魔界食肉日和

トネリコ

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51、発情期六:痛み分け

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 どさりとワニが倒れる。
 白い花びらが舞う。
 赤い血が舞う。

 ワニの上に馬乗りになり、一発だけじゃ足りなくて勢いのままに頭突きした。
 夢とわかりゃあちょっとくらい暴れ回れるってもんである。

 まぁ白昼夢というには赤過ぎる夢の中とはいえ、痛みは無くとも身体がふらつくくらい脳震盪になるが

 そして再生しない拳に舌打ちを一つ。

 クソ、夢の中で干渉受けてんのか? 再生しねぇのは面倒だな
 目に入りかけた額から伝う血を拭った。

「トカゲー…? いや、んなわけねーか、でも大丈夫かー?」
「くっそ、ぴんぴんしやがってこのバカワニめ」
「今度のトカゲはよく出来てるなぁー」
「こっちの気も知らずに寝惚けたこと言いやがって」

 夢の中で何寝ぼけたことぬかしてやがんだ
 呑気に感心してるワニに腹立ちが募る。

「こんな似てると終わらせづれぇなー」
「何だ、喰う気かおら」
「ガッハッハよく出来てる」
「おわっ、揺れるから笑うんじゃねぇッつの!」

 ワニが大口開けて笑うもんだから、乗ってる腹の上がぐらぐらするのだ。
 いい加減にしろと腹にもう一発入れようとすると、気付かぬ程の速さでワニに腕を取られていた。
 腹立ちのまま睨みつける。

「何だ、離せよワニ」

 腕を揺すってもびくともしねぇと分かってるので諦めて睨んでいると、笑いを抑えたワニが「んー」と猫の様に目を細めた。

「トカゲに殴られたい願望があったのは驚きだが、こういう形でトカゲが傷つくのは趣味じゃねーなぁ」
「ッチ、お前の願望も趣味も知るか。つか絶賛嫌というほど見せられたわ」
「おー、なんだそういうことかー」
「何だばかワニ、何が分かったんだ?」

 何処に納得するところがあったんだか、妙に納得した風に身体の下でワニの身体が弛緩したので、仕方なしに聞いてやった。
 ワニの広い手の平に緩く掴まれた腕は解けない。

「いや、想定よりも存外早くガタ来てんだなぁとな~。そうか、トカゲは堕としに来た方か」
「何が言いてぇ」

 緩く掴まれていた腕が強く握られる。
 反射で顔を顰めた瞬間、ぎらつく程攻撃的な瞳をしたワニが起き上がった。
 形成が逆転しワニに押し倒される。

 花びらが舞う、舞う

 掴んだままの腕も、顔の横についた腕も、逃がさぬよう殺すためのくびきだ。
 ワニが自虐と攻撃性を溶け合わせて牙を剥いて笑った。

「言葉を返すぜトカゲ、もう言いてぇことは分かってるんだろ? そりゃこうも似てるトカゲに拒絶されたら堕ち掛けるかもしんねぇが、最期の場所はもう決めてんだよ。すぐ逝くんだ、わざわざ念押しに来ず大人しく待ってやがれ」

 敵とみなした眼差しが射る。 
 威嚇音と共に初めて向けられた敵意に、知らず「ほぉ…」とドスの効いた声が出た。

 ああ? 堕としに来た? わざわざそんな面倒臭ぇこと誰がするか

「何寝惚けたつまんねーこと抜かしてんだワニ? てめぇ如きがこのトカゲ様に嚙みついてんじゃねーぞ」
「んあ? っかしーな、いつもなら消えて」
「ふん、まだ気付かねーかこの駄ワニめ! ならいい、言いてえことだけ言ってやる」
「トカゲー?」

