12 / 78
本編
第十一話 凶事2
監視者が言うには、監視者達が見ていたのは、精霊具による幻覚ではないかとのこと。
リーリエ・アルビニアが借りた精霊具の特性は、幻覚を見せること。監視者は、当初、それはリーリエが亡き母を写すために借りたのだと思っていたが、実態としては、その精霊具によって様々な幻覚を見せられた使用人や当主達がお互いに殺し合ったのではないかと。
しかし、それがリーリエ本人の意思なのか、もしくは精霊具が暴走した結果起きた悲劇なのか判断がつかないということ。
それらの情報を伝えられ、大会議場はしん、と静まり返る。
「アルビニア嬢は、寝ているところを使用人に刺されたのだと思われます」
最後に、そう伝えた監視者は、そのまま黙り込む。監視者は、異常事態を前に指を銜えて見ていたわけではない。実際に、リーリエを、それ以外の者達を守ろうとして、奮戦したのだ。しかし、実体を持たない幻覚を前に、足止めをくらい、どうにかリーリエの下へ戻った時には、すでに、リーリエは使用人に刺されて殺された後だったという。
「……この件は、精霊具の暴走によるものとし、該当の精霊具は永久に封印することとする」
色々と話し合いは行われた。一つの公爵家が一夜にして滅びるなど、戦時中でもない今、あってはならないことであり、その混乱は測り知れない。
しかし、ジークはあまりの出来事に放心したまま、最後に締めくくられた国王の言葉でようやく我に返る。
「本日は、朝早いのに集まってもらい、感謝する。後日、また詳しい話をするとしよう」
会議が終わった後、ジークは帰っていく重臣達を見送り、そのまま居残る。
最後には、国王と宰相、そして、ジークのみが残された。
「……父上、私達は、精霊具を貸し出すべきではなかったの、でしょうか」
リーリエが望むならと、何も聞かずに貸し出した精霊具。それが、このような悲劇を生むと分かっていたならば、何が何でも貸し出しなどしなかった。
そう言いたげなジークに、国王は首を横に振る。
「いや、どちらにせよ、避けられなかったことなのかもしれん」
「? 避けられなかった? それは、どういう……?」
「殿下、本日はもう、お戻りください。これより、陛下は忙しくなりますので」
問いかけても、国王からの答えはなく、宰相からは退席を指示される。
ジークは、どこか引っかかるものを感じながらも、忙しくなる理由が分かるだけに従うしかない。
「では、失礼します」
どこか、自分一人だけが知らない何かがあるような、そんな気味の悪い感情を抱きながら、ジークは自室へと戻った。
リーリエ・アルビニアが借りた精霊具の特性は、幻覚を見せること。監視者は、当初、それはリーリエが亡き母を写すために借りたのだと思っていたが、実態としては、その精霊具によって様々な幻覚を見せられた使用人や当主達がお互いに殺し合ったのではないかと。
しかし、それがリーリエ本人の意思なのか、もしくは精霊具が暴走した結果起きた悲劇なのか判断がつかないということ。
それらの情報を伝えられ、大会議場はしん、と静まり返る。
「アルビニア嬢は、寝ているところを使用人に刺されたのだと思われます」
最後に、そう伝えた監視者は、そのまま黙り込む。監視者は、異常事態を前に指を銜えて見ていたわけではない。実際に、リーリエを、それ以外の者達を守ろうとして、奮戦したのだ。しかし、実体を持たない幻覚を前に、足止めをくらい、どうにかリーリエの下へ戻った時には、すでに、リーリエは使用人に刺されて殺された後だったという。
「……この件は、精霊具の暴走によるものとし、該当の精霊具は永久に封印することとする」
色々と話し合いは行われた。一つの公爵家が一夜にして滅びるなど、戦時中でもない今、あってはならないことであり、その混乱は測り知れない。
しかし、ジークはあまりの出来事に放心したまま、最後に締めくくられた国王の言葉でようやく我に返る。
「本日は、朝早いのに集まってもらい、感謝する。後日、また詳しい話をするとしよう」
会議が終わった後、ジークは帰っていく重臣達を見送り、そのまま居残る。
最後には、国王と宰相、そして、ジークのみが残された。
「……父上、私達は、精霊具を貸し出すべきではなかったの、でしょうか」
リーリエが望むならと、何も聞かずに貸し出した精霊具。それが、このような悲劇を生むと分かっていたならば、何が何でも貸し出しなどしなかった。
そう言いたげなジークに、国王は首を横に振る。
「いや、どちらにせよ、避けられなかったことなのかもしれん」
「? 避けられなかった? それは、どういう……?」
「殿下、本日はもう、お戻りください。これより、陛下は忙しくなりますので」
問いかけても、国王からの答えはなく、宰相からは退席を指示される。
ジークは、どこか引っかかるものを感じながらも、忙しくなる理由が分かるだけに従うしかない。
「では、失礼します」
どこか、自分一人だけが知らない何かがあるような、そんな気味の悪い感情を抱きながら、ジークは自室へと戻った。
あなたにおすすめの小説
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。
婚約破棄された悪役令嬢ですが、なぜか変人侯爵に溺愛されてます
春夜夢
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢・レイナは、王子とその「自称ヒロイン」の公開断罪を、冷静に受け入れた――いや、むしろ内心大喜びだった。
自由を手に入れたレイナが次に出会ったのは、変人と名高い天才侯爵様。なぜか彼から猛烈な溺愛求婚が始まって……!?
「君がいい。契約結婚でも構わないから、今すぐ結婚してくれ」
「……私、今しがた婚約破棄されたばかりなのですが」
婚約破棄から始まる、予測不能な溺愛ラブコメディ。
策士な令嬢と、ちょっとズレた変人侯爵様の恋の行方は――?
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。
売られたケンカは高く買いましょう《完結》
アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。
それが今の私の名前です。
半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。
ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。
他社でも公開中
結構グロいであろう内容があります。
ご注意ください。
☆構成
本章:9話
(うん、性格と口が悪い。けど理由あり)
番外編1:4話
(まあまあ残酷。一部救いあり)
番外編2:5話
(めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)
妹に初恋を奪われ追放された王女、私を捨てた騎士がなぜか二度恋してきます〜迷宮の通信機で再会したら執着が重すぎる〜
唯崎りいち
恋愛
妹を刺した――。
身に覚えのない罪で、迷宮へ捨てられた王女の私。
絶望の中で拾ったのは、スマホに似た『未知の魔導具』だった。
繋がった相手は、見知らぬ「名もなき騎士」。
孤独を癒やしてくれる彼に、私は正体を知らないまま惹かれていく。
「君のためなら、国にだって逆らう」
けれど、再会した彼の正体は……?
「国だって滅ぼす。それくらいの覚悟でここに来たんだ」
通信機から始まる、二度目の初恋と逆転ざまぁ。
婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜
夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」
婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。
彼女は涙を見せず、静かに笑った。
──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。
「そなたに、我が祝福を授けよう」
神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。
だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。
──そして半年後。
隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、
ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。
「……この命、お前に捧げよう」
「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」
かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。
──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、
“氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。