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プロローグ
メザメ
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目が覚めると、俺は見知らぬ場所にいた。
石壁が延々と続いた薄暗い部屋。その壁の所々には、淡く発光している苔らしきものが見え、それがこの空間に明かりをもたらしていることが分かる。
やけに淀んでいるように感じられる空気の中、俺は想定外の事態に、バクバクと暴れる自分の心音を、ただただ聞くことしかできない。
「ここ、は……?」
かすれた声で、俺は、そう呟く。
『目が覚めたら知らない天井が……』なんて表現が小説で使われることはよく知っている。が、自分自身がその状況を実体験することになるなど、普通は考えもしない。
上半身を起こし、混乱ばかりが広がる頭をブルブルと振り、夢であることを願って頬をつねるなんていう定番な行動を取ってもみたが、それはきっちり鈍い痛みを伴って返ってくる。
現実。まごうことなき、現実。
それが、どうにか働いた俺の頭が、最初に認識したことだった。そして、次に、俺は辺りを見渡してみる。
家具と呼べるようなものは、今、俺が転がっているベッドと、小さな机くらいしかない。そして、そのベッドに横づけされた机のさらに奥には、薄暗い廊下が顔を覗かせている様子が見えた。
分からない。なぜ自分がこんなところにいるのか、全く記憶がない。その事実は、純然たる恐怖として俺に襲いかかる。
ブルリと、寒くもないのに震えが走る。ここにこのまま居ても、何も変わらない。だから、俺はとにかく行動をしようと、ベッドから出ようとして……。
「な、なんだこれっ!?」
直後、俺は自分の姿の異常に気づいた。俺は、なぜかRPGゲームに出てくるような革の鎧を着ていた。ご丁寧に、手甲までついている。
まさか……。
そう思って、俺はベッドから抜け出すと、どうやら下半身もしっかり装備がなされているようだった。ベッドの上だというのに、靴まで履いている。しかも、先程は目を向けていなかったベッドの隅には、黒い鞘に収まった剣らしきものと、肌色を基調とした革の本があった。
「どう、なって……?」
わけが分からない。この場所のこともそうだが、この格好も、剣らしきものの存在も、何もかもが分からない。
誘拐?
真っ先に出た想像がそれだった。
たしか……学校帰りで…。
高校からの帰り道、俺はレンタルビデオショップに寄り道していた。何か面白そうなビデオ……もとい、DVDがないかと探していて…………。
あれ? 俺、その後どうしたんだ?
頭を必死に回転させて、その後の記憶を掘り起こそうとするが、思い出せない。
……記憶が、ない?
そこから、俺の記憶はプッツリと途絶えている。そんな事実に、俺は心臓が凍りそうだった。
やっぱり……誘拐?
そう考えるのが妥当だ。が、それにしては、何も拘束されてない。第一、もし誘拐だとして、誘拐した人間に変な格好をさせて武器らしきものを与える意味が分からない。
………いや、もしかしたら、頭のおかしい人間に捕まったのかもしれない。
何も情報がなく、犯人の目的も分からない。それは、俺に無限の想像力を与え、恐怖心を植えつけることとなる。
「とに、かく……手がかり、だよな?」
震える声で、俺はどうにか平静を保とうと努めながら、ベッドの隅にある剣と本を見た。何も装飾らしい装飾がない、黒い柄に黒い鞘の剣。まずは、それを手に取る。
「本物……か?」
ズッシリと重く、存在感を示す剣。俺は、それをおそるおそる抜いてみる。
シャリシャリシャリ……。
そんな音を立てながら抜いたそれは、鈍く俺の顔を映す。刀身をつついてみると、金属の硬さが確かに伝わる。思い切って石壁を斬りつけてみると、さすがに弾かれたが、傷跡を残すことができる。
「……本物、だな」
日本でこんなの持ってたら銃刀法違反じゃないのか?
そう考えたが、そもそもここが日本なのかどうかすら怪しい。
「何か……ここのことが分かるものは……」
そうなると、当然、目の前の本が有力だ。そっと本に手を伸ばし、触れてみると、随分と滑らかな革であることが分かる。そして、手に取って、表紙の方を見ようと裏返す。
「冒険の書?」
そこには、そんなふざけたタイトルがあり、裏面と違い、何やら赤茶色の斑点がいくつもあった。それは、まるでコーヒーを飛び散らせたようにも見え、何となく臭いをかいでみる。
臭いは……普通だ。特に、変な臭いはない。
そんな感想を抱いて、俺は本を開いた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さてさて、冒険の書のはじまりはじまりー。
この作品は、エブリスタで月宮雪として執筆している私の作品を移したものになります。
あっ、ただし、加筆・修正は加えていますが……。
エブリスタの方では、非公開にしましたので、現在はこちらにのみ掲載している状態です。
だんだんグロくなっていきますが、楽しく読んでもらえると嬉しいです!
