ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第七章 王国剣術大会編

第289話 エレインの受難

 その日は、エレインに村の視察を頼まれた。
 よく晴れた日だった。
 村の中を、二人で歩く。
 エルフさん達の野営地だった場所には、すでに何件もの新築の家ができあがっていて、生活を始めていた。
 かつて村外れというか、村の入口にあったケイトさんのコンビニを越えると、その先にも新築の家がずらりと立ち並んでいた。
 エルフ住居よりは粗末だが、一般的な中世の家屋といった感じの家々だ。
 なにこれ。

「他の領から移住してきた者たちの住居です。セランディアは王国内でも圧倒的に税が安いですから」

 エレインがそんな説明をしてくれたが、領主であるはずの俺は全く聞いてない件について。

「いえ、何十回も説明しました。すでにセランディアの人口は5千を超えています。立派な都市と言っても過言ではありません」

 過言だわー。
 そもそも俺しかいなかったはずの廃村が都市とか。
 そんな人口増えたら市長さん大変そうじゃん。
 シムシティをやり込んだ俺はくわしいんだ。

「市長さんというか、皆、閣下の民ですけど……」

 市長さん俺!?
 住居を立てた覚えも無ければ、商業施設と工場を立てた覚えもないのに!?
 そのシムシティバグってるんじゃ……。

「皆それぞれに仕事を割り当てて、産業と呼べるものもできつつあります。毎日報告をしておりますが……」

 なんかエレインが毎日堅苦しいことを喋っていたのは知っているが。

「悪い。エレインの身体に夢中で聞いてなかったわ」

「閣下……もうっ」

 身体目当ての最低発言をしたつもりだったが、エレインはまんざらでもなさそうに照れていた。
 この子もだいぶキている。
 まあ、可愛いが。
 幸い、すぐそこには茂みラブホがあった。
 このまましけこむのも良いかもしれない。
 いにしえの昔より視察デートの締めはセックスと決まっている。

「いえ、視察はまだ終わってませんが……ちょ、閣下……も、もうっ」

 エレインを茂みラブホに連れ込んで、上着の中に手を入れた。
 俺の手は蛇のようにしゅるしゅると這いずり回り、エレインのブラを越えて、その乳首にふれる。

「あんっ……閣下……」

 コリコリと乳首をいじると、エレインの全身からは力が抜け、むわっとした女の匂いが漂ってきた。

「こ、こんなとこで……」

「ここがどこだろうと気にならなくしてやる。舌を出せ」

 おずおずと艶かしい唇を開き、赤い舌を出してくるエレイン。
 その舌を吸い上げた。

「閣下、あむっ、れろ」

 口づけを交わしていると、エレインはなりふり構わずに抱きついてくる。
 スイッチはとっくに入っていた。
 俺はエレインの上着を脱がせようと——。

「あら、アサギリ卿と……エレイン?」

 ——していたら、懐かしい声が聞こえてきた。




 私の名前はエレイン。
 私には年下の彼氏がいる。
 自分で言うのも何だが、私にメロメロだ。
 毎日、私を求めてくる。
 そんな彼を、私も愛おしいと思ってしまっているので、私も大概なのだが。
 そんなある日、いつもは部屋でしているので、気分を変えようと彼をデートに誘った。
 名目は村の視察だが、彼はそんなことに興味はないだろう。
 興味があるのは、私だけ。
 そんな彼が、もう可愛くって仕方がない。
 恋愛するなら年下以外あり得ない。
 彼のせいで、最近ではそんなことすら考えていた。

 デートも佳境になり、彼がいつものように私を求めてきた。
 年下とは思えないほどの指使いで、私が求めるところをピンポイントで触ってくる。

「ここがどこだろうと気にならなくしてやる。舌を出せ」

 そんな男らしいことを言い出す彼に従って、口づけを交わしていたときだった。

「あら、アサギリ卿と……エレイン?」

 あり得ない声だった。
 ここでは決して聞こえないはずの声。
 頭上から聞こえてきたので、きっと馬に乗った親友の声。
 その瞬間、私の脳は高速で回転した。
 親友の想い人は、私の彼氏だった。
 しかも、想いを寄せたのは私より先。
 つまり、奪ったのは私と言うことになる。
 クソ女の所業。
 背中をつつーと冷たい汗が伝う。
 誰よりも大切にしてきた親友だった。
 しかし、彼への愛おしさも今の私を形作る重要な要素になっている。
 親友、彼氏、親友、彼氏、親友、彼氏……。
 そんな思いが脳内をぐるぐると巡り。
 プツン、となにかがキレた。
 それは肉体にも影響を及ぼし、常人はありえないほどの火事場の馬鹿力をエレインにもたらす。

「せえええええいっ!」

 気づけば彼氏を投げ飛ばしていた。

「ほげえええっ」

 彼氏が情けない声を上げる。
 が、しかし。
 今だけである。
 親友は王都にたくさんの仕事を抱えているはず、こんな辺境の村にいられる時間は少ないはず。
 おそらく今日1日。
 それくらいなら、誤魔化し尽くしてやる!!

