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第二章 目論む者達
第二十七話 報告(アルム視点)
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眠るシェイラを抱き抱え、ボクはさっさと竜珠殿へ戻る。残りは、騎士達が何とかしてくれると分かっているため、今はシェイラを安全なベッドでゆっくり休ませてやることが優先だ。
「おやすみ。シェイラ」
「ん……」
シェイラの部屋のベッドに、そっと彼女の体を横たえて、おでこに口づけを落とすと、ボクは穏やかな表情で眠るシェイラを少しだけ眺め、部屋を後にする。
「ギース。報告を」
「はっ」
シェイラが戻る少し前に、ボクのところに来ていたギース。恐らくは、あの調度品の大本を辿れたのだろう。結局、シェイラが来たことで……というより、えげつない罠の映像に気を取られて、報告は後回しになっていたが、今は良いだろう。
「調度品の元を辿ると、一つの商会に行き当たりました。バルファ商会。今、最も勢力のある商会です」
(バルファ商会、か……)
バルファ商会といえば、様々な雑貨や日用品、調度品などを売り出している商会だ。元々は香水を専門に売っていたのだが、今の商会長に変わってから、大きく手を広げて急成長を遂げたと記憶している。
「しかし、バルファ商会は間接的に関わってはいたようですが、実際、調度品の魔法には気づいていなかった模様です」
「黒幕が居る、ということか」
しかし、そうだとしても、あんなにもナット領主館にその調度品が散見していたのは不自然だ。
「フィーク伯爵家が、その調度品の数々をナットに売り込むよう指示を出していたという報告が届いております」
「なるほど、大方、目的はこの領地の吸収、といったところか?」
「恐らくは」
フィーク伯爵家は、このナットの隣の領地を管理している。そして、シェイラが仕掛けた罠に、そのフィーク伯爵が引っ掛かっている映像も確認できていた。
「叩けば、いくらでも埃が出そうだな」
「現在、詳しい調査を行っております」
今回、ギースがここまで早く情報を集められたのは、事前にバルファ商会へと手の者を忍び込ませていたからに他ならない。バルファ商会は、黒い噂があるにもかかわらず、中々尻尾を見せないということで、以前からギースに調べさせているのだ。
「バルファ商会も、引き続き監視を続けろ」
「はっ」
今回の黒幕は、フィーク伯爵家ということになったが、本当にそうなのか、怪しいところではある。しかし、証拠がない限り、ボクも動くわけにはいかない。それに、今は……。
「それと、領主の奥方と娘は見つかったか?」
「はい。娼館に売られておりましたが、まだ売られて間もなかったことと、現在はあまり人が来ない時期だったことが幸いとなり、まだ客を取らされてはいなかったようです」
「ならば、領主を引っ立てた後に、彼女達へ領主として働かないか打診をすることとしよう」
「はっ。では、後程、こちらへ向かわせます」
まだ、詳しく調べてみないことには分からないが、彼女達はただの被害者である可能性が高い。そうなると、彼女達を保護した後、可能であるならばナット領を任せたいと思えた。もちろん、拒否するのであればそれでも構わないのだが、任せられる人材を探すのはそれなりに大変だ。
「それと、一つ、よろしいでしょうか?」
「何だ?」
報告が終われば、すぐに退出するのが常だったギースが、珍しく留まって問いかけてきたことに、ボクは疑問に思いながらも尋ねる。
「シェイラ様の力のことが広まるのは危険かと」
「……確かに、そうだな」
内容がシェイラのことだったということに、ボクは意表を突かれたものの、ギースの言う通りだとうなずく。
「騎士達には箝口令を出す。むろん、お前も話すことは許さない」
「はっ」
シェイラに戦闘能力はない。しかし、相手を罠にはめる手腕は相当なもので、その罠のえげつなさも相当だ。この噂が広まるのは、シェイラにとって不利でしかない。
「では、失礼します」
「あぁ」
