13 / 49
小学生編
幕間2 大神を持ち帰った。置き土産がいらない件 下
しおりを挟む
「親は親だろ」
それはあんな奴等を頼る気ないから一緒にするなという意味か、それとも家柄や金があるのは事実で、そこに親という符号が付くという意味か。
大神の焔色の目を見て、穿ち過ぎかと苦笑が零れた。なるほど、母のしっかりしているという発言もやはり的を射ていると言える。やはり我が母は最高だな! うっひょう!
「大神はしっかりしてるねぇ。えらいえらい」
「…はっ。同い年の癖に子供扱いすんじゃねぇ」
「はーい、いい子でちゅね~」
「ああ?」
そのヤクザみたいな睨み付け止めろよ~。そっちこそ肉体年齢同じの癖に何処の修羅場育ちだってくらいマジで怖いんだって。いいじゃないかちょっとくらい揶揄ってもさ~。珍しく純粋に褒めて遣わすという気持ちも入ってるのに。
まぁ、睨み付けててもサイズが合って着れた私のゴム製おじくまちゃんTシャツを着ているせいで威力は半減しているのだがな。おじくまちゃんのゲジ眉かわいいっ。若干私よりも痩せて見える辺りに嫉妬しかないが。
さて、本題に入るかと居住まいを正した。
「ごはん、大神も来たらいいけどさ、うちのお母さん達がオーケーしてもあんたどうせ遠慮するでしょ。でもあんた意地張ってコンビニ飯ばっかになりそうだし」
「俺の勝手だろ」
「家政婦さん雇えないの? って思ったけど、今でさえ家政婦二人いるみたいなもんか」
「はっ、そもそもあんな家に来たがる奴なんていねーだろ」
おーおーやさぐれちゃってまぁ。まぁ此処は今の内に決めとかないと面倒になりそうと社会人の勘が言ってるんだよなぁ。
アルファの二人に近付きたい人も少しくらい居るんじゃ?と思ったけど、まぁ運命の番を見付けた二人に近寄る隙間もないかと納得した。
「じゃあオメガさん達のごはん食べなよ」
「何で俺がそんなことしなくちゃいけねぇんだよ」
俺に指図すんじゃねぇと眉間に皺を寄せて歯を剥いて唸っている。先祖返りなのか、八重歯というより犬歯が見えて怖い。おい殺気を向けるのはやめてくれ、図鑑見ながら寝落ちた翔馬を起こしたら私が般若になるぞ
風の谷の今シカさんもこんな気持ちだったのかなぁとぼんやり思いながら、お花ちゃんをイメージしてふんにゃり苦笑してみた。穏やかに笑うのはやはり似合わないというか出来なさそうだ。
「心配だからに決まってんじゃん。子供の内だからこそ食生活はちゃんとしなきゃ」
「ッ」
「じゃあまずはコンビニ飯は二日に一回でいいよ。今日の借りってことで二日に一回は自炊するでも、うちに来るでも、オメガさん達のごはん食べるでもする。ついでにうちに来る時は何か大神のご両親からお金でも食べ物でも偶にせしめてきたらいいよ。そしたら遠慮なくなるでしょ」
「悪どい笑みめ」
「いえいえ御代官様程では」
翔馬を起こさぬよう閃いたと言いたげに無音で手を打ったあと、どう?と小首を傾げる。
うけけけ、我が家に一回くらいキャビア様を連れて来させてみせるぜ…! 前世、山田 莉子もついぞ食べれなかったからなぁ。
そんなどうでもいいことをつらつら考えながら大神を見れば、そっぽを向いてどっから音出してるのか分かんないぐるぐるという唸り声を出してから、諦めた様に溜め息を吐いた。
「……わーったよ」
「おっし決まり! 大神キャビアな! キャビア!」
「あれそんな美味くないぞ」
「この坊ちゃんめ! 庶民の夢を砕くんじゃない!」
ふふふ、社会人の秘儀、百万円の壺を見せた後一万円の壺を見せて買わせる作戦成功だぜ!! 二日に一回でもコンビニ飯卒業させたらめっけもんである。
