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俺、異世界で置き去りにされました!?の番外編
ホワイトデー ライナード編(三人称視点)
その日、ライナードはいつも以上に張り切っていた。それもこれも、バレンタインに素敵な時間をプレゼントしてくれたカイトに、それ以上のお返しをするためだ。
屋敷の中をズンズンと歩き、厨房へと向かっていたライナードだったが、ふいに、呼び止められてその足を止める。
「ドム爺? 何かあったか?」
ライナードを呼び止めたドム爺は、可愛らしい花柄の小箱を持って、ライナードの前に進み出ると、曖昧に笑う。
「ライナード坊っちゃん。魔王妃様からの贈り物でございます」
「む?」
魔王妃様といえば、自分が護衛しているユーカという名の少女のことだったはずだが、いかんせん、今まで贈り物をされた経験がなかったため、硬直してしまう。そして……。
「魔王陛下方は、このことをご存知なのか?」
「……分かりかねます」
もし、魔王陛下達に溺愛されているユーカが、魔王陛下達に内緒で自分に贈り物をしたとあれば……ライナード自身が、生きていられるかどうか分からない。そのため、ライナードは震える手で小箱を受け取る。
「送り返すことは「できません」……むぅ……」
ドム爺から即答されて、ライナードは眉間にシワを寄せる。
「使者によりますと、中身はお二人で考えて使うように、とのことです」
「……カイトも対象か。なら、大丈夫……か?」
自身の片翼も贈り物を受け取る対象だったと知ったライナードは、ようやく、肩の力を抜く。そして、おもむろに、小箱を開ける。
「む……?」
そこから出てきたのは、小瓶が一つ。赤い液体が入ったものがあった。そして、その近くに手紙があることに気づくと、ライナードはそれを慎重に持ち上げて、中身へと目を通す。
「……いかが、でしたか?」
「む、後で、カイトと一緒に試す」
そう告げるだけ告げると、ライナードはまだ何か聞きたそうにするドム爺を無視して、小箱を抱えたまま厨房へと向かい、目的を果たすのだった。
「カイト、今、良いか」
厨房でカイトの好物の数々を作ったライナードは、カイトの部屋を訪れていた。
「うん? 良いよ」
カイトの返事を聞いたライナードは、そっと障子戸を開けて、何か手紙を読んでいたらしいカイトの元へと向かう。
「カイト、バレンタインのお返しを用意した。食堂へ行こう」
「お返し……あっ! いや、でも、あれは俺一人が作ったわけじゃないし……」
「ニナも待っている」
「っ、わ、分かった。ありがとうな、ライナード」
ニナが食事を前に、じっと待機している様子を思い浮かべたらしいカイトを、ライナードは丁重にエスコートして連れていく。用意した料理は、カイトの好物であるオムライスとハンバーグをセットにしたものと、マカロニサラダ。里芋の煮物。そして、デザートはもちろん、苺大福だ。ニナ用には、別におやきを用意してある。
「おぉぉおっ!」
「カイトのために作った料理だ。しっかり食べてくれ」
「いただきます!」
「いただきましゅっ!」
カイトとニナの二人が食べ始めるのを見て、ライナードもゆっくりと食べ始める。楽しい食事の時間はあっという間に過ぎて、デザートを全て平らげたカイトとライナードは、まだちょこちょこと一生懸命食べるニナを一緒になって微笑ましく見守る。
「そうだ。カイト。ユーカ様から、こんなものをいただいたんだが……どうやら、幼児化の薬らしい」
「あぁ、俺の方にも手紙がきてたよ。二人で使ってみると良いって書いてあったけど、それって……」
「む、だろうな」
そうして、視線は、おやきを幸せそうに頬張るニナへと向けられる。
「うゆ?」
「ニナ、少しの間だけだけど、本来の年齢に戻ってみたい、とかないか?」
カイトが尋ねれば、ニナはパァッと顔を輝かせる。
「もどりゅの!」