「エ、エレイン!?」

「あらゼービア。どうしたの、こんなところに?」

 何事もなかったかのうように、親友ゼービアに挨拶をする。
 閣下は目をぐるぐる回して伸びていた。
 好都合である。

「エ、エレイン? 今なんか、私の彼と、すごく近かったように見えたのだけれど……」

「ゼービア。彼も若い男の子よ。あなたが何ヶ月も放っておくからたまに私にセクハラをしようとするの。でも、あなたの想い人なのはわかっているから、こうしてお仕置きをするのよ」

「えええっ!? そ、それはありがとう?」

 セクハラどころか中出しも許しているが、ゼービアがお礼を言っていたので問題ないだろう。

「それで今日はどうしたの、ゼービア」

「え、ええ。今度、王国剣術大会が開かれるの。それに是非ハイランダー・アサギリ卿も出てもらおうと思って」

「ああ、もうそんな時期だったのね」

 そのハイランダーは伸びているが。

「彼を後ろに乗せてあげて、彼の家まで連れて行って、そこで話をしましょう」

「ええ。も、もう仕方ないわね」

 ゼービアはやはり馬で来ていた。
 大将軍の証である純白の駿馬。
 伸びた彼を、背中に乗せると、ゼービアはまんざらでもなく嬉しそうだった。
 かわいい。

 そしてアサギリ家を目指す。
 新たに建造した城はまだ内装をやっているので、村の最奥の彼の古い家がゴールだ。
 エレインはまだ気づいていなかった。
 村の端から端までの道のりに、幾度も受難があることを……。


 馬を並足にして、私の歩調に合わせてくれるゼービア。
 二人で並んで歩きながら、王都での近況などの話をする。
 エレインの元同僚のことなど、話は尽きない。
 さすが親友である。
 そんな時だった。

「あらエレイン様」

 それは最近、閣下の厩番うまやばんに任命されたエルフだった。
 いつもは悪魔のような馬に、◯◯されているが、今日はまともに馬の手綱を握って、衣服を身にまとって歩いている。
 悪魔のような馬。
 それはかつて、エレインが閣下に贈った超高級スレイプニル。
 の成れの果て。
 プチッと、再びエレインの脳の何かがキレる。

「せえええええいいっ!!!」

「「ええええええ!?」」

 ゼービアと厩番(クリスティーナ・コロ◯ードさん)が驚きの声を上げるが。
 悪魔馬に素早く近寄ると、その馬首の頸動脈を締め上げる。

「グギャグギャ」

 悪魔馬はそんな断末魔の鳴き声を残し、泡を吹いて倒れた。

「な、なんかすごく禍々しい魔物ね……触手生えてるし、脚6本あるし……あれ、そういえば私の贈ったファルシオンに少し似ているような」

「な、何言ってんのよ! 似ても似つかないでしょう! 真っ黒だし。ファルシオンは今、ちゃんとした厩番に世話をされて遠乗りに出かけているわ」

「そ、そうなの。会いたかったのに残念だわ」

「ちゃんとした!?」

 クリスティーナが何故かショックを受けていたが、普段〇〇されまくっているので、残念ながらちゃんとはしていない。

 ファルシオンの件をうまく誤魔化したエレインだったが、受難は続く。

「あ、エレインじゃないか。こんなとこでどうしたんだ?」

 それは腹を膨らませた正妻のルーナだった。
 正妻とは不仲だと思っているゼービアに、ルーナの妊娠がバレるのはまずい。
 プチッ。

「どっせええええい!」

 気づいたときには、ルーナにラリアートをかましていた。

「ほげえええ」

 愛しの彼と同じ悲鳴をあげるあたりイラッとするが、ルーナは目を回して倒れた。
 仰向けに倒れたので、母体に影響がないのは計算済みである。
 なんかよく暴力を受けている気がするが。

「……今のあの人の奥さんよね。なんかお腹が大きかったような」

「デブよ! あれはただのデブ! 毎日食っちゃ寝食っちゃ寝してるから、閣下にも愛想をつかされつつあるわ。ゼービアの圧勝よ」

「そう……愛しの旦那様がいるのにボディメイクを怠るなんて、妻失格ね……」

「失格、失格!」

 そんな時だった。

「あらゼービアさん、こんなところでどうしたんですか?」

 今度は現れたのはミレイだった。
 ルーナと同じくデカい腹を撫でながらやってくる。
 次から次へと……。

「ほあああああっ」

 一瞬で、ミレイに近づくと両手を目の前に一度クロスして首の動脈と静脈を狙う。
 いわゆるモンゴリアンチョップをかました。

「ぎゃあああっ」

 目を回して倒れるミレイ。

「なんか今の人もお腹が大きかったような」

「デブデブ! アレもデブよ!」

「それにしても綺麗な人が多いところね。なんだか、私、不安になるわ」

 そりゃ多いけれども。
 今倒したミレイもだいぶ美人だし、よく考えたら彼の周りには美人しかいない。

「おう、エレイン殿ではないか。こんなとこでどうしたのだ」

 そんな時、リュディアの声が聞こえた。
 リュディアも彼を取り巻く美人の一人だが、幸い変態である。
 こないだ全裸でニャンコと犬ごっこをしているのを見た。
 きっと今日もろくでもない格好をしているに違いないので、ゼービアを不安にさせることはないだろう。
 と、思っていたら。
 振り返ったエレインが見たリュディアは、肩出しのグレーのセーターを着ていて、普通に美人だった。
 ちいっ!
 小さく舌打ちすると。

「シャイニングウィザード!!」

 そのまま飛び膝蹴りをかました。

「くうっ、コウ以外の痛みで感じたくないのにっ!」

 リュディアは妙な事を言いながら倒れていく。

「はあはあ」

 肩で息をついていると。

「だ、大丈夫? エレイン」

 ゼービアが普通に心配してくれた。
 なんて危険な村だ。
 この先には、吸血鬼だの千年を生きたエルフだのが待ち構えているのだ。
 とても火事場の馬鹿力で敵う気がしない。

「ゼービア、もうここで話し合いましょう! 閣下を起こすから!」

「え、ええ」

 エレインはアサギリ家までたどり着くのを諦めたのだった。
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