ふわっはっは! 毎日と見せ掛けて半分でも辞めさせる…! そもそもこの提案ごと無視するという選択肢を無くさしてやったぜうっひょう! 利根田 理子様に掛かれば大神なぞ手の平の上でころころされる子犬の如き存在よ…! はいすんません調子乗りました。
キャビアが地味に不味いという情報にダメージを食らいつつ、内心ほくそ笑む。昨日の朝、大神の食生活をこっそり心配していた母と父に後で了解と一緒に褒めてもーらおっと考えていると、大神が立膝に顎を乗せ、膝を腕で抱えながらこちらを観察していた。
「何?」
「お前、俺が約束破るとか考えねーわけ? 能天気だな」
「突然のけなし。だから何故なんだ」
思わずこのやさぐれ血統書付き野良犬からゴンタロウを取り上げるべきか思案しつつ、もう少し話が長引きそうだと、近くのブランケットを翔馬に掛けてやる。
そんなもん、簡単な話である。
「大神プライド高いじゃん」
「ああ?」
「だから、あんたの意地を信用してんの。約束、守るでしょ」
格好付けたがりだしと、仕返しも込めてにんまり意地悪く言えば、ふんとまた鼻を鳴らした後「納得した」と逆に安心したように大神もまた意地悪く口角を上げるのだった。
「大神の両親は何の仕事してんの?」
「どっちも博士だよ。オメガの抑制剤、その特効薬研究の第一人者」
「え……、やばいじゃんめっちゃ凄い人達じゃん!?」
「別に、家じゃただの色ボケ共だよ。見苦しいよなぁ? オメガの抑制剤の研究してる癖に本人達が一番どっぷりと番のオメガに狂ってるんだから」
蔑んで吐き捨てる声色は侮蔑と憎しみ混じりだ。
マジかよ……、超ド級の金持ちどころか、世界規模での人財だぞ……。おいおいおい、そんな博士クラスの頭脳や血統が両親で一人息子のアルファとか…、大神が小四でませ過ぎた思春期ってのも納得だが……。
設定では、例えば主人公が抑制剤を開発したやら、主人公の親やら、全く見も知らぬ博士が作ったという設定もあり、誰かが作ったと決定しているものはなかった……と思う。という訳で、この世界で身近な人がその開発に携わったと聞いて、そんなまさかと運命のイタズラに心底驚いたのだ。
ちなみに抑制剤とは、オメガ達のヒート、つまり期間も設定に依るが、一か月から三ヶ月ごとに定期的に一週間だけ訪れる、番のいない異性のアルファやベータ達を無差別に誘惑してしまうフェロモンを垂れ流しちゃう発情期を、文字通り抑えてくれるという薬だな。
とはいえ私もまだ勉強あまりしていないので、副作用とかどれくらい抑えられるかは、設定ごとでも違うのでこの世界だとどうなのかが分からないのだけれど。
ああー、スマホ欲しい!! 何故中学生からでないと持ってはいけないのか! 平等と道徳の観念うんぬんぬんぬんうっるさーい!
はぁ、オメガ(多分)のお花ちゃんの為にも、やっぱ早めに勉強しとくかなぁ。また今度近場のドラッグストアにでも行ってみるか。
と、そこまで考えて疑問が湧く。
「ん? オメガのヒートって確か番が出来たら無くなるんじゃなかったっけ? 違うの?」
「ヒ…、って、お前、そんな簡単に言うなよ。しかもそれどこ情報だ? 続くって聞いたし、実際続いてるぞ」
何か、さっきまで闇堕ちモード全開だったのに、真っ赤な顔で怒られてしまった。
何でだ。解せん。というか私の知識が間違っているのか? いや、オメガバース愛の戦士の記憶能力は伊達じゃない筈。つまり、この世界ではヒートは番になっても続くってこと…?
