足りなさすぎる。いっそのこと、昔の合戦、戦争のような実戦とかで鍛えられたら良いのに。
思いに耽っていた次の瞬間、後輪が何かを巻き込んだらしく、バランスが上手く取れなくなる。
「何で今日はよりによって、運が悪いかな…」
必死に後方に左手を伸ばそうとするも、背中の竹刀が邪魔をし、上手く後輪に何があるのか判別をつけることが出来ない。思わずムキになり思いっ切り手を伸ばすが、その結果、バランスを更に悪化させ、勢い余って縁石を乗り越え車道に飛び出す。
しかも、丁度こちらに向かっている市営バスの方に。車掌はいきなり出てきた自転車に驚き、焦りながらブレーキを踏む。だが、少し遅かった。
「嘘、だろ…?」
もうバスの前面は顔のすぐ目の前にまで迫っていた。死ぬ直前というのは、時の流れが遅くなるのだろうか。ゆっくりと迫っているように見えた。
次の瞬間、猛烈に眩しい光が辺り一面を覆い、その結果、閃光手榴弾でやられたかのように、一瞬にして視界が奪われる。目が焼けるように痛い。閉じて防ぐのが精一杯だ。何が起きたのか、頭が混乱し思考を回転させることさえ不可能である。
暫く経ち、恐る恐る目を開けてみると目の前には別の世界が広がっていた…。
「ここ、どこ?」
見た事のない大地、青々と生い茂った緑、清く澄んだ空、辺り一帯の緑の絨毯と思えるような美しい草原、そして遠くを見てみると中世ヨーロッパ風の城が立っており、その付近に街が栄えている。
ここがどこなのかさえ検討のメドが立たない。
思わずの出来事により、気が動転する、というよりも唖然としてただ、立ち尽くすことしか出来ないでいた。
「もしかして、タイムスリップ…したのか?」
それに、あの城の形状はフランス王国の頃によく似ている。
なるほど、そういうことか…。
歴史好きな俺には分かって当然のことだ。
「分かったぞ!さては百年戦争の頃にっ…」
不意に謎の轟音が轟き、鼓膜に響いたので思わず塞いでしまう。だが、何かの気配を感じたので上空を見上げると、全身が、頑丈そうな鱗に覆われた、翼の生えた蜥蜴が空を堂々と羽ばたいていた…。
恐らくその正体は、たった今翔んでいるドラゴンの咆哮だろう。
「百年戦争の頃にドラゴンなんていたっけか…?」
いや、いるわけが無い。
まずは状況を整理しよう。恐らくタイムスリップではなく、別に次元に飛ばされたのだろう。
私物を探す為、周囲を見渡すが、あるのはスクールバッグと竹刀が入っている竹刀袋のみが転がっているだけであった。だが、ブレザーの内側を確認してみると、財布、スマホはしっかりあった。
「はぁ、やっぱり駄目なのか」
何となく分かっていたが、一応確認したところ、スマホの電波は予想通り圏外だった。
「どうすりゃいっかな…。どうせ言葉も通じないだろうし」
思わず地面に座り込んてしまい、その場で胡坐をかく。
もはや絶望的である。お先真っ暗である。それもそのはず、いきなり別世界に飛ばされたのだから無理もない。