 ワニの目に動揺が過ぎる。
 ハッ、心して聞きやがれ。先に言っとくがあんまこのトカゲ様を舐めてくれんじゃねーぞ

「まずはだ、そりゃてめぇが童貞よろしくこの超絶可愛くて美少女のトカゲ様で夜な夜な自分を慰めてたことについてだ」
「…おー、口悪ぃとこまでそっくりだなー」
「黙れ邪魔すんじゃねぇワニ。まずむかつくのが何勝手にはなっから拒絶されるって思い込んで自傷よろしく自滅してんだよバカワニ。言っとくがな、こちとら出会い頭にいきなりぶっしゃられた時からてめぇの存在に引いてたわ!! 好感度マイナスだった野郎が今更夢ん中で死体量産してよーが溺れてよーが知るか! ドン引きはするが前々から知ってるわ!!」
「…んあー? つまり何がいいてぇんだトカゲー?」

 こてりと小首を傾げるワニに、こんの脳筋ワニめと歯ぎしりする。夢の中のでもぽけーっとしてるから現実だともっとのぼーっとしてんだよ! ちったぁ脳みそ使え! 脳みそを!

 治らぬ傷口が珍しいので、目に入ってきた血がうっとうしい
 地面に横たわったまま身じろぎするが全然効果がないし、何だか痒い気がしてくる不思議である。

 ええい、いい加減離せこの野郎

「ッ、だぁから、別に知っても今更だっつってんだよ!! 分かったらさっさとこの腕離せバカワニ! さっきから血が目に入って痒みと合併してこちとら非常事態なんだよ」

 やけに石の様に呆然としたまま動かなくなったワニから無理やり腕を引っこ抜く。
 額を腕で拭えば、なんか余計にべったりとした気がした。腕を見下ろして納得。

 うげ、腕の表皮が擦れて余計血が出る量増えたんだが。これ現実には影響無ぇよな? 起きたらベッド血塗れとか泣くぞ。風呂とか洗濯どーしてくれる
 その前に顔面血塗れだろうからどっかに水ねーかな、凄いことになってそうだぞ

 首を動かして辺りを見渡すも花畑だけなので、諦めて唾つけて治んねーかなぁとかぼんやり考えていると、ワニが尾を一つ打ち鳴らした。
 地面が揺れるのを背で感じる。

 やめろ、暴れんじゃねぇ

「地面で酔うからやめろ。何だよワニ、こちとらてめぇが理解出来るように待ってやってたのによ。いいか? まだまだ言いてぇことはあんだからな。まずあの腕さっさと回収に来い。お陰で鼻はバカになるわ周囲の反応やべーわ、その癖捨てづれーわで三重苦以上だぞ」
「いや、そんなことある筈が」
「あとだな、何で似てねーように作ってたのかしんねーが、真似るならもう少し美少女にしろよ。そっちにもダメージ受けたわ。あともう少し胸あるわ」

 動揺して飛びすさるワニ。
 どくの遅ぇんだよと悪態付きつつ、逃がすかと起き上がって詰め寄る。

「と、トカゲー?」
「まだあるぞ。発散してるっつー割には割と毎度ぶっしゃられてるし、そもそもこんな空間に居るから余計拗らせてんだよ。赦してやったんだからせめてあの趣味の悪ぃ死体は消しとけ。つかもっと癒し空間を作れ。まず水だ。顔洗いてぇ」

 失血が多くなってきたせいか足元がふらついていると、慌てたワニに壊れ物みてぇにそっと抱き留められる。ワニが魔術で出したのか、夢だから出せたのかはどーでもいいが、ワニの両手に溜まった水でごしごしと顔を洗った。

 ふぅ、これで少しマシだろ
 人心地ついて、第二ラウンドを始めようとしていると、ばしゃりと水音がした。
 ワニの両手から薄赤い水が滴り、足元に掛かる。

「嘘だ、トカゲが俺を受け入れる筈がねぇ!」
「あー? てめぇ如きがこのトカゲ様の器を測んじゃねーよ。他人の夢にいちゃもんつける野郎だと見縊ってんのか? ああ? こちとら海より広くて山よりでけぇ度量だぞ」

 さっきまで環境にいちゃもん付けまくりだったのを棚に上げて睨み上げれば、ワニは身体を震わせ、尾を打ち鳴らした。
 それでもトカゲのふらつく足元を心配してかその場から動かねぇのは褒めてやる。
 まるで怯えて嫌がる子どもの様にワニは首を振る。