腹の中がぐるぐるする違和感は今は仕方ないと飲み込む。
となると…、と、思わず眉間に皺が寄った。
「となると、今回は両親のヒートが運悪く被った……ってこと?」
「そーだよ。普段は片方だけだからマシだけど、フェロモンは感じ無くても汗とか呼気が気持ち悪ぃし煩ぇしで体調悪くなるし。あれでも最終日かそこらだからマシな方だぜ」
「うげ……、あれでか。それはお悔み申し上げます」
「死んでねぇ。けど死ぬかと思った」
思わず冗談とは言え溜め息混じりに疲れた様に弱気な発言する程度にはしんどかったのであろう。おいおい、両親も外でやれよ。子供の前でなんつー地獄だ。
「お金持ってるなら、ヒート来たって分かった瞬間高級ホテルでも貸し切ってくればいいのにね」
なんて傍迷惑なと義憤に駆られていると、大神は怪訝そうにこちらを見ていた。その視線に私の方が不思議に思う。
「世間的に無理だろうし、つかお前、本当に女か? センスと一緒に恥じらいも実は無えとか?」
「正直大神を思っての発言だと思うのに、味方から裏切られた気分だぜ。この突然のけなし! さっきから何でだよ!」
「そりゃ…」
至極真っ当な怒りを向ければ、大神は立膝から胡坐に直して、視線を泳がせた。ぽりぽりと頬を指で掻き、濁そうとしているがそうは問屋が卸さねえぜとっつあん! さあトンカツ食って白状しやがれと睨みをきかすと、やれやれと言いたげにむっつり口を引き延ばした。
「下ネタは元より、女って生理だのヒートだのってあんま言いたがらねーもんじゃねーのか?」
違うのか?という風に逆に質問として投げ掛けられて一瞬思考が停止する。
生理? 生理って月のもののやつの方? えー? ヒートって確かにオメガにとっては月のものみたいなもんだろうけど…。
え? 扱いってそんな感じになるの? 設定でよく使うっつーか、よくある単語だからむしろ萌え設定ご馳走様くらいにしか…
「そういうもんなの?」
「そうじゃねぇのか?」
「えー、むしろヒートって聞いたらテンション上がらない?」
そういうと、心底理解出来ないという顔で大神は呆れた風に眉を顰め
「変態め」
とだけ呟くのだった。
◇
衣擦れの音と共に、健やかな二つの寝息だけが暗闇に木霊する。夜目が効くせいで、暗闇に順応した目は、子供部屋らしい室内の様子を薄明るく映し出す。
ほんの数時間前までは、人生の中でも最も煩いくらいの時間であったかもしれない。
それは酷く煩わしく、疲れるし呆れもするし苛立ちもする時間ではあったけれど、決して不快ではなかったのだ。
自分の服から、身を包む布団から自分以外の匂いがすることへの違和感はある。けれど、不思議な程気持ち悪いとも臭いとも感じずそれが自分でも不思議であった。
まだ来て二日目なのに、微睡みを誘う妙に落ち着く匂いに悔し紛れに顔を顰めて。
「変な女」
とだけ呟けば、二段ベッドの上の方からくしゅんと小さくくしゃみが聞こえて、思わず笑ってしまったのだった。
後書き
トネコメ「これが、今の甘さの限界、、だ、、ごふっ」(やり切った感
置き土産=翌日風邪になりました
りこちゃん「我が無風邪記録があああ。大神めぇっ、恩を仇で返しおってからに!」
くしゃみは前兆です←おい
さすがにアルファが掛かる風邪にはりこちゃんも負けたようです。その後、もれなく弟くんも掛かりましたが、父母は無事だった模様。ヨカッタネ!! そして大神も流石に悪いと思った模様(笑)
ふっ。誰が何時サブタイトルを本文から付けると言った…?(タイトル回収を後書きでする件←ただのあほ
次話「6、小学五年生 野生のヒートに遭遇した。刺した」
ここも書くの楽しみにしてたところなんすよね~♪気長にお楽しみに~♪
それはあんな奴等を頼る気ないから一緒にするなという意味か、それとも家柄や金があるのは事実で、そこに親という符号が付くという意味か。
大神の焔色の目を見て、穿ち過ぎかと苦笑が零れた。なるほど、母のしっかりしているという発言もやはり的を射ていると言える。やはり我が母は最高だな! うっひょう!
