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私、異世界で監禁されました!?の番外編
ホワイトデー 夕夏編(ジークフリート視点)
前回のバレンタインでは、完全にユーカにしてやられた。だから、今回は仕返しをするつもりで、ハミルトンとともに作戦を練っていたのだが……。
「思いの外、あの薬の入手は難しいよ」
「そうみたいだな」
俺達は、ユーカにやられたことをそのままやり返そうとして、しかし、その薬の入手難易度が恐ろしく高いせいで頭を悩ませていた。それというのも……。
「あの薬は、ユーカが一度作ったっきりみたいだからね」
そうなのだ。あの薬の制作者はユーカ本人なのだ。と、なると、俺達はユーカを嵌めるために、ユーカに懇願するという形になり……さすがにそれはバレるだろうということで、悩んでいたのだ。
「メアリー達に頼むしかない、のか?」
最後の手段としては、ユーカの専属侍女であるメアリー達に、薬の入手を頼むくらいのことしかできなさそうだが……果たして、俺よりもユーカの命令を優先する、ユーカ命な彼女達に命令できるものかどうかが怪しい。下手をすると、情報をリークされかねない。
「……ダメ元で、やってみるしかないかも?」
そうして、散々悩んだ結果、俺達はメアリー達に薬の入手を頼み、あっさりと許可が出た。理由を聞いてみると……。
「ユーカお嬢様の幼い頃の姿。ぜひ、見てみたいです」
「服の用意もしっかりしておきます」
「ユーカお嬢様は今でも可愛いのに、幼い頃っていったら、もーっと可愛いですよねっ!」
大いに不純な動機だった。
それを聞いて、俺達は顔を見合わせたものの、協力してくれるなら口を出すまいと沈黙を守る。そうして、無事薬を入手し、ホワイトデー本番がやってきた。
「ユーカ、こちらへ」
「はい」
柔らかいソファがある部屋で、俺達はユーカを間に座らせて、プレゼントをそれぞれ渡す。
「これは、俺から。ユーカへのプレゼントだ」
「ふわぁっ」
そうして渡したのは、不死鳥の羽で作られた本の栞。赤くホワホワとした手触りのそれを、ユーカはすぐに気に入ってくれた。
「僕からは、これを」
「こ、これは……」
ハミルトンが渡したのは、俺達の瞳の色、サファイアとトパーズの石がついたイヤリング。ユーカは、こちらも気に入ったようだった。そして、俺達の本番はここからだ。
「今日は、食事も豪華にした」
「喜んでくれると嬉しいよ」
そうして、ユーカが喜んで食事を食べて……最後に出されたジュースを飲んだ直後、倒れる。そして、みるみるうちに、体が縮んで、フクフクした顔の、可愛い可愛い少女がそこにいた。
「かっ」
「可愛いっ!」
俺が絶句する中、ハミルトンは大きく叫ぶ。
「っ、ハミル、止めろっ! ユーカが起きる!」
「はっ、そうだった。あぁぁっ、でも、ユーカがっ、ユーカが、可愛いっ」
気持ちは、痛いほど良く分かる。俺も、今は頭の中が『可愛い』だらけになっている。
「ん、んんぅ」
そして、ユーカが身動ぎをした瞬間、俺達は、はたと、着替えのことを思い出して、メアリー達を呼び、着替えさせてもらっておく。
「んぅ? じーく? はみりゅ?」
(ぐはぁっ)
ピンクのフリフリとしたドレスを着せて、横たえていた小さな小さなユーカは、起きるや否や、舌足らずな状態で俺達の名前を呼ぶ。
(ま、不味いっ、可愛過ぎて、息がっ……ハ、ハミルは?)
