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第二章 ライバル
第二十二話 楽しい食事(ルティアス視点)
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夕食をともにしたいと言ったアルムの言葉を断って、僕達は魔の森のログハウスに戻ってきていた。
危険極まりない場所で、一歩間違えばすぐにでも命を奪われるような場所なのに、リリスさんが隣に居てくれるというだけで、暖かな場所のように思える。
「ルティアス、その……お国の料理は、今はどんなものができますか?」
「ん? そうだね……トンカツとか、豚汁とか、しゃぶしゃぶとか……って、言っても分からないよね? えっとね、トンカツっていうのは「ぜひとも作ってくださいっ!」えっ? あっ、うん?」
リリスさんの異様なまでの食い付きに、僕は戸惑いながらも了承する。ただ、もしかしたら、リリスさんは僕の国の料理を誰かに食べさせてもらったのかもしれないという可能性に行き当たり、少しばかりもやっとした。
(嫉妬、かなぁ。……リリスさんにはバレないようにしなきゃ)
「そうだ、清酒もあるけど、リリスさん「飲みますわ」そ、そっか、うん、分かった」
リリスさんは、見た目は十代くらい後半くらいだろうか。確か、人間の国では十六歳から飲酒が可能だったような気がするから、大丈夫だとは思うものの、清酒はそれなりに強いお酒だ。少し心配に思いながらも、楽しみにしている様子のリリスさんに飲むなとは言えない。僕は、リリスさん限定で押しに弱いのだから。
バーサークピッグの肉をリリスさんの魔法で亜空間から取り出してもらうと、僕は黙々とそれらを切り落とし、それぞれでトンカツと豚汁を作り始める。しゃぶしゃぶに関しては、鍋をドンとテーブルの真ん中に置いて、一緒につつく方が良さそうだ。
量は少し悩んだものの、リリスさんが、自分の使う亜空間は、時間も止められると言ってくれたために、大量に作っておくことにする。何だか、リリスさんの目がそうしろと言っている気がしたのだ。
キャベツの千切りをトンカツの側に添えて、豚汁の方は、そろそろ味噌を溶いて入れていく。しゃぶしゃぶの方は他のいくつかの野菜も一緒に食べられるように添えて、フツフツと沸騰するのを横目に、清酒用の酒器がないため、代わりに、ワイングラスへと清酒を注ぐ。
それを見ていたリリスさんが、『ニホンシュは初めてなのよね』と言っていたが、それがいったい何のことかは分からなかった。
「それじゃあ、もう食べられるよ。しゃぶしゃぶは、ここでゆがいて、こっちのタレをつけて食べてね」
「えぇ、分かりましたわ」
すでに、目をキラキラと輝かせているリリスさんを見て、僕は、心底料理ができて良かったと思う。
魔族は、いずれ自分の片翼に快適な生活を送ってもらうために、料理、洗濯、掃除、裁縫などなど、様々な分野の技術を学ぶ。ちょっと前までは、片翼を得られもしないのに、あんなの学ぶのは無駄だったと思っていたのだが、リリスさんと出会って、その考えは百八十度変わった。
(僕、料理できて良かったっ!)
リリスさんが僕の料理を喜んでくれることを知ってからは、僕は、料理を教えてくれた先生に感謝しきりだった。
「お、美味しいですわ」
ジーンと感動したようにプルプルと震えるリリスさんは、まずは、揚げたてのトンカツを口にしたらしい。そこまで喜んでもらえるとなると、腕のふるいがいがある。
「ほっ……あぁ、この味ですわ。懐かしい……」
惜しむらくは、最初にリリスさんへ故郷の料理を味わわせたのが、僕ではなかったということくらいだろうか。
リリスさんは、その後、パクパクと食べ進め、清酒も飲みやすかったのか、ゴクゴクと飲んでいき……見事に、酔っ払った。
「ルティアスぅ、美味しい料理、ありがとー」
「ひゃっ、リ、リリスさんっ!?」
リリスさんは、普段は浮かべることのない満面の笑みで、ニッコニッコしながら、僕に後ろから抱きついてくる。柔らかなものが二つ、背中に当たって、何とも辛い。
「えへへ、ニホンショク、もう食べられないと思ってたの。だからね、ありがとー」
ギュムギュムと抱き締める腕に力を込めるリリスさんを前に、僕は前屈みになって必死に我慢する。顔はきっと、真っ赤になっていることだろう。
「ルティアス、ずっと、一緒に……」
「……? リリスさん?」
何かを言いかけて、急に黙り込んだリリスさん。僕は、不安になって声をかけてみるものの、聞こえるのは規則正しい息遣いのみ。
「って、寝てる!?」
その後、僕は何とかリリスさんを背中から引き剥がし、二階のベッドへと運び込む。
