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第一章 冒険の始まり
ホンノヤクメ
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空っぽにした頭で、俺は周りを見る。
何も、変わってない。
相変わらず、石壁が続く道はあるし、目の前の乾パンも動かない。俺だけが世界に取り残されたような錯覚を抱くほどに、静かでもある。
どう、する?
その様子をしばらく眺め、ようやく俺の頭は重役出勤を果たす。
最初にいた部屋は、もしかしたら安全なのかもしれない。しかし、元の道がもう分からない。無我夢中で逃げ回ったせいで、正確な位置を記憶することなんてできていなかった。
今、俺が持っているものは、剣とリュック、冒険の書に……拾いたくはないが、目の前に乾パンがあるのと、多分、剣の鞘がどこかに転がっているはずだ。と、そこで、あのバグだと書かれていた言葉を思い出す。
『剣と本は常に持ち歩け』
『剣』は、嫌というほど、その存在意義が分かった。なら……『本』は?
『第一フロア 地帯区分B
柿村啓はB地帯へ進行
これより危険地帯
スケルトンが現れた
スケルトンを殴打した
スケルトンを斬った
スケルトンを斬った
スケルトンを斬った
――――――
スケルトンを倒した
柿村啓は2レベルになった
ドロップアイテム 乾パン』
目眩がしそうな内容が、そこには書かれていた。ここまでくれば、これが、本当にゲームの中なのかはともかくとして、誰かにとってのゲームに参加させられていることは明らかだった。ついでに、他に分かったことといえば、あの部屋は安全だったということと、あれはやはりスケルトンだったということくらいだろうか。
……ドロップアイテムに関しては、今は考えないでおこう。
様々なことが起こりすぎて、痛む頭を押さえながら、俺は他にも開けるページがないかと見る。すると、後二つほど、開けるページが見つかった。
一つは、俺が通ってきた道が分かるマップ。何でこんなものが書かれているのかと考えるのは後回しにするとして、これで、あの部屋に戻ることは難しくなくなった。しかし、問題はもう一つだった。
『モンスター図鑑
1 スケルトン
一般的なモンスター
まだ剣術も棒術も取得していない
ドロップアイテム 乾パン
レアドロップアイテム 尖った骨』
モンスター図鑑。図鑑と称するからには、それは、その中に記録されるものが多くあるということだ。
問題は二つ。一つは、まだまだこの図鑑に記録される存在がいるであろう事実。もう一つは、『まだ剣術も棒術も取得していない』という一文だ。
つまりは、これから先に進めば、剣や棒を使って攻撃してくるスケルトンが出てくるということだ。
背筋に冷たいものが走り、ガタガタと体が震える。
いやだ、何で、何で、こんな……。
恐怖心が人間を殺せるならば、俺はとっくに死んでいただろう。気がつけば知らない場所で、何の情報もなくて、おかしなことばかり起こって……。これで怖くないと言う方がどうかしている。
物語の主人公達は、意図も簡単にその状況に適応してみせたりするが、俺にはそんな能力はない。様々な恐怖のあまり、腰が抜けて、一歩も動けそうにない。
「うっ……」
動けそうには、ない。しかし、死にたくなければ、動かなければならない。震える足を必死に立てようと力を入れ、体を持ち上げようとする。
まるで、自分の体ではないかのように、中々動かない体。それでも、どうにか立ち上がった俺は、本の地図を見ながら元の道を引き返す。
もし、近道かもしれないと、マッピングされていない道を通って、モンスターに出くわしたら目も当てられない。そのため、マップから外れないように、ゆっくりと……途中で見つけた剣の鞘も回収しながら歩く。
こんなガタガタと震えている状態で、まともにモンスターから逃げられるとは到底思えない。だから、とにかくモンスターに出会わないことを祈り続けて、壁に手をつきながら、引きずるようにして進む。また、何かが出てくるのではないかと、周囲を全力で警戒しながら進む。
そうして、ようやく見覚えのある扉を見つけた瞬間、俺は、涙腺が弛みそうになるのを感じながら、どうにか中に入ることができた。
『第一フロア 地帯区分A
柿村啓はA地帯へ退却
これより安全地帯』
確認のために見た冒険の書には、そう、書かれていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この話のタイトルになるくらいだから、『冒険の書』はとっても重要です。
それはもう、命の次に大切な情報を記してくれるんですからね。
……現実に、自分の行動が記されてしまう本なんてあったら、ちょっと怖いですけど、柿村君は、きっとその恐怖を乗り越えてくれます!
というか、もはやこれが命綱のようなものなので、乗り越えてもらわないと困ります。
そして……まだ、それほどのものは出ていませんが、グロい話には何か印をつけておいた方が良いですかね?
