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第二章 目論む者達
第三十二話 使用人
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(さすがに、本調子とはいきませんね)
アルムの様子がおかしい原因を探ろうとしているものの、魔力を使い過ぎたことが原因なのか、今はあまり多くの蜘蛛を操れない状態だった。かといって、また無理をしてお説教されるのは勘弁してほしいところではあるため、自分なりにセーブしながら部屋でアルムの様子を探ると同時に、諜報活動を行っている。
(まぁ、私が居ない間、諜報の方はギース達が何とかしていたのですから、問題はありませんね)
とりあえずは、目をつけていた重要な場所のみに蜘蛛達を散らして、時々その情報を得るようにしている。アルムの方は……先に対策を練られたらしいので、長期戦になりそうだ。
(それにしても、今日は、あまり動きがありませんね……)
不正の証拠を、集められるだけ集めてやろうと思いながら、蜘蛛達から送られてくる映像や音を処理していたものの、あまり目立つ動きが見られない。もちろん、こういう日はある。むしろ、こういう日の方が多い。積極的に情報を集めようと思えば、できないこともないが、今日はそれをする気にもなれず、ゴロリとベッドに転がる。
「今日は、もう休みましょうか」
根を詰めても良いことなんてない。そう思って、ぼんやりと着替えなければと思っていると、ちょうど良いタイミングで扉がノックされる。
「どうぞ」
誰かは分からないが、恐らくはベラだろうと思って、一応ベッドから起き上がってみると……そこに居たのは、見慣れない竜人の女性使用人だった。
「お初にお目にかかります。本日は、ベラが急用で寵妃様につくことができなくなりましたので、代わりとして、私めが寵妃様の身の回りの世話をいたします」
(ベラが急用? いえ、それはないですね)
つい先ほどまで、私はベラも観察していたのだ。何か、アルムの挙動不審な原因を漏らしてくれないかと、虎視眈々と狙っていたのだ。だから、目の前の使用人が嘘を吐いていることはすぐに分かった。
(これは、危険ですね)
彼女の目的は不明だ。力で言えば、私はこの城に居る誰にも敵わない。力ずくで押さえられれば、抵抗ができなくなってしまう。
名乗りもしなかった竜人の使用人は、『お茶をご用意しております』と言いながら、お茶を差し出してくる。
(この国では、お茶を淹れる姿を相手に見せることを良しとする文化があるのに、これは……何か入れられていますね)
何が入れられているか分からないお茶を飲むつもりなどない。
私は、お茶を一瞥すると、すぐに彼女の方へと視線を移す。
「ベラが急用というのは、何があったのか聞いても?」
「申し訳ありませんが、私めも詳しくは存じません。さぁ、お茶が冷めてしまう前に、どうぞお飲みください」
ここで断れば、彼女がどう出るか不明だ。しかし、断らなければ、毒入りのお茶を飲むはめになる。
(助けを求める手段は……ないこともないですね)
幸い、私にはお姉様からいただいた魔法具がいくつかある。この前の転移魔法が使用できる魔法具も、突然の危機に対応してくれる結界を張る魔法具もある。しかも、私が放っている蜘蛛達を使えば、アルムをここへ連れてくることだって可能だ。
(さて、と……どうしましょうか?)
問題は、彼女が失敗して、自決してしまうかもしれないということだろう。そうなれば、黒幕を暴くのに時間がかかる。
(少し、この茶番に付き合うのも良いかもしれませんね)
私は、できる限り、彼女から情報を引き出すことに決めるのだった。
アルムの様子がおかしい原因を探ろうとしているものの、魔力を使い過ぎたことが原因なのか、今はあまり多くの蜘蛛を操れない状態だった。かといって、また無理をしてお説教されるのは勘弁してほしいところではあるため、自分なりにセーブしながら部屋でアルムの様子を探ると同時に、諜報活動を行っている。
(まぁ、私が居ない間、諜報の方はギース達が何とかしていたのですから、問題はありませんね)
とりあえずは、目をつけていた重要な場所のみに蜘蛛達を散らして、時々その情報を得るようにしている。アルムの方は……先に対策を練られたらしいので、長期戦になりそうだ。
(それにしても、今日は、あまり動きがありませんね……)
不正の証拠を、集められるだけ集めてやろうと思いながら、蜘蛛達から送られてくる映像や音を処理していたものの、あまり目立つ動きが見られない。もちろん、こういう日はある。むしろ、こういう日の方が多い。積極的に情報を集めようと思えば、できないこともないが、今日はそれをする気にもなれず、ゴロリとベッドに転がる。
「今日は、もう休みましょうか」
根を詰めても良いことなんてない。そう思って、ぼんやりと着替えなければと思っていると、ちょうど良いタイミングで扉がノックされる。
「どうぞ」
誰かは分からないが、恐らくはベラだろうと思って、一応ベッドから起き上がってみると……そこに居たのは、見慣れない竜人の女性使用人だった。
「お初にお目にかかります。本日は、ベラが急用で寵妃様につくことができなくなりましたので、代わりとして、私めが寵妃様の身の回りの世話をいたします」
(ベラが急用? いえ、それはないですね)
つい先ほどまで、私はベラも観察していたのだ。何か、アルムの挙動不審な原因を漏らしてくれないかと、虎視眈々と狙っていたのだ。だから、目の前の使用人が嘘を吐いていることはすぐに分かった。
(これは、危険ですね)
彼女の目的は不明だ。力で言えば、私はこの城に居る誰にも敵わない。力ずくで押さえられれば、抵抗ができなくなってしまう。
名乗りもしなかった竜人の使用人は、『お茶をご用意しております』と言いながら、お茶を差し出してくる。
(この国では、お茶を淹れる姿を相手に見せることを良しとする文化があるのに、これは……何か入れられていますね)
何が入れられているか分からないお茶を飲むつもりなどない。
私は、お茶を一瞥すると、すぐに彼女の方へと視線を移す。
「ベラが急用というのは、何があったのか聞いても?」
「申し訳ありませんが、私めも詳しくは存じません。さぁ、お茶が冷めてしまう前に、どうぞお飲みください」
ここで断れば、彼女がどう出るか不明だ。しかし、断らなければ、毒入りのお茶を飲むはめになる。
(助けを求める手段は……ないこともないですね)
幸い、私にはお姉様からいただいた魔法具がいくつかある。この前の転移魔法が使用できる魔法具も、突然の危機に対応してくれる結界を張る魔法具もある。しかも、私が放っている蜘蛛達を使えば、アルムをここへ連れてくることだって可能だ。
(さて、と……どうしましょうか?)
問題は、彼女が失敗して、自決してしまうかもしれないということだろう。そうなれば、黒幕を暴くのに時間がかかる。
(少し、この茶番に付き合うのも良いかもしれませんね)
私は、できる限り、彼女から情報を引き出すことに決めるのだった。
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