予知夢少女

momo

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夢2 運命

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「え?」 

 柊君は、足を止めて振り返った。

「あっ……ごめん」

 あわてて袖から手を離し、うつ向く。
 今、チャンスなんじゃない?
 言わなきゃ!

「ひ、柊君!私っ、その……変わってて、よ、ち……えっと、やっぱり何でもないやっ!」

 無理……さすがに予知夢のことを言う勇気はない。
 だって、16年間、他人に予知夢のこと、いったことないんだよ?
 私には、少し___いや、大分ハードルが高すぎる。
 でも、引き留めたからには、何か言わないと……!

「……お願いがあるの」

「何?」

 柊君は、挑むような視線を私に向けた。

「この1週間、外に出ちゃダメ」

「はっ!?何で?」

 怪訝そうに眉をひそめる。
 だよね……急にこんなこと言われても納得出来ないよね。 

「柊君が納得出来ない気持ちは、わかってるよ。でも、ダメなの。」

 不甲斐ない。
 ちゃんと、理由を説明してあげなきゃいけないのに。
 勇気がないばかりに柊君を困らせてる。
 予知夢で見た、柊君の家族の様子を思い出す。
 とても悲しそうで、『戻ってきて』『目を覚まして』と、言っていた。
 この言葉から考えられることは1つ。

 __柊君が死んでしまったということ。

 今、こんなに私のことを心配してくれて、こんなに近くにいる柊君なのに1週間以内に死んでしまうかもしれないなんて……。
 なんとしてでも、防がなきゃ。

「………ごめん」

 気づけば、私は泣いていた。

「泣くなんてずるいね、私。でも、情に訴えようなんて、思ってないんだよ?」
 
 涙を拭い、笑って見せる。
 柊君は、困ったように苦笑した。

「わかってる。でも、俺、宵巳のお願い聞けない」

「ど、どうして?!」

 微かな希望の光が消えて、真っ暗になる。

「俺、サッカーやってて、ランニングは毎日欠かさずやってんだ。よほどの理由がないと、聞けない……」

「り、理由……か」

 私は、また涙がこみ上げてきてベッドのシーツを掴んだ。
 ……手が震える。
 予知夢のせいで、私はいつも『死』と隣合わせだ。
 誰かが死ぬ予知夢を何度見たことか。
 ……救いたかった。でも、救えなかった。
 そんな自分が本当に嫌で嫌で、たまらなかった。

 ___変わりたい。

 今度こそ、後悔しないように。
 
「……私、予知夢を見るんだ」

「え……?」

 唐突に話し始めた私に、柊君が目を見開く。

「予知夢って?宵巳が……ってこと?」

「うん。小さい頃から、夜だけじゃなく、朝にも見たりしてて。今日も、そうだよ。柊君には心配かけたけど、ただ、眠ってただけなの」

 顔を上げ、真っ直ぐ柊君を見つめる。
 お願い……伝わって!

「それでね、私…………ひ、柊君の予知夢を見ちゃった。」

 ここから先は、どう言えばいいのだろうか。
 まさか、1週間以内に死んでしまうとか言えないよ!
 でも、柊君が納得するには理由が必要だし。
 
「俺の、予知夢……。どんなの?」

 柊君は深刻な顔つきで、私の話しを受け止めようとしてくれているのがわかる。
 こんなに真剣な柊君に、嘘をつくことないのかも……?
 そうだった。忘れてたな……。
 信じてもらえなくても、後悔しないように頑張るって決めたんだから!

「柊君が、亡くなってしまう夢だよ」

「……は?嘘だろ?俺が?死ぬ?」

 柊君は、私からジリジリと後ずさって距離をとった。
 視線はキョロキョロと動いていて、声も震えている。
 
「本当なの!横断歩道で、車に引かれてしまって……」
 
「待ってくれよっ!!」

「ご、ごめんなさい……」

 怒鳴られて、反射的に謝る。
 柊君は、ベッドの脇にしゃがみこんで震えている。
 見ていられないっ!
 私は、ベッドから降りて、柊君の目の前にしゃがんだ。

「怖がらないで、柊君。私が、サポートする!それに……運命は変えられるんだよ?」

 柊君の両手を優しく握る。
 落ち着いて……安心してくれていいんだよ。
 柊君は、震える手で私の手を握った。
 心の中で、呼び掛けながら何度も柊君の両手を握り返す。

「運命を変えるために、協力して」

「はぁ……そういうことなら、いくらでも協力するよ」
 
 柊君は可哀想なくらいに、青い顔をしている。
 悪いことしちゃった……。
 でも、これで防げる。
 
 

 ___これから、私達は、運命に抗う。

 

 


 


 

    
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