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16、先代宰相様
しおりを挟む「トカゲ好きだー、結婚してくれー」
「以下略」
はたきを持って本棚のホコリを払っていると、コツコツという音がした。
ちょいちょいと袖を引かれる。
「離せ、お前に割く時間はねえ」
「そう言わんと」
「おー、先代宰相じゃねーか。久々だなー」
「な、んだ、と」
ばっと慌てて振り向く。
いない
いや違う、下か!
見ればそこには白く長いお髭の先代宰相。
種族はコロポックルながら狂気レベルの頭脳により宰相まで登りつめたお人である。
2代目魔王様は穏やかな人だったので、それを陰から支えてきた人なのだ。
魔界全土のな
人間界の牽制もな
ひいっ、殺られる殺られる殺られる
雑魚には考えつかない方法で殺られる
お隠れしてたのに何でいるんだっ
ガクガクブルブルと局所的地震が起こっていると、ちょいちょいとまた袖を引かれた。
「はい! 何でしょうか!」
「此処に現魔王の写真集は置いとるかの」
「置いてはないんですけど持ってます! 持ってきます!」
「先代宰相デートの邪魔すんなよー」
「ワニ黙れ」
気持ち的には最速で取りに行く。
駆けろ我が足、韋駄天の如く!!!
脇腹もげても構わねえ!!!
死にたくねぇ!!!
トカゲが必死こいて走る中、残された2人は呑気に語り合っていた。
「ホホホ、ほの字じゃのー、めんこいめんこい」
「俺のだかんなー」
「分かっとる分かっとる」
「先代宰相こそいい加減先代魔王諦めた方がよくねー?」
「諦めきれぬのが愛じゃよ」
「じゃあしゃーねーなー」
ちなみに先代魔王様は女型である。
先代宰相は愛のために頑張ったらしかった。
魔界全土の統一云々。
「俺も頑張るかー」
「ほっほ、愛の味方じゃしな、策を授けてやろう」
「おー、どんなだー?」
トカゲのピンチがやって来そうだった。
後書き
「はあっ、もっ、て、きました!」
「ほっほ、やはり先代魔王様に似とるのー、めんこい」
「会えばいーじゃねーか」
「出禁くらってのー」
「やってんなー」
トカゲは益々不安になった。
そんな先代宰相からワニは策を授かった。
トカゲにげ…るのはムリだろーし生きろよ←
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