「大神はしっかりしてるねぇ。えらいえらい」
「…はっ。同い年の癖に子供扱いすんじゃねぇ」
「はーい、いい子でちゅね~」
「ああ?」
そのヤクザみたいな睨み付け止めろよ~。そっちこそ肉体年齢同じの癖に何処の修羅場育ちだってくらいマジで怖いんだって。いいじゃないかちょっとくらい揶揄ってもさ~。珍しく純粋に褒めて遣わすという気持ちも入ってるのに。
まぁ、睨み付けててもサイズが合って着れた私のゴム製おじくまちゃんTシャツを着ているせいで威力は半減しているのだがな。おじくまちゃんのゲジ眉かわいいっ。若干私よりも痩せて見える辺りに嫉妬しかないが。
さて、本題に入るかと居住まいを正した。
「ごはん、大神も来たらいいけどさ、うちのお母さん達がオーケーしてもあんたどうせ遠慮するでしょ。でもあんた意地張ってコンビニ飯ばっかになりそうだし」
「俺の勝手だろ」
「家政婦さん雇えないの? って思ったけど、今でさえ家政婦二人いるみたいなもんか」
「はっ、そもそもあんな家に来たがる奴なんていねーだろ」
おーおーやさぐれちゃってまぁ。まぁ此処は今の内に決めとかないと面倒になりそうと社会人の勘が言ってるんだよなぁ。
アルファの二人に近付きたい人も少しくらい居るんじゃ?と思ったけど、まぁ運命の番を見付けた二人に近寄る隙間もないかと納得した。
「じゃあオメガさん達のごはん食べなよ」
「何で俺がそんなことしなくちゃいけねぇんだよ」
俺に指図すんじゃねぇと眉間に皺を寄せて歯を剥いて唸っている。先祖返りなのか、八重歯というより犬歯が見えて怖い。おい殺気を向けるのはやめてくれ、図鑑見ながら寝落ちた翔馬を起こしたら私が般若になるぞ
風の谷の今シカさんもこんな気持ちだったのかなぁとぼんやり思いながら、お花ちゃんをイメージしてふんにゃり苦笑してみた。穏やかに笑うのはやはり似合わないというか出来なさそうだ。
「心配だからに決まってんじゃん。子供の内だからこそ食生活はちゃんとしなきゃ」
「ッ」
「じゃあまずはコンビニ飯は二日に一回でいいよ。今日の借りってことで二日に一回は自炊するでも、うちに来るでも、オメガさん達のごはん食べるでもする。ついでにうちに来る時は何か大神のご両親からお金でも食べ物でも偶にせしめてきたらいいよ。そしたら遠慮なくなるでしょ」
「悪どい笑みめ」
「いえいえ御代官様程では」
翔馬を起こさぬよう閃いたと言いたげに無音で手を打ったあと、どう?と小首を傾げる。
うけけけ、我が家に一回くらいキャビア様を連れて来させてみせるぜ…! 前世、山田 莉子もついぞ食べれなかったからなぁ。
そんなどうでもいいことをつらつら考えながら大神を見れば、そっぽを向いてどっから音出してるのか分かんないぐるぐるという唸り声を出してから、諦めた様に溜め息を吐いた。
「……わーったよ」
「おっし決まり! 大神キャビアな! キャビア!」
「あれそんな美味くないぞ」
「この坊ちゃんめ! 庶民の夢を砕くんじゃない!」
ふふふ、社会人の秘儀、百万円の壺を見せた後一万円の壺を見せて買わせる作戦成功だぜ!! 二日に一回でもコンビニ飯卒業させたらめっけもんである。
ふわっはっは! 毎日と見せ掛けて半分でも辞めさせる…! そもそもこの提案ごと無視するという選択肢を無くさしてやったぜうっひょう! 利根田 理子様に掛かれば大神なぞ手の平の上でころころされる子犬の如き存在よ…! はいすんません調子乗りました。
