11 / 78
本編
第十話 凶事1
その報せが飛び込んできたのは、朝の早い時間帯。まだ、ようやく使用人達が起きて活動を始めたばかりの、日も昇りきっていない時刻のことだった。
「大変です! 殿下っ!」
激しいノックというより、扉を叩き破ろうとするかのような音に、ジークは飛び起きる。
「な、何だ?」
寝ぼけ目ではあったものの、何か大変なことが起きたのだと本能的に察知したのか、ジークは扉を開けた。
「何事だっ」
「た、ただいま、伝令がありまして、アルビニア公爵家が全滅した、と」
「……は?」
アルビニア公爵家といえば、リーリエの家のことだ。それは、ジークにも理解できたが、『全滅』という言葉は聞き慣れない。いや、そもそも、そんな伝令があること自体、寝起きで頭が回っていないジークには理解ができない。
「とにかく、急ぎ大会議場へ向かうようにとのことです!」
そんな言葉とともに、使用人達がジークの身支度を大急ぎで整えていく。
大して情報もないまま、理由も分からず指示の通りに大会議場へと向かえば、そこには国王と宰相のみならず、国の重臣達が一堂に会していた。
そんな彼らの顔色は、随分と悪く、その中でも一段と青ざめているのが宰相だった。
「遅くなりまして申し訳ありませんっ」
急いで身支度を整えたものの、どうやら自分が最後だと気付き、ジークは慌てて謝罪する。
「問題ない。さぁ、すぐに始めよう」
ジークが席に着いたのを見届けて、国王が開始を告げる。
「まずは、状況から、監視者の報告を聞こう」
そう、監視者。精霊具を持ったリーリエには、監視者が付いていたはずなのだ。それにもかかわらず、この異常事態。一体何が起きたのかと、大会議場に居る者達の視線は国王の側に立った黒衣の男へと向けられる。
「はっ、監視対象、リーリエ・アルビニアは、精霊具を亡き母の姿を写すために使用し、そのまま就寝。しかし、その間に使用人同士のいざこざが発生したらしく、殺生沙汰へと発展。錯乱した使用人達が当主や当主夫人、ご令息まで手にかけ、異常に気付き止めようとされたアルビニア嬢もまた、その凶刃に倒れたという場面を目撃しました」
誰かがひゅっと息を呑む。
監視者の報告は、あまりにも残酷で、あり得ないものだった。
「……それは、止めようが無かったのか?」
そう、監視者達は、ただ監視だけが業務ではない。時には、その身を賭して監視対象を守ることだってあるはずなのだ。それだけの力を、彼らは有している。それにもかかわらず、監視者がこのような報告をしているということは……。
「申し訳ございません。我々は、確かにその光景を目撃しましたが、実態は違うようなのです」
「? どういうことだ?」
監視者の言葉に、国王はわけが分からないといった風に問いかける。
「……推測も混ざることになりますが、よろしいでしょうか?」
そんな監視者の言葉に、国王は許可を与えた。
「大変です! 殿下っ!」
激しいノックというより、扉を叩き破ろうとするかのような音に、ジークは飛び起きる。
「な、何だ?」
寝ぼけ目ではあったものの、何か大変なことが起きたのだと本能的に察知したのか、ジークは扉を開けた。
「何事だっ」
「た、ただいま、伝令がありまして、アルビニア公爵家が全滅した、と」
「……は?」
アルビニア公爵家といえば、リーリエの家のことだ。それは、ジークにも理解できたが、『全滅』という言葉は聞き慣れない。いや、そもそも、そんな伝令があること自体、寝起きで頭が回っていないジークには理解ができない。
「とにかく、急ぎ大会議場へ向かうようにとのことです!」
そんな言葉とともに、使用人達がジークの身支度を大急ぎで整えていく。
大して情報もないまま、理由も分からず指示の通りに大会議場へと向かえば、そこには国王と宰相のみならず、国の重臣達が一堂に会していた。
そんな彼らの顔色は、随分と悪く、その中でも一段と青ざめているのが宰相だった。
「遅くなりまして申し訳ありませんっ」
急いで身支度を整えたものの、どうやら自分が最後だと気付き、ジークは慌てて謝罪する。
「問題ない。さぁ、すぐに始めよう」
ジークが席に着いたのを見届けて、国王が開始を告げる。
「まずは、状況から、監視者の報告を聞こう」
そう、監視者。精霊具を持ったリーリエには、監視者が付いていたはずなのだ。それにもかかわらず、この異常事態。一体何が起きたのかと、大会議場に居る者達の視線は国王の側に立った黒衣の男へと向けられる。
「はっ、監視対象、リーリエ・アルビニアは、精霊具を亡き母の姿を写すために使用し、そのまま就寝。しかし、その間に使用人同士のいざこざが発生したらしく、殺生沙汰へと発展。錯乱した使用人達が当主や当主夫人、ご令息まで手にかけ、異常に気付き止めようとされたアルビニア嬢もまた、その凶刃に倒れたという場面を目撃しました」
誰かがひゅっと息を呑む。
監視者の報告は、あまりにも残酷で、あり得ないものだった。
「……それは、止めようが無かったのか?」
そう、監視者達は、ただ監視だけが業務ではない。時には、その身を賭して監視対象を守ることだってあるはずなのだ。それだけの力を、彼らは有している。それにもかかわらず、監視者がこのような報告をしているということは……。
「申し訳ございません。我々は、確かにその光景を目撃しましたが、実態は違うようなのです」
「? どういうことだ?」
監視者の言葉に、国王はわけが分からないといった風に問いかける。
「……推測も混ざることになりますが、よろしいでしょうか?」
そんな監視者の言葉に、国王は許可を与えた。
あなたにおすすめの小説
謹んで、婚約破棄をお受けいたします。
パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。
婚約破棄された悪役令嬢ですが、なぜか変人侯爵に溺愛されてます
春夜夢
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢・レイナは、王子とその「自称ヒロイン」の公開断罪を、冷静に受け入れた――いや、むしろ内心大喜びだった。
自由を手に入れたレイナが次に出会ったのは、変人と名高い天才侯爵様。なぜか彼から猛烈な溺愛求婚が始まって……!?
「君がいい。契約結婚でも構わないから、今すぐ結婚してくれ」
「……私、今しがた婚約破棄されたばかりなのですが」
婚約破棄から始まる、予測不能な溺愛ラブコメディ。
策士な令嬢と、ちょっとズレた変人侯爵様の恋の行方は――?
「やはり鍛えることは、大切だな」
イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」
その日、一つのお見合いがあった。
ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。
クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。
そして互いに挨拶を交わすその場にて。
ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。
けれども……――。
「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」
【結婚式当日に捨てられました】身代わりの役目は不要だと姉を選んだ王子は、隣国皇帝が私を国ごと奪いに来てから後悔しても手遅れです。
唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。
本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。
けれど——
私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。
世界でただ一人、すべてを癒す力。
そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。
これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。
売られたケンカは高く買いましょう《完結》
アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。
それが今の私の名前です。
半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。
ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。
他社でも公開中
結構グロいであろう内容があります。
ご注意ください。
☆構成
本章:9話
(うん、性格と口が悪い。けど理由あり)
番外編1:4話
(まあまあ残酷。一部救いあり)
番外編2:5話
(めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)
婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?
鶯埜 餡
恋愛
バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。
今ですか?
めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)