「やめてくれ! もうたくさんだ!」
「何言ってんだワニ」
「なぁトカゲ、夢を見せてくれるなよ。理解してんのに、期待して裏切られて目覚めて絶望するのは辛ぇんだよ…」

 悄然と力無く項垂れるワニ。
 肩を抱く手が微かに震える。
 ざわざわと風が吹き、花びらが無残に散っていく。

「これが堕とし方なら我ながら上手ぇもんだ」

 力無く自分を皮肉るように顔を見下ろして笑うワニ。また、激しい感情が湧いた。
 握り締め力の入った腕からぽたぽたと血が伝い拳を濡らす。

 だから…、勝手に決めつけんじゃねーよ!!
 いい加減気付けこの駄ワニめ!!

「こんの…駄ワニめ!! どうだ! 本物の味なら分かんだろ!」

 口ん中に拭った血を殴り付けてやるも反応が薄い。 
 予想とちげぇな

「んあー? 夢ん中だと味ねぇぞー?」
「くっそ、気合で何とかしろや! つかこんなことやる時点で気付けや!」
「つっても喰わせてくれるのもあったしなぁ」
「こんの…変態拗らせプレイ野郎め…!!」

 ワニの前で地団駄踏む。おいてめぇ笑ってんじゃねぇ!

 クツクツ肩を笑わせるワニの脚を蹴っ飛ばしてやろうとして、足元を見てふと名案が思い付く。
 ワニさんよぉ、これで詰みだぜ?

「おいワニ」
「何だトカゲー?」
「てめ、何でこの白い花畑にしたんだ? 魔王城とか他にもあんだろ?」
「そりゃ、前に一度好きだって言ってたからなぁー。綺麗な所が好きだろー?」
「はっはっは! このトカゲ様にかかればちょろいもんよ! 語るに落ちたなワニ! この白い花は食べてよし、保存によし、味もよしで造血作用もある超絶便利な花だから好きなんだぜー! どうだ! 本物しか知らねぇ理由だろ!」

 どやぁ!と指を突き付けてやれば、ガッハッハとワニが大口開けて笑った。
 おわ、耳元で急にやんなうっせぇ

「でもなー」
「うっせ、もう分かってんだろ! 笑ってんだろ! 往生際悪くしてねぇで諦めろ」
「ガッハッハ……そうかー。…そうかー…」

 腕を組んで鼻息荒く往生際の悪いワニを見上げていると、長い間尾を引くように笑っていたワニが目を覆うように手で隠し、天を仰いだ。
 納得するような、諦めるような同意を無言でただ見る。

「トカゲにだけは知られたくなかったなー」
「はっ、お前が変態なのは最初から分かってんだから隠すもクソもねーわ。格好つけようとしてダセぇことしてんじゃねーよ」
「そうかー、そうだなー」
「そうだぞ。分かったんならさっさと帰ってこい。目が覚めたら呪いの解除手伝ってくれよ。お前の腕のせいでお前じゃねーとダメなんだ。責任取りやがれ」
「おー」
「そしたら、何が出来るか分かんねーけどお前が生きれるよう一緒に考えてやる。約束する。喰われるのはそりゃ嫌だが今も同じだしな、少しくらい頻度増えても殴り返して禁書投げるくらいで許してやるよ」
「…おー」
「赦しが欲しいなら聞け。大抵なら赦してやる。だから…、だから最期なんてダセぇこと言ってんじゃねぇ」
「…」

 無言で天を仰いだまま動かないワニを待つ。
 風が止み、無音の時間が静かに流れた。

 ぽたり、ぽた…と腕から落ちた雫が花を濡らしていく。
 失血のし過ぎか頭が朦朧とし出したので、もう待てねぇかと口を開いた。

「おい聞いてんのか」
「おー」
「さては聞いてなかったな。まぁ駄ワニだからしゃーねぇか。時間ねぇけどお前でも分かるように要点を纏めてだな―――」
「いや、大丈夫だトカゲー。これ以上破壊力あるやつ貰ったら喰っちまいそうで別の意味でやべぇ」
「はぁ? 何言ってんだ?」

