趣味だったオメガバースの世界に転生したようだが、何か違うので布教しようとしたら変態扱いされる件

トネリコ

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小学生編

幕間2 大神を持ち帰った。置き土産がいらない件 下

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「親は親だろ」

 それはあんな奴等を頼る気ないから一緒にするなという意味か、それとも家柄や金があるのは事実で、そこに親という符号が付くという意味か。

 大神の焔色の目を見て、穿ち過ぎかと苦笑が零れた。なるほど、母のしっかりしているという発言もやはり的を射ていると言える。やはり我が母は最高だな! うっひょう!

「大神はしっかりしてるねぇ。えらいえらい」
「…はっ。同い年の癖に子供扱いすんじゃねぇ」
「はーい、いい子でちゅね~」
「ああ?」

 そのヤクザみたいな睨み付け止めろよ~。そっちこそ肉体年齢同じの癖に何処の修羅場育ちだってくらいマジで怖いんだって。いいじゃないかちょっとくらい揶揄ってもさ~。珍しく純粋に褒めて遣わすという気持ちも入ってるのに。

 まぁ、睨み付けててもサイズが合って着れた私のゴム製おじくまちゃんTシャツを着ているせいで威力は半減しているのだがな。おじくまちゃんのゲジ眉かわいいっ。若干私よりも痩せて見える辺りに嫉妬しかないが。

 さて、本題に入るかと居住まいを正した。

「ごはん、大神も来たらいいけどさ、うちのお母さん達がオーケーしてもあんたどうせ遠慮するでしょ。でもあんた意地張ってコンビニ飯ばっかになりそうだし」
「俺の勝手だろ」
「家政婦さん雇えないの? って思ったけど、今でさえ家政婦二人いるみたいなもんか」
「はっ、そもそもあんな家に来たがる奴なんていねーだろ」

 おーおーやさぐれちゃってまぁ。まぁ此処は今の内に決めとかないと面倒になりそうと社会人の勘が言ってるんだよなぁ。

 アルファの二人に近付きたい人も少しくらい居るんじゃ?と思ったけど、まぁ運命の番を見付けた二人に近寄る隙間もないかと納得した。

「じゃあオメガさん達のごはん食べなよ」
「何で俺がそんなことしなくちゃいけねぇんだよ」

 俺に指図すんじゃねぇと眉間に皺を寄せて歯を剥いて唸っている。先祖返りなのか、八重歯というより犬歯が見えて怖い。おい殺気を向けるのはやめてくれ、図鑑見ながら寝落ちた翔馬を起こしたら私が般若になるぞ

 風の谷の今シカさんもこんな気持ちだったのかなぁとぼんやり思いながら、お花ちゃんをイメージしてふんにゃり苦笑してみた。穏やかに笑うのはやはり似合わないというか出来なさそうだ。

「心配だからに決まってんじゃん。子供の内だからこそ食生活はちゃんとしなきゃ」
「ッ」
「じゃあまずはコンビニ飯は二日に一回でいいよ。今日の借りってことで二日に一回は自炊するでも、うちに来るでも、オメガさん達のごはん食べるでもする。ついでにうちに来る時は何か大神のご両親からお金でも食べ物でも偶にせしめてきたらいいよ。そしたら遠慮なくなるでしょ」
「悪どい笑みめ」
「いえいえ御代官様程では」

 翔馬を起こさぬよう閃いたと言いたげに無音で手を打ったあと、どう?と小首を傾げる。

 うけけけ、我が家に一回くらいキャビア様を連れて来させてみせるぜ…! 前世、山田 莉子もついぞ食べれなかったからなぁ。

 そんなどうでもいいことをつらつら考えながら大神を見れば、そっぽを向いてどっから音出してるのか分かんないぐるぐるという唸り声を出してから、諦めた様に溜め息を吐いた。

「……わーったよ」
「おっし決まり! 大神キャビアな! キャビア!」
「あれそんな美味くないぞ」
「この坊ちゃんめ! 庶民の夢を砕くんじゃない!」

 ふふふ、社会人の秘儀、百万円の壺を見せた後一万円の壺を見せて買わせる作戦成功だぜ!! 二日に一回でもコンビニ飯卒業させたらめっけもんである。

 ふわっはっは! 毎日と見せ掛けて半分でも辞めさせる…! そもそもこの提案ごと無視するという選択肢を無くさしてやったぜうっひょう! 利根田 理子様に掛かれば大神なぞ手の平の上でころころされる子犬の如き存在よ…! はいすんません調子乗りました。