だが、思考していたところ、首筋に金属のような冷たいものが添えられた。
これは絶対にあれだ。死をもたらすものだ。
「Hie,duy fokdre siger?」
その動作に続いて、はっきりと聞こえる凛とした、女性らしき声のような聞いたことのない言葉が聞こえた。英語でも、ドイツ語でも、フランス、イタリア、ロシアでもない、何とも不思議な発音の仕方だった。
これはあくまで予想だが、俺に問いている前提で考えて、恐らく誰何しているのだろう。
「待て、俺は怪しいものじゃない」
ひとまず、通じなくても良いから弁明をしようと試みる。
「Sdut!」
ついでに振り向いて顔を確認しようとしたら、首筋に刃の部分を更に押し付けてきた。
動くな、と言ったのかな?
だが、俺もそこまで簡単に殺られるほど甘い男ではない。
袋から抜いている時間はない。こうして考える合間にも、いつ殺られるかも分からない。
丁度手元にあった竹刀袋を右手で咄嗟に握り、振り向き様に、背後にいる敵の右腕辺りに叩きつける。
振り向き様に見えた敵の正体は、艶やかな長い空色の長髪をした、サイドテールをしている端整な顔立ちの西洋甲冑を纏った女性騎士がいた。
そして、重厚な金属音が響き、確認したところ、叩いたのはどうやら腕当と言われる肘から下辺りの腕だった。
遠心力がかかった薙いだ打撃は、どうやら俺の方が勝ったらしく、豪快に後ろに尻餅をつく。
甲冑というのは、重量が素晴らしく重くて、1度倒れるとなかなか起き上がれなくなる代物なのだ。
すると、その女性騎士は身体をぷるぷると震わせ、怒りを露にする。
「Seim…」
ん?何が言いたいのだろうか。それに、左手に球の様なものがだんだん集結して大きくなっているし。
「Pgronte!」
サッカーボールぐらいに大きくなったと思いきや、するといきなり、尻餅をつきながらも左手を俺に向かって突き出し、球状の物体を放つ。
あ、これヤバいやつだ。
そう悟ったときにはもう遅く、気付けば顔面に直撃していた。
だが、ぶつかったと同時にその球状は煙になり、両耳の中に一気に入ってくる。不思議なことに、脳や身体、神経や髄の隅々まで何かが浸透していくのを感じた。
「くっそ、いったい何しやがったんだ…」
しかも、煙のせいで光と同じくまた周囲が見えない。
「ようやく言葉が通じるようになったな」
「何だと…?」
どういうことだ。日本語を話しているやつがいる。
煙が晴れた先に居たのは、先程まで尻餅をついてた女性騎士が、堂々と立ち、両腕を腰に当ててどや顔でこちらを見ていた。
「俺に何をした!それになぜ言葉が通じる!」
「そう案ずるな。私がお前にしたのは、言葉が通じるようにする為の魔法だ。特に害は無い」
だが、何故俺はその魔法をかけられたのだろうか。向こうは敵だと認識しているはずなのに…。
「因みになぜ敵であるお前に魔法をかけたのかというと、そんな田舎の方言のような言葉で、私とお互い言い合っては、埒があかぬ。だからまずは、言葉を通じるようにし、徹底的に嬲り殺そうとしただけだ。そ、それに、私にあのようなことをして、辱めたのだからな!」
彼女は顔を紅潮させて、俺に先程向けたと思われる全長90cm以上はあろうかという、推定1.5~1.8kgあると思われるロングソードを何と片手で振り回していた。
「ちょっと待って!それ重くないの!?それにその剣って、斬る、突く為の武器だよね!?」
「それは常識の中で通じることだ。私は常識には興味も無いしそれに則るつもりも無い」
何ともまぁ、型破りな性格である。
「ひとまず、一旦俺の話を聞いてよ!」
「ええい、鬱陶しいぞ。大人しくボコボコにされろ」
随分と理不尽な話に思わず唖然としてしまう。

すると彼女は右手にある柄に左手を添え、右足を引き、いつでも切り返せるよう臨戦態勢に入っていた。

今日で死を覚悟するのは何回目だろうか。
少なくとも、自己最多記録、絶賛更新中なのは確かだ。

「おい、見てみろ。女騎士と変な格好をした野郎が争っているぞ」
「ほんとだお頭、さっさと身ぐるみ全部剥いて、2人共奴隷商人に売り捌いてやりましょうぜ」
本格的に覚悟を決めようと思ったら、ふと、横から声がしたので、お互い振り向いてみると、そこには、見るからに貧相な2人が卑しそうな笑みをしていた、お頭と呼ばれた男が肩に担いでいる少し年季の入った武器はグレートソード、もう1人が構えている武器はモーニングスターと言われる殴打武器であった。先に付着している血はまだ新しそうで、ここにくる前にも人を襲ったのだろうか。その状況を酷く物語っていた。
格好を見るに盗賊の者達だな。

