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第五章 襲来
第九十二話 目的
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「僕の目的はとても単純明快。君達二人のどちらかと契約したいってだけだよ」
「契約、だと?」
アルムと、見知らぬ男が話をしている。ただ、私は男から放たれる濃厚な魔力に圧倒されて、立っているだけでやっとな状態だった。
(これじゃあ、役立たずです……)
足が震えて逃げることもできない。いや、こんな魔力を放つ相手に、逃げられると思えるかと問われたら、無理だと答えるだろうが……。
「そう、契約。できればシェイラちゃんが良いかなとは思ってるんだけどねぇ?」
男の視線がこちらへ向き、私は、そのまま崩れ落ちそうになるが、必死に踏ん張って耐える。
「ん? あっ、魔力駄々漏れだった! ごめんねぇ」
ただ、私の様子を見て、なぜか男は空間を圧迫していた魔力を納める。
「っ……」
「あー、刺激が強かったかぁ……最近、契約の履行への催促が激しくてイライラしてたからなぁ……」
張り詰めていた緊張の糸が切れた瞬間、私は今度こそ倒れそうになり、アルムに腰を支えられる。
「ア、ルム……」
情けないことに、声まで震えてしまった私は、落ち着こうと必死に深呼吸する。
「大丈夫。敵意はなさそうだから、な」
気休めだと分かっていても、そう応えてくれるアルムの優しさに、私は、何としてでも立ち上がれるようにならなければと思う。
「うん、まぁ、今のところは、だけどね? それで、どうかな? 僕と契約してくれる?」
しっかりと腰を支えながらも、男から視線を逸らさないアルムは、じっと男を見て、その真意を探ろうとしているようだったが……。
「悪魔との契約には代償が必要なはずですが、そこのところはどうなっているのですか?」
「シェイラっ!?」
まだ、声は震えている。しかし、私にできるのは、こうやって情報を引き出すことくらいだ。アルムが居てくれるのならば、私はどんな綱渡りだってしてみせよう。
「いらないよ。僕の方から契約を持ちかけてるからね。こんなこと、ここ数千年はなかったことだと思うよ」
「悪魔から契約を持ちかければ、代償はいらないということなのですか?」
「うーん、全部が全部、そうというわけじゃないけど……まぁ、今回は代償なしの契約ってことで」
悪魔が代償なしで契約しようとする利点が分からない。それだけは、何としてでも聞き出さねばならないと、私は言葉を選ぶ。
「なぜ、私達と契約したい、と?」
「うーん、そうだねぇ。元々はシェイラちゃんしか考えてなかったんだけど、そっちの男でも良いかなぁと思ったわけで……とりあえず、僕、悪魔として向いてないんだよねぇ」
そして、なぜか黄昏た空気を醸し出し始めた悪魔に、私達は困惑しながらも耳を傾けるのだった。
「契約、だと?」
アルムと、見知らぬ男が話をしている。ただ、私は男から放たれる濃厚な魔力に圧倒されて、立っているだけでやっとな状態だった。
(これじゃあ、役立たずです……)
足が震えて逃げることもできない。いや、こんな魔力を放つ相手に、逃げられると思えるかと問われたら、無理だと答えるだろうが……。
「そう、契約。できればシェイラちゃんが良いかなとは思ってるんだけどねぇ?」
男の視線がこちらへ向き、私は、そのまま崩れ落ちそうになるが、必死に踏ん張って耐える。
「ん? あっ、魔力駄々漏れだった! ごめんねぇ」
ただ、私の様子を見て、なぜか男は空間を圧迫していた魔力を納める。
「っ……」
「あー、刺激が強かったかぁ……最近、契約の履行への催促が激しくてイライラしてたからなぁ……」
張り詰めていた緊張の糸が切れた瞬間、私は今度こそ倒れそうになり、アルムに腰を支えられる。
「ア、ルム……」
情けないことに、声まで震えてしまった私は、落ち着こうと必死に深呼吸する。
「大丈夫。敵意はなさそうだから、な」
気休めだと分かっていても、そう応えてくれるアルムの優しさに、私は、何としてでも立ち上がれるようにならなければと思う。
「うん、まぁ、今のところは、だけどね? それで、どうかな? 僕と契約してくれる?」
しっかりと腰を支えながらも、男から視線を逸らさないアルムは、じっと男を見て、その真意を探ろうとしているようだったが……。
「悪魔との契約には代償が必要なはずですが、そこのところはどうなっているのですか?」
「シェイラっ!?」
まだ、声は震えている。しかし、私にできるのは、こうやって情報を引き出すことくらいだ。アルムが居てくれるのならば、私はどんな綱渡りだってしてみせよう。
「いらないよ。僕の方から契約を持ちかけてるからね。こんなこと、ここ数千年はなかったことだと思うよ」
「悪魔から契約を持ちかければ、代償はいらないということなのですか?」
「うーん、全部が全部、そうというわけじゃないけど……まぁ、今回は代償なしの契約ってことで」
悪魔が代償なしで契約しようとする利点が分からない。それだけは、何としてでも聞き出さねばならないと、私は言葉を選ぶ。
「なぜ、私達と契約したい、と?」
「うーん、そうだねぇ。元々はシェイラちゃんしか考えてなかったんだけど、そっちの男でも良いかなぁと思ったわけで……とりあえず、僕、悪魔として向いてないんだよねぇ」
そして、なぜか黄昏た空気を醸し出し始めた悪魔に、私達は困惑しながらも耳を傾けるのだった。
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