……『*』とか?
ちょっと、考えておきますね。
何も、変わってない。
相変わらず、石壁が続く道はあるし、目の前の乾パンも動かない。俺だけが世界に取り残されたような錯覚を抱くほどに、静かでもある。
どう、する?
その様子をしばらく眺め、ようやく俺の頭は重役出勤を果たす。
最初にいた部屋は、もしかしたら安全なのかもしれない。しかし、元の道がもう分からない。無我夢中で逃げ回ったせいで、正確な位置を記憶することなんてできていなかった。
今、俺が持っているものは、剣とリュック、冒険の書に……拾いたくはないが、目の前に乾パンがあるのと、多分、剣の鞘がどこかに転がっているはずだ。と、そこで、あのバグだと書かれていた言葉を思い出す。
『剣と本は常に持ち歩け』
『剣』は、嫌というほど、その存在意義が分かった。なら……『本』は?
『第一フロア 地帯区分B
柿村啓はB地帯へ進行
これより危険地帯
スケルトンが現れた
スケルトンを殴打した
スケルトンを斬った
スケルトンを斬った
スケルトンを斬った
――――――
スケルトンを倒した
柿村啓は2レベルになった
ドロップアイテム 乾パン』
目眩がしそうな内容が、そこには書かれていた。ここまでくれば、これが、本当にゲームの中なのかはともかくとして、誰かにとってのゲームに参加させられていることは明らかだった。ついでに、他に分かったことといえば、あの部屋は安全だったということと、あれはやはりスケルトンだったということくらいだろうか。
……ドロップアイテムに関しては、今は考えないでおこう。
様々なことが起こりすぎて、痛む頭を押さえながら、俺は他にも開けるページがないかと見る。すると、後二つほど、開けるページが見つかった。
一つは、俺が通ってきた道が分かるマップ。何でこんなものが書かれているのかと考えるのは後回しにするとして、これで、あの部屋に戻ることは難しくなくなった。しかし、問題はもう一つだった。
『モンスター図鑑
1 スケルトン
一般的なモンスター
まだ剣術も棒術も取得していない
ドロップアイテム 乾パン
レアドロップアイテム 尖った骨』
モンスター図鑑。図鑑と称するからには、それは、その中に記録されるものが多くあるということだ。
問題は二つ。一つは、まだまだこの図鑑に記録される存在がいるであろう事実。もう一つは、『まだ剣術も棒術も取得していない』という一文だ。
つまりは、これから先に進めば、剣や棒を使って攻撃してくるスケルトンが出てくるということだ。
背筋に冷たいものが走り、ガタガタと体が震える。
いやだ、何で、何で、こんな……。
恐怖心が人間を殺せるならば、俺はとっくに死んでいただろう。気がつけば知らない場所で、何の情報もなくて、おかしなことばかり起こって……。これで怖くないと言う方がどうかしている。
物語の主人公達は、意図も簡単にその状況に適応してみせたりするが、俺にはそんな能力はない。様々な恐怖のあまり、腰が抜けて、一歩も動けそうにない。
「うっ……」
動けそうには、ない。しかし、死にたくなければ、動かなければならない。震える足を必死に立てようと力を入れ、体を持ち上げようとする。
まるで、自分の体ではないかのように、中々動かない体。それでも、どうにか立ち上がった俺は、本の地図を見ながら元の道を引き返す。
もし、近道かもしれないと、マッピングされていない道を通って、モンスターに出くわしたら目も当てられない。そのため、マップから外れないように、ゆっくりと……途中で見つけた剣の鞘も回収しながら歩く。
こんなガタガタと震えている状態で、まともにモンスターから逃げられるとは到底思えない。だから、とにかくモンスターに出会わないことを祈り続けて、壁に手をつきながら、引きずるようにして進む。また、何かが出てくるのではないかと、周囲を全力で警戒しながら進む。
そうして、ようやく見覚えのある扉を見つけた瞬間、俺は、涙腺が弛みそうになるのを感じながら、どうにか中に入ることができた。
『第一フロア 地帯区分A
柿村啓はA地帯へ退却
これより安全地帯』
確認のために見た冒険の書には、そう、書かれていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この話のタイトルになるくらいだから、『冒険の書』はとっても重要です。
それはもう、命の次に大切な情報を記してくれるんですからね。
……現実に、自分の行動が記されてしまう本なんてあったら、ちょっと怖いですけど、柿村君は、きっとその恐怖を乗り越えてくれます!
というか、もはやこれが命綱のようなものなので、乗り越えてもらわないと困ります。
そして……まだ、それほどのものは出ていませんが、グロい話には何か印をつけておいた方が良いですかね?
……『*』とか?
ちょっと、考えておきますね。
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