「何だ、薄汚い野郎共がこの私に何か用入りか」
彼女は彼らに一瞥をし、怖じ気付く様子も無く、寧ろ、蔑んだ瞳で彼らを罵っていた。
「な、何だと…!女の分際で生意気だ、な!」
お頭は愚弄された事に酷く頭にきたらしく、彼女に向かって、袈裟斬りの様に右肩から切り掛かろうとしていた。
「甘いな」
だが彼女にとって、その動きは予想済みだったらしく、振り下ろされる丁度良い間際で横に避け、勢いのままロングソードをうなじ辺りに振り下ろした。見ている様子はまさに、剣道で言うところの小手返し面の実戦版だった。

その斬ったときに返り血が俺の顔にかかる。血はまだ温かく嫌な温度だった。

お頭がうつ伏せに倒れた付近は、うなじからの流血が美しい緑の絨毯を真っ赤な血に染めて仕上げた。
「全く、剣の使い方がなってないな」
その様子を見ていた俺は、あまりのグロテスクさに膝をつき、口元を押さえながら嗚咽をしてしまった。日頃慣れないものだから、仕方ないのかもしれない。
女性にかっこ悪いところを見られていることに、羞恥を覚え、バカにされてないか彼女に目をやったら、情けないと思ったのか、予想通り苦笑をしていた。だが、俺にはそこに目が行ってなかった。何故ならば、彼女の背後からもう一人が襲い掛かろうとしていたからだ。
彼は油断している背後にタックルを食らわせ、彼女が怯んだ瞬間に肩を掴み転倒させて、仰向けになったところに跨っていた。
「ぐへへ、売り飛ばす前にまずは俺が可愛がってやるよ」
その様子を見て、怯むほど弱い人間ではなかった。俺はまだ来る嘔吐感を堪えながらも竹刀袋から一本の竹刀を咄嗟に抜き取り、鍔をつける時間も惜しかった。
「可愛い女性に、手を出すんじゃね!」
気付けばその場から勢いよく飛び込み、数十cm前を踏み込み、盗賊の喉の付け根辺りに剣先を勢いに任せて差し込む。
「突き!!」
技名はその名も、突き。数年前、中学の試合中に突きをして相手選手の喉を突き破って殺した事件があり、それ以降から中学では使ってはいけないとされた、禁止技である。
まぁ、高校は関係ないがな。
「ぐはっ…」
竹刀が手から滑り、彼の喉に突き刺さったままになり、口から赤い放物線を描きながら後方に倒れ込んだ。
「どうしよう…人を殺しちゃった!」
自分のやった事に思わず青ざめ、殺害をしてしまったという激しい後悔と、彼女と自分を助け助かった安堵感の板挟みになり、発狂しそうになった。立っているだけの状態でも頑張っている方だ。
「良くやった、助けに感謝するぞ」
振り向くと、彼女がもう既に立ち上がっており、俺の肩に手を掛けて健闘を讃えてくれた。
「え?あぁ、どうも」
「ところで、お主の武器や服装、持ち物は異風だな。今思えば話していた言葉も聞いたことがないし」
「今更かよ!?」
思わず突っ込んでしまった。彼女はどこか抜けているのか?
「俺は氷室 荀。日本国の出身なんだけど、どうやらこの世界に飛ばされたらしいんだ」
果たして信じてくれるのだろうか。

「ニホン?聞いたこと無いが、まぁ良かろう。よろしく頼むぞ。ヒムロとやら。私は高貴なる、魔法騎士ウィシュタリア一族の1人、リーフィリー・アラカント・ウィシュタリアだ。今は滅びかけた一族を復興させる為、旅をしている。」
意外とあっさり信じてくれたようだ。
「ところで、魔法騎士とは?魔法が使える騎士、ということか?」
「あぁ、そうだ。魔法騎士は今や貴重な存在だ」
「それでここはどこだ?」
何だか質問ばかりで申し訳ない気がする。
「ここはエレヴァノス帝国だ。ようこそ、我らの帝国へ」
その時、俺らが居る丘に少し強い風が吹き上がり、彼女の綺麗な長髪を掻き上げながら、城のある方角へ靡いた。まるで、俺をこの国、いや…この世界に迎え入れるかのように。
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