その返事を聞くや否や、ライナードはニナに小箱に入っていた薬を差し出し、飲めば戻れることを話す。そうして、慌てておやきを食べ終えたニナは、その赤い薬を、躊躇うことなく飲み干す。
「うゆ、こおちゃあじなの」
そう言った直後、ニナの体に変化が起こる。
「……うゆ?」
体全体が小さくなって、ほっぺはふくふく、手も紅葉のような可愛らしさへと変化し、年齢相応の愛らしい姿が現れる。萌黄色の髪は長く、ふわふわで、水色の角はとても小さくて可愛い。赤い瞳はウサギのようで、ついつい目が惹き付けられてしまう。
「ままっ、ぱぱっ、もどれたのっ!」
万歳をして、ライナード達の元に駆けようとしたニナは、小さくなったせいでずり落ちた服につまづいて、ペタンと転ける。
「う、うゅ……」
「あー、痛かったなっ。ほら、すぐに治してやるからな。《光よ》」
「む、作っておいた服が今こそ役立つ時だろう。ノーラ、持ってきてくれ」
「かしこまりました」
痛みはなくなったはずだが、未だに涙を堪えていたニナは、次の瞬間、パァッと目を輝かせる。
「しゅごいっ、かわいいっ、おようふくっ!」
いつか、ニナが元の年齢に戻れたらと考えて、ライナードが密かに作っていたニナ用の服。それらが、ニナの前に次々と提示されていく。
「こちらは、着ぐるみの服です。今のニナお嬢様にはお似合いになるかと」
「もこもこ、きもちいーの」
選んだのは、ウサギの着ぐるみ。
「うん、可愛い」
「我ながら、良い出来だ」
真っ白なウサギに成り代わったニナは、『ぴょんぴょん』と不思議な鳴き声を上げる。
「ふふっ、最高のホワイトデーだよ。ライナード」
「む、そうか」
「ままっ、ぱぱっ、うしゃしゃんっ!」
そうして、幸せな一時が過ぎていくのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はい、実は、幼児化の薬はニナちゃんのために夕夏ちゃんが頑張って作っていたという設定だったりします。(獣人化の薬は、リリスちゃんのリクエストですが……)
それでは、また!
屋敷の中をズンズンと歩き、厨房へと向かっていたライナードだったが、ふいに、呼び止められてその足を止める。
「ドム爺? 何かあったか?」
ライナードを呼び止めたドム爺は、可愛らしい花柄の小箱を持って、ライナードの前に進み出ると、曖昧に笑う。
「ライナード坊っちゃん。魔王妃様からの贈り物でございます」
「む?」
魔王妃様といえば、自分が護衛しているユーカという名の少女のことだったはずだが、いかんせん、今まで贈り物をされた経験がなかったため、硬直してしまう。そして……。
「魔王陛下方は、このことをご存知なのか?」
「……分かりかねます」
もし、魔王陛下達に溺愛されているユーカが、魔王陛下達に内緒で自分に贈り物をしたとあれば……ライナード自身が、生きていられるかどうか分からない。そのため、ライナードは震える手で小箱を受け取る。
「送り返すことは「できません」……むぅ……」
ドム爺から即答されて、ライナードは眉間にシワを寄せる。
「使者によりますと、中身はお二人で考えて使うように、とのことです」
「……カイトも対象か。なら、大丈夫……か?」
自身の片翼も贈り物を受け取る対象だったと知ったライナードは、ようやく、肩の力を抜く。そして、おもむろに、小箱を開ける。
「む……?」
そこから出てきたのは、小瓶が一つ。赤い液体が入ったものがあった。そして、その近くに手紙があることに気づくと、ライナードはそれを慎重に持ち上げて、中身へと目を通す。
「……いかが、でしたか?」
「む、後で、カイトと一緒に試す」
そう告げるだけ告げると、ライナードはまだ何か聞きたそうにするドム爺を無視して、小箱を抱えたまま厨房へと向かい、目的を果たすのだった。
「カイト、今、良いか」
厨房でカイトの好物の数々を作ったライナードは、カイトの部屋を訪れていた。