キャビアが地味に不味いという情報にダメージを食らいつつ、内心ほくそ笑む。昨日の朝、大神の食生活をこっそり心配していた母と父に後で了解と一緒に褒めてもーらおっと考えていると、大神が立膝に顎を乗せ、膝を腕で抱えながらこちらを観察していた。
「何?」
「お前、俺が約束破るとか考えねーわけ? 能天気だな」
「突然のけなし。だから何故なんだ」
思わずこのやさぐれ血統書付き野良犬からゴンタロウを取り上げるべきか思案しつつ、もう少し話が長引きそうだと、近くのブランケットを翔馬に掛けてやる。
そんなもん、簡単な話である。
「大神プライド高いじゃん」
「ああ?」
「だから、あんたの意地を信用してんの。約束、守るでしょ」
格好付けたがりだしと、仕返しも込めてにんまり意地悪く言えば、ふんとまた鼻を鳴らした後「納得した」と逆に安心したように大神もまた意地悪く口角を上げるのだった。
「大神の両親は何の仕事してんの?」
「どっちも博士だよ。オメガの抑制剤、その特効薬研究の第一人者」
「え……、やばいじゃんめっちゃ凄い人達じゃん!?」
「別に、家じゃただの色ボケ共だよ。見苦しいよなぁ? オメガの抑制剤の研究してる癖に本人達が一番どっぷりと番のオメガに狂ってるんだから」
蔑んで吐き捨てる声色は侮蔑と憎しみ混じりだ。
マジかよ……、超ド級の金持ちどころか、世界規模での人財だぞ……。おいおいおい、そんな博士クラスの頭脳や血統が両親で一人息子のアルファとか…、大神が小四でませ過ぎた思春期ってのも納得だが……。
設定では、例えば主人公が抑制剤を開発したやら、主人公の親やら、全く見も知らぬ博士が作ったという設定もあり、誰かが作ったと決定しているものはなかった……と思う。という訳で、この世界で身近な人がその開発に携わったと聞いて、そんなまさかと運命のイタズラに心底驚いたのだ。
ちなみに抑制剤とは、オメガ達のヒート、つまり期間も設定に依るが、一か月から三ヶ月ごとに定期的に一週間だけ訪れる、番のいない異性のアルファやベータ達を無差別に誘惑してしまうフェロモンを垂れ流しちゃう発情期を、文字通り抑えてくれるという薬だな。
とはいえ私もまだ勉強あまりしていないので、副作用とかどれくらい抑えられるかは、設定ごとでも違うのでこの世界だとどうなのかが分からないのだけれど。
ああー、スマホ欲しい!! 何故中学生からでないと持ってはいけないのか! 平等と道徳の観念うんぬんぬんぬんうっるさーい!
はぁ、オメガ(多分)のお花ちゃんの為にも、やっぱ早めに勉強しとくかなぁ。また今度近場のドラッグストアにでも行ってみるか。
と、そこまで考えて疑問が湧く。
「ん? オメガのヒートって確か番が出来たら無くなるんじゃなかったっけ? 違うの?」
「ヒ…、って、お前、そんな簡単に言うなよ。しかもそれどこ情報だ? 続くって聞いたし、実際続いてるぞ」
何か、さっきまで闇堕ちモード全開だったのに、真っ赤な顔で怒られてしまった。
何でだ。解せん。というか私の知識が間違っているのか? いや、オメガバース愛の戦士の記憶能力は伊達じゃない筈。つまり、この世界ではヒートは番になっても続くってこと…?
