冒険の書 ~始の書~

星宮歌

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第一章 冒険の始まり

タンサクカイシ

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 結論から言おう。とりあえず、俺が扉を開いた瞬間、罠が発動とか、誰かに襲われるとか、といったことはなかった。扉はあっさり開いて、俺の前にその先を見せてくれた。

 戦々恐々としながら行動していたことが恥ずかしくて、穴があったら入りたいと思えるくらいに、何もなかった。そもそも、剣やら本やらは普通に手に取っていたのに、ただの扉を警戒すること自体がおかしかったのかもしれない。


 唯一の救いは……誰も見ていない可能性がゼロではないということくらいだろうか? 犯人も四六時中監視しているわけではあるまいし……。


 そう思って、何となく……何となく冒険の書を取り出し開いたところで、俺は心の底から後悔した。


 『扉を調べた』という文字が更新されていたからだ。


 うわぁぁぁあっ!! うわぁぁぁあっ!! 何か、もう、うわぁぁぁあっ!!


 さすがに、ここで声に出して叫ぶような愚行はおかさなかったが、内心は完全に乱れきってどうしようもない。それから俺は、しばらく立ち直れそうにない精神的ダメージのため、その場で頭を抱える。


 違う違う違う違う違う違う違う。俺は何も恥ずかしいことはしていない。俺は何も恥ずかしいことはしていない。俺は何も恥ずかしいことはしていない。


 もしこれがドッキリの類いなら、もう充分に大成功だろう。俺の心に消えない傷を残して、周りの人間はきっと腹を抱えて悶えることになるはずだ。






 どれくらいそうしていただろうか。ようやく、踏ん切りをつけた、もしくは何もなかったことにした俺は、開けた扉から外を窺う。
 扉を開いた先にあった光景。それは、代わり映えのない石壁が続く道があるだけだった。
 ただ、道といっても、その幅は広い。軽く五メートル以上はありそうな道幅だった。


 剣を振り回す余裕はありそうだ……。


 ぼーっと道を見て、そんな考えが過った瞬間、俺は激しい悪寒に襲われる。そう、ここはまるで、剣を振ることを想定したかのような広さなのだ。まるで、何かがここにいて、それと戦う運命を連想させるその思考に、俺は必死に頭を振りかぶる。


 そんなわけ、ない。


 が、同時にこうも思う。


 ここは……ゲームの中のダンジョンみたいだ。


 よく見るRPGゲームのダンジョン。それを再現した場所がここだと言われたら、俺もなるほどと納得できる。
 いかにも何かが出そうなこの雰囲気も、重苦しい空気も、何もかもがダンジョンを思わせる。


 俺の装備とこの場所……俺を誘拐した奴は何が目的なんだ?


 全くもって理解に苦しむ。しかし、それが俺の置かれた状況で、どうにかここから出るなり、犯人に対抗するなりしないといけない。


「……どこかで見てるみたいだから、犯人に気づかれずってのは無理だな…」


 犯人が高みの見物をしているということは、俺がどんなに抵抗しても無意味ということなのかもしれない。しかし、それでも、俺はじっとしてはいられなかった。拘束されていない分、俺は何もせずにその場に居るという選択ができなかった。
 殺されるかもしれないのに、それをただ待つのは、恐怖でしかなかったのだ。


 しん、と静まり返り、誰かを深い、闇の中に引きずり込もうとしているかのように見える薄暗い通路。
 俺は、その場所へと、ブルブル震えながら、一歩、踏み出した。本格的な探索開始だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

柿村啓は自爆した。

精神にダメージ1000。

精神が瀕死状態です。

回復できません。

行動あるのみです。

……自分で書いててなんですけど、こうやってまとめてみると、結構鬼畜な気が……?

いやいや、まだまだ酷い状況はたくさん用意してあるから、ここで鬼畜だ何だと言っていたら後が大変だ。

というわけで、主人公には羞恥を堪えながらでも立ってもらいます!

どうぞ、応援してあげてくださいね。
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