それから……少しばかり、トイレに籠ったことは、リリスさんには知られてはならないことだろう。
そうして、魔の森の中において、あり得ないほど平和な夜が過ぎていくのだった。
危険極まりない場所で、一歩間違えばすぐにでも命を奪われるような場所なのに、リリスさんが隣に居てくれるというだけで、暖かな場所のように思える。
「ルティアス、その……お国の料理は、今はどんなものができますか?」
「ん? そうだね……トンカツとか、豚汁とか、しゃぶしゃぶとか……って、言っても分からないよね? えっとね、トンカツっていうのは「ぜひとも作ってくださいっ!」えっ? あっ、うん?」
リリスさんの異様なまでの食い付きに、僕は戸惑いながらも了承する。ただ、もしかしたら、リリスさんは僕の国の料理を誰かに食べさせてもらったのかもしれないという可能性に行き当たり、少しばかりもやっとした。
(嫉妬、かなぁ。……リリスさんにはバレないようにしなきゃ)
「そうだ、清酒もあるけど、リリスさん「飲みますわ」そ、そっか、うん、分かった」
リリスさんは、見た目は十代くらい後半くらいだろうか。確か、人間の国では十六歳から飲酒が可能だったような気がするから、大丈夫だとは思うものの、清酒はそれなりに強いお酒だ。少し心配に思いながらも、楽しみにしている様子のリリスさんに飲むなとは言えない。僕は、リリスさん限定で押しに弱いのだから。
バーサークピッグの肉をリリスさんの魔法で亜空間から取り出してもらうと、僕は黙々とそれらを切り落とし、それぞれでトンカツと豚汁を作り始める。しゃぶしゃぶに関しては、鍋をドンとテーブルの真ん中に置いて、一緒につつく方が良さそうだ。
量は少し悩んだものの、リリスさんが、自分の使う亜空間は、時間も止められると言ってくれたために、大量に作っておくことにする。何だか、リリスさんの目がそうしろと言っている気がしたのだ。
キャベツの千切りをトンカツの側に添えて、豚汁の方は、そろそろ味噌を溶いて入れていく。しゃぶしゃぶの方は他のいくつかの野菜も一緒に食べられるように添えて、フツフツと沸騰するのを横目に、清酒用の酒器がないため、代わりに、ワイングラスへと清酒を注ぐ。
それを見ていたリリスさんが、『ニホンシュは初めてなのよね』と言っていたが、それがいったい何のことかは分からなかった。
「それじゃあ、もう食べられるよ。しゃぶしゃぶは、ここでゆがいて、こっちのタレをつけて食べてね」
「えぇ、分かりましたわ」
すでに、目をキラキラと輝かせているリリスさんを見て、僕は、心底料理ができて良かったと思う。
魔族は、いずれ自分の片翼に快適な生活を送ってもらうために、料理、洗濯、掃除、裁縫などなど、様々な分野の技術を学ぶ。ちょっと前までは、片翼を得られもしないのに、あんなの学ぶのは無駄だったと思っていたのだが、リリスさんと出会って、その考えは百八十度変わった。
(僕、料理できて良かったっ!)
リリスさんが僕の料理を喜んでくれることを知ってからは、僕は、料理を教えてくれた先生に感謝しきりだった。
「お、美味しいですわ」
ジーンと感動したようにプルプルと震えるリリスさんは、まずは、揚げたてのトンカツを口にしたらしい。そこまで喜んでもらえるとなると、腕のふるいがいがある。
「ほっ……あぁ、この味ですわ。懐かしい……」
惜しむらくは、最初にリリスさんへ故郷の料理を味わわせたのが、僕ではなかったということくらいだろうか。
リリスさんは、その後、パクパクと食べ進め、清酒も飲みやすかったのか、ゴクゴクと飲んでいき……見事に、酔っ払った。
「ルティアスぅ、美味しい料理、ありがとー」
「ひゃっ、リ、リリスさんっ!?」
リリスさんは、普段は浮かべることのない満面の笑みで、ニッコニッコしながら、僕に後ろから抱きついてくる。柔らかなものが二つ、背中に当たって、何とも辛い。
「えへへ、ニホンショク、もう食べられないと思ってたの。だからね、ありがとー」
ギュムギュムと抱き締める腕に力を込めるリリスさんを前に、僕は前屈みになって必死に我慢する。顔はきっと、真っ赤になっていることだろう。
「ルティアス、ずっと、一緒に……」
「……? リリスさん?」
何かを言いかけて、急に黙り込んだリリスさん。僕は、不安になって声をかけてみるものの、聞こえるのは規則正しい息遣いのみ。
「って、寝てる!?」
その後、僕は何とかリリスさんを背中から引き剥がし、二階のベッドへと運び込む。
それから……少しばかり、トイレに籠ったことは、リリスさんには知られてはならないことだろう。
そうして、魔の森の中において、あり得ないほど平和な夜が過ぎていくのだった。
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