腹の中がぐるぐるする違和感は今は仕方ないと飲み込む。
となると…、と、思わず眉間に皺が寄った。
「となると、今回は両親のヒートが運悪く被った……ってこと?」
「そーだよ。普段は片方だけだからマシだけど、フェロモンは感じ無くても汗とか呼気が気持ち悪ぃし煩ぇしで体調悪くなるし。あれでも最終日かそこらだからマシな方だぜ」
「うげ……、あれでか。それはお悔み申し上げます」
「死んでねぇ。けど死ぬかと思った」
思わず冗談とは言え溜め息混じりに疲れた様に弱気な発言する程度にはしんどかったのであろう。おいおい、両親も外でやれよ。子供の前でなんつー地獄だ。
「お金持ってるなら、ヒート来たって分かった瞬間高級ホテルでも貸し切ってくればいいのにね」
なんて傍迷惑なと義憤に駆られていると、大神は怪訝そうにこちらを見ていた。その視線に私の方が不思議に思う。
「世間的に無理だろうし、つかお前、本当に女か? センスと一緒に恥じらいも実は無えとか?」
「正直大神を思っての発言だと思うのに、味方から裏切られた気分だぜ。この突然のけなし! さっきから何でだよ!」
「そりゃ…」
至極真っ当な怒りを向ければ、大神は立膝から胡坐に直して、視線を泳がせた。ぽりぽりと頬を指で掻き、濁そうとしているがそうは問屋が卸さねえぜとっつあん! さあトンカツ食って白状しやがれと睨みをきかすと、やれやれと言いたげにむっつり口を引き延ばした。
「下ネタは元より、女って生理だのヒートだのってあんま言いたがらねーもんじゃねーのか?」
違うのか?という風に逆に質問として投げ掛けられて一瞬思考が停止する。
生理? 生理って月のもののやつの方? えー? ヒートって確かにオメガにとっては月のものみたいなもんだろうけど…。
え? 扱いってそんな感じになるの? 設定でよく使うっつーか、よくある単語だからむしろ萌え設定ご馳走様くらいにしか…
「そういうもんなの?」
「そうじゃねぇのか?」
「えー、むしろヒートって聞いたらテンション上がらない?」
そういうと、心底理解出来ないという顔で大神は呆れた風に眉を顰め
「変態め」
とだけ呟くのだった。
◇
衣擦れの音と共に、健やかな二つの寝息だけが暗闇に木霊する。夜目が効くせいで、暗闇に順応した目は、子供部屋らしい室内の様子を薄明るく映し出す。
ほんの数時間前までは、人生の中でも最も煩いくらいの時間であったかもしれない。
それは酷く煩わしく、疲れるし呆れもするし苛立ちもする時間ではあったけれど、決して不快ではなかったのだ。
自分の服から、身を包む布団から自分以外の匂いがすることへの違和感はある。けれど、不思議な程気持ち悪いとも臭いとも感じずそれが自分でも不思議であった。
まだ来て二日目なのに、微睡みを誘う妙に落ち着く匂いに悔し紛れに顔を顰めて。
「変な女」
とだけ呟けば、二段ベッドの上の方からくしゅんと小さくくしゃみが聞こえて、思わず笑ってしまったのだった。
後書き
トネコメ「これが、今の甘さの限界、、だ、、ごふっ」(やり切った感
置き土産=翌日風邪になりました
りこちゃん「我が無風邪記録があああ。大神めぇっ、恩を仇で返しおってからに!」
くしゃみは前兆です←おい
さすがにアルファが掛かる風邪にはりこちゃんも負けたようです。その後、もれなく弟くんも掛かりましたが、父母は無事だった模様。ヨカッタネ!! そして大神も流石に悪いと思った模様(笑)
ふっ。誰が何時サブタイトルを本文から付けると言った…?(タイトル回収を後書きでする件←ただのあほ
次話「6、小学五年生 野生のヒートに遭遇した。刺した」
ここも書くの楽しみにしてたところなんすよね~♪気長にお楽しみに~♪
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
嫌われ公女に転生したけど、愛されたい願望を捨てたら全員がデレてきた
桃瀬さら
恋愛
嫌われ公女ナディアは、婚約破棄され学園で孤立し、家族からも見放されていた。
どれほど努力しようが周囲からは「嫌われ公女」と蔑まれ、誰も味方なんていない。
「もういい。愛されたいなんて、くだらない」
そう心に誓った瞬間から、状況が一変した。
第二王子が婚約破棄を撤回し跪き、寡黙な騎士団長が「君を守りたい」と熱く迫ってくる。
そして、冷ややかな兄まで「婚約など認めない。家を出ることは許さない」と……。
愛されることを諦めた途端、なぜか執着される。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる