婚約破棄ですか? 無理ですよ?3

星宮歌

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本編

第十一話 凶事2

 監視者が言うには、監視者達が見ていたのは、精霊具による幻覚ではないかとのこと。
 リーリエ・アルビニアが借りた精霊具の特性は、幻覚を見せること。監視者は、当初、それはリーリエが亡き母を写すために借りたのだと思っていたが、実態としては、その精霊具によって様々な幻覚を見せられた使用人や当主達がお互いに殺し合ったのではないかと。
 しかし、それがリーリエ本人の意思なのか、もしくは精霊具が暴走した結果起きた悲劇なのか判断がつかないということ。

 それらの情報を伝えられ、大会議場はしん、と静まり返る。


「アルビニア嬢は、寝ているところを使用人に刺されたのだと思われます」


 最後に、そう伝えた監視者は、そのまま黙り込む。監視者は、異常事態を前に指を銜えて見ていたわけではない。実際に、リーリエを、それ以外の者達を守ろうとして、奮戦したのだ。しかし、実体を持たない幻覚を前に、足止めをくらい、どうにかリーリエの下へ戻った時には、すでに、リーリエは使用人に刺されて殺された後だったという。


「……この件は、精霊具の暴走によるものとし、該当の精霊具は永久に封印することとする」


 色々と話し合いは行われた。一つの公爵家が一夜にして滅びるなど、戦時中でもない今、あってはならないことであり、その混乱は測り知れない。
 しかし、ジークはあまりの出来事に放心したまま、最後に締めくくられた国王の言葉でようやく我に返る。


「本日は、朝早いのに集まってもらい、感謝する。後日、また詳しい話をするとしよう」


 会議が終わった後、ジークは帰っていく重臣達を見送り、そのまま居残る。
 最後には、国王と宰相、そして、ジークのみが残された。


「……父上、私達は、精霊具を貸し出すべきではなかったの、でしょうか」


 リーリエが望むならと、何も聞かずに貸し出した精霊具。それが、このような悲劇を生むと分かっていたならば、何が何でも貸し出しなどしなかった。
 そう言いたげなジークに、国王は首を横に振る。


「いや、どちらにせよ、避けられなかったことなのかもしれん」

「? 避けられなかった? それは、どういう……?」

「殿下、本日はもう、お戻りください。これより、陛下は忙しくなりますので」


 問いかけても、国王からの答えはなく、宰相からは退席を指示される。
 ジークは、どこか引っかかるものを感じながらも、忙しくなる理由が分かるだけに従うしかない。


「では、失礼します」


 どこか、自分一人だけが知らない何かがあるような、そんな気味の悪い感情を抱きながら、ジークは自室へと戻った。
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