石壁が延々と続いた薄暗い部屋。その壁の所々には、淡く発光している苔らしきものが見え、それがこの空間に明かりをもたらしていることが分かる。
やけに淀んでいるように感じられる空気の中、俺は想定外の事態に、バクバクと暴れる自分の心音を、ただただ聞くことしかできない。
「ここ、は……?」
かすれた声で、俺は、そう呟く。
『目が覚めたら知らない天井が……』なんて表現が小説で使われることはよく知っている。が、自分自身がその状況を実体験することになるなど、普通は考えもしない。
上半身を起こし、混乱ばかりが広がる頭をブルブルと振り、夢であることを願って頬をつねるなんていう定番な行動を取ってもみたが、それはきっちり鈍い痛みを伴って返ってくる。
現実。まごうことなき、現実。
それが、どうにか働いた俺の頭が、最初に認識したことだった。そして、次に、俺は辺りを見渡してみる。
家具と呼べるようなものは、今、俺が転がっているベッドと、小さな机くらいしかない。そして、そのベッドに横づけされた机のさらに奥には、薄暗い廊下が顔を覗かせている様子が見えた。
分からない。なぜ自分がこんなところにいるのか、全く記憶がない。その事実は、純然たる恐怖として俺に襲いかかる。
ブルリと、寒くもないのに震えが走る。ここにこのまま居ても、何も変わらない。だから、俺はとにかく行動をしようと、ベッドから出ようとして……。
「な、なんだこれっ!?」
直後、俺は自分の姿の異常に気づいた。俺は、なぜかRPGゲームに出てくるような革の鎧を着ていた。ご丁寧に、手甲までついている。
まさか……。
そう思って、俺はベッドから抜け出すと、どうやら下半身もしっかり装備がなされているようだった。ベッドの上だというのに、靴まで履いている。しかも、先程は目を向けていなかったベッドの隅には、黒い鞘に収まった剣らしきものと、肌色を基調とした革の本があった。
「どう、なって……?」
わけが分からない。この場所のこともそうだが、この格好も、剣らしきものの存在も、何もかもが分からない。
誘拐?
真っ先に出た想像がそれだった。
たしか……学校帰りで…。
高校からの帰り道、俺はレンタルビデオショップに寄り道していた。何か面白そうなビデオ……もとい、DVDがないかと探していて…………。
あれ? 俺、その後どうしたんだ?
頭を必死に回転させて、その後の記憶を掘り起こそうとするが、思い出せない。
……記憶が、ない?
そこから、俺の記憶はプッツリと途絶えている。そんな事実に、俺は心臓が凍りそうだった。
やっぱり……誘拐?
そう考えるのが妥当だ。が、それにしては、何も拘束されてない。第一、もし誘拐だとして、誘拐した人間に変な格好をさせて武器らしきものを与える意味が分からない。
………いや、もしかしたら、頭のおかしい人間に捕まったのかもしれない。
何も情報がなく、犯人の目的も分からない。それは、俺に無限の想像力を与え、恐怖心を植えつけることとなる。
「とに、かく……手がかり、だよな?」
震える声で、俺はどうにか平静を保とうと努めながら、ベッドの隅にある剣と本を見た。何も装飾らしい装飾がない、黒い柄に黒い鞘の剣。まずは、それを手に取る。
「本物……か?」
ズッシリと重く、存在感を示す剣。俺は、それをおそるおそる抜いてみる。
シャリシャリシャリ……。
そんな音を立てながら抜いたそれは、鈍く俺の顔を映す。刀身をつついてみると、金属の硬さが確かに伝わる。思い切って石壁を斬りつけてみると、さすがに弾かれたが、傷跡を残すことができる。
「……本物、だな」
日本でこんなの持ってたら銃刀法違反じゃないのか?
そう考えたが、そもそもここが日本なのかどうかすら怪しい。
「何か……ここのことが分かるものは……」
そうなると、当然、目の前の本が有力だ。そっと本に手を伸ばし、触れてみると、随分と滑らかな革であることが分かる。そして、手に取って、表紙の方を見ようと裏返す。
「冒険の書?」
そこには、そんなふざけたタイトルがあり、裏面と違い、何やら赤茶色の斑点がいくつもあった。それは、まるでコーヒーを飛び散らせたようにも見え、何となく臭いをかいでみる。
臭いは……普通だ。特に、変な臭いはない。
そんな感想を抱いて、俺は本を開いた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さてさて、冒険の書のはじまりはじまりー。
この作品は、エブリスタで月宮雪として執筆している私の作品を移したものになります。
あっ、ただし、加筆・修正は加えていますが……。
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