これだけ活躍してくれたのだから、シェイラのお見合いを、本格的に考えなくてはと思うボクは、胸に小さな違和感が走ったような気がして、首をかしげ……すぐに、そこから意識を逸らし、執務へと打ち込むのだった。
「おやすみ。シェイラ」
「ん……」
シェイラの部屋のベッドに、そっと彼女の体を横たえて、おでこに口づけを落とすと、ボクは穏やかな表情で眠るシェイラを少しだけ眺め、部屋を後にする。
「ギース。報告を」
「はっ」
シェイラが戻る少し前に、ボクのところに来ていたギース。恐らくは、あの調度品の大本を辿れたのだろう。結局、シェイラが来たことで……というより、えげつない罠の映像に気を取られて、報告は後回しになっていたが、今は良いだろう。
「調度品の元を辿ると、一つの商会に行き当たりました。バルファ商会。今、最も勢力のある商会です」
(バルファ商会、か……)
バルファ商会といえば、様々な雑貨や日用品、調度品などを売り出している商会だ。元々は香水を専門に売っていたのだが、今の商会長に変わってから、大きく手を広げて急成長を遂げたと記憶している。
「しかし、バルファ商会は間接的に関わってはいたようですが、実際、調度品の魔法には気づいていなかった模様です」
「黒幕が居る、ということか」
しかし、そうだとしても、あんなにもナット領主館にその調度品が散見していたのは不自然だ。
「フィーク伯爵家が、その調度品の数々をナットに売り込むよう指示を出していたという報告が届いております」
「なるほど、大方、目的はこの領地の吸収、といったところか?」
「恐らくは」
フィーク伯爵家は、このナットの隣の領地を管理している。そして、シェイラが仕掛けた罠に、そのフィーク伯爵が引っ掛かっている映像も確認できていた。
「叩けば、いくらでも埃が出そうだな」
「現在、詳しい調査を行っております」
今回、ギースがここまで早く情報を集められたのは、事前にバルファ商会へと手の者を忍び込ませていたからに他ならない。バルファ商会は、黒い噂があるにもかかわらず、中々尻尾を見せないということで、以前からギースに調べさせているのだ。
「バルファ商会も、引き続き監視を続けろ」
「はっ」
今回の黒幕は、フィーク伯爵家ということになったが、本当にそうなのか、怪しいところではある。しかし、証拠がない限り、ボクも動くわけにはいかない。それに、今は……。
「それと、領主の奥方と娘は見つかったか?」
「はい。娼館に売られておりましたが、まだ売られて間もなかったことと、現在はあまり人が来ない時期だったことが幸いとなり、まだ客を取らされてはいなかったようです」
「ならば、領主を引っ立てた後に、彼女達へ領主として働かないか打診をすることとしよう」
「はっ。では、後程、こちらへ向かわせます」
まだ、詳しく調べてみないことには分からないが、彼女達はただの被害者である可能性が高い。そうなると、彼女達を保護した後、可能であるならばナット領を任せたいと思えた。もちろん、拒否するのであればそれでも構わないのだが、任せられる人材を探すのはそれなりに大変だ。
「それと、一つ、よろしいでしょうか?」
「何だ?」
報告が終われば、すぐに退出するのが常だったギースが、珍しく留まって問いかけてきたことに、ボクは疑問に思いながらも尋ねる。
「シェイラ様の力のことが広まるのは危険かと」
「……確かに、そうだな」
内容がシェイラのことだったということに、ボクは意表を突かれたものの、ギースの言う通りだとうなずく。
「騎士達には箝口令を出す。むろん、お前も話すことは許さない」
「はっ」
シェイラに戦闘能力はない。しかし、相手を罠にはめる手腕は相当なもので、その罠のえげつなさも相当だ。この噂が広まるのは、シェイラにとって不利でしかない。
「では、失礼します」
「あぁ」
これだけ活躍してくれたのだから、シェイラのお見合いを、本格的に考えなくてはと思うボクは、胸に小さな違和感が走ったような気がして、首をかしげ……すぐに、そこから意識を逸らし、執務へと打ち込むのだった。
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