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19、ちょろい
しおりを挟む「ん? お、ラッキー金じゃん」
ひょいっと拾う。
掃除屋のスライムや城の家事妖精達に見つかる前でよかった
アイツ等問答無用で魔族でもゴミでも何でも溶かすわ、仕事に誇り持ちすぎてお金ですらゴミとして消しちまうからな
一応きょろきょろして周囲を確認してからちょろまかしていると、キラッと目の端で何かが光った。
まさかと思い近づく
「マジか、誰かサイフに穴開けてんじゃね?」
もう1枚ゲットである。
調子に乗ってさらに辺りに目をこらす。
おっしゃ!発見!
角のところに発見した。
ふっはっは、日頃の行いの良さよ!!
届けてあげる気?
ふ、毛頭ない
弱肉強食、魔界は無情
というわけでこれでアイス買いに行くんじゃー!
ひゃっほーい
ワニによって主に逃げる用に鍛えられた足を使って駆け寄る。
ふはは! 一般庶民の中では瞬足の自信があるぜ!
どや顔で金へ手を伸ばした瞬間上からひょいっと襟を掴まれた。
角の先からだったので完全に不意を突かれた感じである。
それよりも、くっ、誰だ私のお金取りを邪魔するやつは!
というかこんな持ち方する奴は1人しかいねえ!
「ほら隊長、簡単に向こうから来るっしょー?」
「おー、確かに簡単だなー。トカゲー、むやみにお金に着いってっちゃダメだぞー」
「クッソ罠か!!」
案の定掴んでいたのはワニだった。
てか首締まってるんだが、ぐえ
上手く撒けたと思っていたのにこんな小賢しい手でくるとは…
お前の入れ知恵か、鳥!
「クッソこの金で焼き鳥屋に行ってやる!!」
「あ、トカゲさんも好きっすかー。オレは皮よりもズリとかが好きなんすよねー」
「俺はトカゲが1番だぞ」
「知るか!!」
この鳥めっちゃ強敵だった。
うっぜーわ、このタッグうっぜーわ
まあいい、この金だけは死守する。分給だと思ってやろう
ワニの腕を叩いて下ろしてもらい、地面に落ちた三枚目の金を拾っていると鳥に話しかけられた。
うっぜー、喋んじゃねー
「トカゲさんちょろまかす気マンマンっすね」
「ふっ、一秒ルールよ。地面に落ちた瞬間から我がものなのよ」
「ふむ、ならトカゲも俺のものってことかー?」
「どうしたワニ、話が分からないならムリに入ってくる必要ないんだぞ」
謎な話を展開するワニに最早こいつだめだなと慈愛の笑みを向けていると、鳥がおおーと感心の声をあげた。
太鼓持ちか?
「なるほどー、隊長ってスケールでかいっすよねー。確かに地面の上にいる時点で羽持ち組からしたら落ちてますもんねー」
「だろー?」
だから食っていいかー?とワニが近づく。
おい、鳥止めろよ! お前のせいだぞ!!
「おい待て! 生物には意思というものがあってだな、それがあるからモノみてえに拾えねーんだよ! そもそもワニ、お前飛べねーしな!」
「隊長直線距離でなら飛べるようになったすよー」
「マジか」
空にすら逃げ場が無くなったのか
「おー、まず武器出すだろー、投げるだろー、乗れば着く」
「それなんか違えよ!!」
はあ、はあと汗を拭う。
コイツ等一魔ずつでもクソ鬱陶しいのに、合わさると強敵過ぎる!
ただの小泥棒には荷が重え!
「トカゲー、飯行かねーのかー?」
「仕事サボって金拾ってたんだよ!」
ここは撤退だと背を向けて大地を蹴ると、チャリーンッという音がした。
足を止めて振り返る。
鳥がワニのサイフ袋からこれみよがしにもう1枚落とした。
しかも1魔円硬貨
……
「おいワニ、この金は」
「トカゲのもん」
「その金は」
「トカゲのもん」
「この後行く店は」
「焼き鳥屋」
よし、仕事サボるわ
つまり見事に捕獲された。
ちょろいとか言うなし
お金が好きなだけだし
唯一ミスったのは酒飲んで浮かれてたとこを上司に見つかったことであろう。
見事に魔術で死なない程度にじゅーじゅー焼かれた。
こんがりし過ぎてずっとワニのヨダレ雨に打たれた。
司書長こえーわ
いーじゃねーか、魔族の脳筋具合見ろよ。客なんてあんま来ねーのによー
脳筋筆頭が横で大口を開けた。
「トカゲ腕だけもらうなー」
「おい折角店来てんだから鳥肉の方食えよ!!」
口からチラリズムしてるのが指指指ハツ指とかどこの焼き鳥屋だよ
やっぱワニもこえーと思った。
が、鳥串食べながらこっち見て大爆笑してる鳥が1番やべーと思った。
殺意ポイントが1貯まった。
いつか交換してやろうと思う
後書き
あと二殺意ポイントでワニをけしかけてやろうと考えているトカゲ
だが色々知れば既に五・六回は引き換え可能なほど過去含めて鳥はやらかしている
知るのはいつの日か
ちなみに鳥の考え
鳥「え、鳥肉は共食い? 鳥族と魔物の鳥が一緒に見えるとか、オレより鳥目っすねウケるっすー。それだと魚属は主食の魚食べれないじゃないっすかー」
鳥「まぁ鳥族でもオレは食える派っすけどねー。食われる奴は弱かっただけっしょー、ごはんあざっす的な?」
鳥「二人? いやマジ面白いっすよねー、今後も遊ばしてもらうっすー」
魔界のクズ度は(人間界から見ると)バリ高い。が、これが魔界の常識である。勿論個人差あり
え、鳥? 中でもなかなかかのクズ
次回「めー子はみた」お楽しみに~
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