俺の番が最凶過ぎるっ

星宮歌

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第二章 復活と変化

第五十一話 全てを終えて

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「んん……ここ、は……?」


 ぼんやりとした様子のルカは、まだ覚醒しきっていない頭で辺りを見渡す。
 そこは、見慣れたはずのシグルドの家。それを認識したルカは、すぐにその温もりを探す。


「んぶっ……ルカ……?」


 探そうと思って、ベッドを叩くつもりが、どうやらシグルドの顔に直撃していた。しかし、そんなことを気にするシグルドではない。とりあえず、シグルドの第一声は『ルカ』で決まりなのだから。


「あ……」


 手が当たったことに気づいたルカは、その手を咄嗟に引っ込めて、シグルドの方へとゴロリと向く。


「っ、ルカっ! ルカっ、大丈夫かっ! まだ、苦しかったり、痛いところとかないかっ!!」


 しかし、その途端、ガバッと跳ね起きたシグルドの矢継ぎ早な質問に、ルカは目を白黒させる。


「えっと……?」

「っ、すまないルカっ!」


 シグルドの鬼気迫る様子に困惑するルカは、突然謝罪したシグルドによって、体を弄られる。


「うわっ、ちょっ!?」

「がふっ」


 咄嗟に足が出たルカによって、シグルドは、顎を蹴り上げられて、ゴツンとベッドの下の床に頭を打ちつける。


「あ、えっと……ごめん?」

「……ルカが元気で良かった」


 ベッドから落下して動かないシグルドを心配したルカの言葉に、シグルドはしみじみといった様子で、男泣きをしていた。


「……シグルドの方こそ、大丈夫?」

「お、俺は、元気だ。ルカが元気なら、ずっと、元気だっ」


 珍しく素直に心配を口にしたルカだが、返ってくるのは返事になっているのかどうかも怪しい内容のみ。


「俺の、せいで、ずっと、ずっと、ごめんっ。ルカに、俺がツラい思いをさせてたなんてっ。俺、俺ぇっ」


 ただ、そこまでの情報があれば、ルカも全てを思い出したのだろう。


「っ……それ、は……」


 戸惑いの表情を浮かべるルカ。本来ならば、ルカはシグルドに怒っても良い。しかし、ルカはそっとシグルドに手を伸ばし、その頭に手を置いた。


「誤解は、解けたんだから、別に、良い」

「良くないっ」

「いや、問題は「俺の気がすまないっ」……だったら、さっさと折り合いつけてよ。僕は、ずっと泣くお前を見たいわけじゃないから」


 呆れたように告げるルカに、シグルドはしばらく唸っていたが、ルカにぎこちなく頭を撫でられ続け、ようやく、顔を上げる。


「ルカ、俺にできる償いはなんだ? どんなことでもする。だから、何でも言ってくれっ」


 強い強い後悔から口にした一言。それによってルカは、少し考えた後、そっと、その要求を告げた。
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