そう思って、隣のハミルトンを見てみれば、奴も俺と同じように悶絶していた。
「うゆ? なにか、へん? ……ふぇえっ? わたし、こどもになってゆっ!?」
全身をペタペタと触っていたユーカは、ようやくそれに気づいたらしく、びっくり、といった表情で叫ぶ。
「バ、バレンタインの仕返しだ」
「そ、そうだよ。今日は、幼い頃のユーカを見たかったんだ」
そう言えば、小さなユーカはパチパチと目をしばたたかせて、しばらく考え込む。そして……。
「へんたい……」
「うぐっ」
「あぐっ」
その一言が、心に大きく突き刺さった。
「んー、でも、いいでしゅ。きょうは、じーくとはみりゅに、あまえましゅっ」
そして、次の瞬間には笑顔を見せてくるユーカに、俺達は、ユーカは小悪魔だと確信する。しかし、そんなユーカに逆らえるはずもなく……結局は、小さなユーカと、楽しくその日を過ごすのであった。
「思いの外、あの薬の入手は難しいよ」
「そうみたいだな」
俺達は、ユーカにやられたことをそのままやり返そうとして、しかし、その薬の入手難易度が恐ろしく高いせいで頭を悩ませていた。それというのも……。
「あの薬は、ユーカが一度作ったっきりみたいだからね」
そうなのだ。あの薬の制作者はユーカ本人なのだ。と、なると、俺達はユーカを嵌めるために、ユーカに懇願するという形になり……さすがにそれはバレるだろうということで、悩んでいたのだ。
「メアリー達に頼むしかない、のか?」
最後の手段としては、ユーカの専属侍女であるメアリー達に、薬の入手を頼むくらいのことしかできなさそうだが……果たして、俺よりもユーカの命令を優先する、ユーカ命な彼女達に命令できるものかどうかが怪しい。下手をすると、情報をリークされかねない。
「……ダメ元で、やってみるしかないかも?」
そうして、散々悩んだ結果、俺達はメアリー達に薬の入手を頼み、あっさりと許可が出た。理由を聞いてみると……。
「ユーカお嬢様の幼い頃の姿。ぜひ、見てみたいです」
「服の用意もしっかりしておきます」
「ユーカお嬢様は今でも可愛いのに、幼い頃っていったら、もーっと可愛いですよねっ!」
大いに不純な動機だった。
それを聞いて、俺達は顔を見合わせたものの、協力してくれるなら口を出すまいと沈黙を守る。そうして、無事薬を入手し、ホワイトデー本番がやってきた。
「ユーカ、こちらへ」
「はい」
柔らかいソファがある部屋で、俺達はユーカを間に座らせて、プレゼントをそれぞれ渡す。
「これは、俺から。ユーカへのプレゼントだ」
「ふわぁっ」
そうして渡したのは、不死鳥の羽で作られた本の栞。赤くホワホワとした手触りのそれを、ユーカはすぐに気に入ってくれた。
「僕からは、これを」
「こ、これは……」
ハミルトンが渡したのは、俺達の瞳の色、サファイアとトパーズの石がついたイヤリング。ユーカは、こちらも気に入ったようだった。そして、俺達の本番はここからだ。
「今日は、食事も豪華にした」
「喜んでくれると嬉しいよ」
そうして、ユーカが喜んで食事を食べて……最後に出されたジュースを飲んだ直後、倒れる。そして、みるみるうちに、体が縮んで、フクフクした顔の、可愛い可愛い少女がそこにいた。
「かっ」
「可愛いっ!」
俺が絶句する中、ハミルトンは大きく叫ぶ。
「っ、ハミル、止めろっ! ユーカが起きる!」
「はっ、そうだった。あぁぁっ、でも、ユーカがっ、ユーカが、可愛いっ」
気持ちは、痛いほど良く分かる。俺も、今は頭の中が『可愛い』だらけになっている。
「ん、んんぅ」
そして、ユーカが身動ぎをした瞬間、俺達は、はたと、着替えのことを思い出して、メアリー達を呼び、着替えさせてもらっておく。
「んぅ? じーく? はみりゅ?」
(ぐはぁっ)
ピンクのフリフリとしたドレスを着せて、横たえていた小さな小さなユーカは、起きるや否や、舌足らずな状態で俺達の名前を呼ぶ。
(ま、不味いっ、可愛過ぎて、息がっ……ハ、ハミルは?)
そう思って、隣のハミルトンを見てみれば、奴も俺と同じように悶絶していた。
「うゆ? なにか、へん? ……ふぇえっ? わたし、こどもになってゆっ!?」
全身をペタペタと触っていたユーカは、ようやくそれに気づいたらしく、びっくり、といった表情で叫ぶ。
「バ、バレンタインの仕返しだ」
「そ、そうだよ。今日は、幼い頃のユーカを見たかったんだ」
そう言えば、小さなユーカはパチパチと目をしばたたかせて、しばらく考え込む。そして……。
「へんたい……」
「うぐっ」
「あぐっ」
その一言が、心に大きく突き刺さった。
「んー、でも、いいでしゅ。きょうは、じーくとはみりゅに、あまえましゅっ」
そして、次の瞬間には笑顔を見せてくるユーカに、俺達は、ユーカは小悪魔だと確信する。しかし、そんなユーカに逆らえるはずもなく……結局は、小さなユーカと、楽しくその日を過ごすのであった。
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