「うん? 良いよ」
カイトの返事を聞いたライナードは、そっと障子戸を開けて、何か手紙を読んでいたらしいカイトの元へと向かう。
「カイト、バレンタインのお返しを用意した。食堂へ行こう」
「お返し……あっ! いや、でも、あれは俺一人が作ったわけじゃないし……」
「ニナも待っている」
「っ、わ、分かった。ありがとうな、ライナード」
ニナが食事を前に、じっと待機している様子を思い浮かべたらしいカイトを、ライナードは丁重にエスコートして連れていく。用意した料理は、カイトの好物であるオムライスとハンバーグをセットにしたものと、マカロニサラダ。里芋の煮物。そして、デザートはもちろん、苺大福だ。ニナ用には、別におやきを用意してある。
「おぉぉおっ!」
「カイトのために作った料理だ。しっかり食べてくれ」
「いただきます!」
「いただきましゅっ!」
カイトとニナの二人が食べ始めるのを見て、ライナードもゆっくりと食べ始める。楽しい食事の時間はあっという間に過ぎて、デザートを全て平らげたカイトとライナードは、まだちょこちょこと一生懸命食べるニナを一緒になって微笑ましく見守る。
「そうだ。カイト。ユーカ様から、こんなものをいただいたんだが……どうやら、幼児化の薬らしい」
「あぁ、俺の方にも手紙がきてたよ。二人で使ってみると良いって書いてあったけど、それって……」
「む、だろうな」
そうして、視線は、おやきを幸せそうに頬張るニナへと向けられる。
「うゆ?」
「ニナ、少しの間だけだけど、本来の年齢に戻ってみたい、とかないか?」
カイトが尋ねれば、ニナはパァッと顔を輝かせる。
「もどりゅの!」
その返事を聞くや否や、ライナードはニナに小箱に入っていた薬を差し出し、飲めば戻れることを話す。そうして、慌てておやきを食べ終えたニナは、その赤い薬を、躊躇うことなく飲み干す。
「うゆ、こおちゃあじなの」
そう言った直後、ニナの体に変化が起こる。
「……うゆ?」
体全体が小さくなって、ほっぺはふくふく、手も紅葉のような可愛らしさへと変化し、年齢相応の愛らしい姿が現れる。萌黄色の髪は長く、ふわふわで、水色の角はとても小さくて可愛い。赤い瞳はウサギのようで、ついつい目が惹き付けられてしまう。
「ままっ、ぱぱっ、もどれたのっ!」
万歳をして、ライナード達の元に駆けようとしたニナは、小さくなったせいでずり落ちた服につまづいて、ペタンと転ける。
「う、うゅ……」
「あー、痛かったなっ。ほら、すぐに治してやるからな。《光よ》」
「む、作っておいた服が今こそ役立つ時だろう。ノーラ、持ってきてくれ」
「かしこまりました」
痛みはなくなったはずだが、未だに涙を堪えていたニナは、次の瞬間、パァッと目を輝かせる。
「しゅごいっ、かわいいっ、おようふくっ!」
いつか、ニナが元の年齢に戻れたらと考えて、ライナードが密かに作っていたニナ用の服。それらが、ニナの前に次々と提示されていく。
「こちらは、着ぐるみの服です。今のニナお嬢様にはお似合いになるかと」
「もこもこ、きもちいーの」
選んだのは、ウサギの着ぐるみ。
「うん、可愛い」
「我ながら、良い出来だ」
真っ白なウサギに成り代わったニナは、『ぴょんぴょん』と不思議な鳴き声を上げる。
「ふふっ、最高のホワイトデーだよ。ライナード」
「む、そうか」
「ままっ、ぱぱっ、うしゃしゃんっ!」
そうして、幸せな一時が過ぎていくのだった。
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はい、実は、幼児化の薬はニナちゃんのために夕夏ちゃんが頑張って作っていたという設定だったりします。(獣人化の薬は、リリスちゃんのリクエストですが……)
それでは、また!
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