恐怖な少女・各地で笑顔惨殺!

空 佳吹

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その悪魔は不意に…(サラリーマンの場合)

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(ご注意:異常な死に方を表現したシーンがあります)

 正月三が日から一週間後の、ある朝――

「また、きょうも、午後から雨か雪かな……」

 東京近郊のA市でアパート暮らしの宏は、今朝も薄手のダウンジャケット姿で自宅を出る時、空を見ながらつぶやいた。

 ふと見ると、近所の庭にシクラメンが咲いている。

「花はたくましいね……」
 と、またつぶやいた彼は童顔タイプの二十二歳だった。

 徒歩五分で停留所に着くと、いつものように十人ほどの男女が並んでいた。
 
 さらに五分ほど経つと、いつものA市駅行のバスが右折して到着した。
 Y産業に去年入社したばかりの宏は、通勤のためにそのバスに乗る。

 路線の中間あたりからの乗車なので、いつも座る席がない時は、二十人ほどの男女客にまじって後ろのドア付近に立つことにしていた。

 窓から見える風景を何気なく見ながら、ファ~と、あくびをした。
 その時、一枚の小さな葉がどこからか入ってきた。

(あれ? こんな葉っぱ、めずらしいな……)

 見ていると宏の前でスッと……止まった。
 
(ん? なんだ? いったい……? どういうこと……?)

 白くなった窓に張り付いた感じでもなく……空中で止まったのだ。

 そう思った瞬間、それまでの騒音がウソのように無くなり……
 一緒に乗っていたはずの大勢の乗客も、なぜか総て……消えた。
 
 ガラーンとした車内の最奥の席に、黒いドレス姿の少女が一人、座っている。
 金髪のような髪が長く、ゾクッとするように可愛い子だ。
 
 宏が不思議そうに見ていると……

「おにいちゃん、見付けた」
「えっ? 何? 僕? 君は?」
 
 宏が近付こうとするとトンネルにでも入ったように、車内がスッと……暗くなった。
 
 次の瞬間……少女は、宏の傍まできていて、ジッと見詰めている。
 
「おいおい、君は……」
「おにいちゃん、もうすぐだよ」
 
 またスッと暗くなり……少女は消えた。

 バスの揺れが激しいと思った時、窓外の風景は一変していて、どこかの山道を走っている感じだった。
 空は、ウソのように晴れていた。
 
 宏は、訳が分からなかったが……なぜか気分は良かった。
 
「そう言えば、故郷のバスって、こんな感じだったな……」
 
 宏は、まるで小学生のような気持ちで、近くの座席に座った。
 そして当時、流行っていた歌が口から出るほど、楽しい気分になっていた。

 バスは森の中を走りつづけていく。

 いったい何処に向っているのか、まったく分からなかったが、宏はルンルン気分で窓外の景色を楽しんでいた。
 反対の座席に行ったり最後部席に移ったりと、宏は、はしゃぎまくっていた。

 いつのまにかバスは、山道を上っていた。

「いかん! ブレーキが――!!」
 
 運転手の、遠くから発せられたような叫び声が車内に響いた。が、今の宏には届かないほど、小学六年生の気分になっていた。
 
 次の瞬間、バスはカーブを曲がりきれずガードレールを突破した。
 
 そして、そのまま深い谷底へと落ちていった。
 
 しかし宏は、まったく怖くなく、ジェットコースターにでも乗ってる気分だった。

 深い谷底でバスは大破し、エンジンから煙が噴出した。
 
 宏が車内でうつむいて倒れていると、さっきの少女が笑顔で現れて、
 
「おにいちゃん、一緒に遊ぼうね」

 まもなく、宏が着ているダウンジャケットが風船のように膨らみだし、宏の首と両腕と下半身が、そのままジャケットの中に吸い込まれた。

 ボキボキボキー! 

 という音がして、血だらけになった宏の首と両腕と下半身が飛び出すと、それぞれの窓ガラスに突き刺さった。

 そこに、さっきの少女がまた現れると、宏のそれぞれのパーツを持って……消えた。

 たまたま通り合わせた人からの通報で、パトカーが到着し刑事たちの捜査が始まった。

 その結果、発見されたのは、運転手の遺体とボロボロのダウンジャケットだけだった。
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