 はぁーっと大きなため息吐いて急にワニが足元にしゃがんだので、その頭を見下ろす。

 ごにょごにょ喋んじゃねぇ。聞こえねーぞ

 くらくらする視界を瞬きで誤魔化し、額の血を拭いながらそれでも黙ってワニを待ってやった。
 聞こえてんなら反応しろばーか

 じっと見つめていると、もう一度深くため息を吐いたワニが顔を上げた。
 金眼と視線が絡み合う。
 強い覚悟を孕んだ射貫く視線を見返した。

「トカゲー、愛してるぜ。トカゲが俺の全てだ」

 …ああ、知ったさ。ワニが食用で好きなんだって思い込もうとしてたのに、嫌っつう程思い知らされたさ

「血のせいなんて言わねぇ、俺はトカゲが愛しいと思ったら喰っちまってる。トカゲがそれを厭ってるのも知ってる」
「…」
「でもトカゲの幸せが全てだ。トカゲが笑ってくれりゃぁそれでいい。だから喰い愛たくねぇなら出来るだけ耐える。トカゲの敵は全て壊すし、欲しいものは全部やる。俺の全てを賭けてトカゲを守ると誓う」
「……」
「トカゲが一番目の番だからじゃねぇ、弱ぇのに強ぇとこも。甘ぇとこも抜けてるとこも、情に厚いとこも笑った顔も全部トカゲだから余計溺れたんだ」

 ワニが白い花を一輪摘んで少し照れ臭そうに跪いたまま差し出した。
 大きな手の平に大事そうに包まれた花が小さく揺れる。

 それでもなお真剣な視線の前でトカゲは――――

「今はこれしかねーけどよ、トカゲ、俺と血婚してくれ。俺の残りの数千年の寿命と、トカゲの残り百年の寿命、分け混ぜ合って共に生きてくれ。俺の隣で笑って、死ぬその時まで一緒に生きてくれ」

 強い風が吹いた。
 巻き上げられた髪が白い花びらと共に舞った。

 息の仕方を忘れる。
 明滅する視界、混じる金眼、ふらつく足元
 ぴくりと腕が持ち上がり、過ぎる幼少期の赤い赤い記憶
 血溜まりで泣いていたのは父母どちらだったか 

 白い花びらに埋め尽くされる視界の中で考える。
 真っ白な頭で考える。

「ワニ、私は…」

 ゆっくりとだが躊躇いがちに動いた指先
 白い花びらに触れかけた瞬間、パッとワニが手を引いた。
 ゆるゆると目で追えば

「トカゲ、悪ぃ」

 痛みを堪えるような自嘲の苦笑
 握り締められ首を垂らす白い花
 意識が暗く塗り潰されていく

 血が足りない、時間が足りない

 ちがう! 足りなかったのは――――

 足りなかったのは、覚悟だ
 今、自分はどんな顔をしている?

「ワニッ、待ッ――」

 暗闇へと遠のくワニに手を伸ばした。
 それでも、必死に伸ばした指先は、小さな白い花びらに触れることさえ出来なかった。

 








後書き
 






 んんあああ、色々な意味で悶えながら投稿
 (2人のためにも早く続き書いてあげねばば

 ワニさんがああいう風に血婚を申し込んだのは実は二度目で、一回目が出会い頭の時にテンション上がり過ぎたワニさんが告ってますね~(目を血走らせてトカゲさんの腕食べた後にという)。勿論ドン引かれて秒で断られたが。というか最初はガン無視されてたが

 長く一緒に居るほど、また拒絶された時を恐怖して何も言えなくなってしまう

 互いが互いに臆病で望み合った現状維持 
 止まらぬ時間制限
 首を絞め合ったのはお互い様
 ワニさんが早めに一歩踏み込めてたらトカゲの覚悟は決まってた?
 いいや? 全ては必然で過去の積み重ねが今に活きる
 覚悟を生むための刻の土壌は撒かれている

 さて、現実でようやく2人は出会います。
 ワニさんは覚悟を決めた模様
 2人はどうなるのでしょうか


次話「発情期7」
 発情期はここで終いです~、お楽しみに☆


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