 キャビアが地味に不味いという情報にダメージを食らいつつ、内心ほくそ笑む。昨日の朝、大神の食生活をこっそり心配していた母と父に後で了解と一緒に褒めてもーらおっと考えていると、大神が立膝に顎を乗せ、膝を腕で抱えながらこちらを観察していた。

「何?」
「お前、俺が約束破るとか考えねーわけ? 能天気だな」
「突然のけなし。だから何故なんだ」

 思わずこのやさぐれ血統書付き野良犬からゴンタロウを取り上げるべきか思案しつつ、もう少し話が長引きそうだと、近くのブランケットを翔馬に掛けてやる。

 そんなもん、簡単な話である。

「大神プライド高いじゃん」
「ああ?」
「だから、あんたの意地を信用してんの。約束、守るでしょ」

 格好付けたがりだしと、仕返しも込めてにんまり意地悪く言えば、ふんとまた鼻を鳴らした後「納得した」と逆に安心したように大神もまた意地悪く口角を上げるのだった。

「大神の両親は何の仕事してんの?」
「どっちも博士だよ。オメガの抑制剤、その特効薬研究の第一人者」
「え……、やばいじゃんめっちゃ凄い人達じゃん!?」
「別に、家じゃただの色ボケ共だよ。見苦しいよなぁ? オメガの抑制剤の研究してる癖に本人達が一番どっぷりと番のオメガに狂ってるんだから」
 
 蔑んで吐き捨てる声色は侮蔑と憎しみ混じりだ。

 マジかよ……、超ド級の金持ちどころか、世界規模での人財だぞ……。おいおいおい、そんな博士クラスの頭脳や血統が両親で一人息子のアルファとか…、大神が小四でませ過ぎた思春期ってのも納得だが……。

 設定では、例えば主人公が抑制剤を開発したやら、主人公の親やら、全く見も知らぬ博士が作ったという設定もあり、誰かが作ったと決定しているものはなかった……と思う。という訳で、この世界で身近な人がその開発に携わったと聞いて、そんなまさかと運命のイタズラに心底驚いたのだ。

 ちなみに抑制剤とは、オメガ達のヒート、つまり期間も設定に依るが、一か月から三ヶ月ごとに定期的に一週間だけ訪れる、番のいない異性のアルファやベータ達を無差別に誘惑してしまうフェロモンを垂れ流しちゃう発情期を、文字通り抑えてくれるという薬だな。

 とはいえ私もまだ勉強あまりしていないので、副作用とかどれくらい抑えられるかは、設定ごとでも違うのでこの世界だとどうなのかが分からないのだけれど。

 ああー、スマホ欲しい!! 何故中学生からでないと持ってはいけないのか! 平等と道徳の観念うんぬんぬんぬんうっるさーい!

 はぁ、オメガ(多分)のお花ちゃんの為にも、やっぱ早めに勉強しとくかなぁ。また今度近場のドラッグストアにでも行ってみるか。

 と、そこまで考えて疑問が湧く。

「ん? オメガのヒートって確か番が出来たら無くなるんじゃなかったっけ? 違うの?」
「ヒ…、って、お前、そんな簡単に言うなよ。しかもそれどこ情報だ? 続くって聞いたし、実際続いてるぞ」

 何か、さっきまで闇堕ちモード全開だったのに、真っ赤な顔で怒られてしまった。

 何でだ。解せん。というか私の知識が間違っているのか? いや、オメガバース愛の戦士の記憶能力は伊達じゃない筈。つまり、この世界ではヒートは番になっても続くってこと…?

 腹の中がぐるぐるする違和感は今は仕方ないと飲み込む。 

 となると…、と、思わず眉間に皺が寄った。
 
「となると、今回は両親のヒートが運悪く被った……ってこと?」
「そーだよ。普段は片方だけだからマシだけど、フェロモンは感じ無くても汗とか呼気が気持ち悪ぃし煩ぇしで体調悪くなるし。あれでも最終日かそこらだからマシな方だぜ」
「うげ……、あれでか。それはお悔み申し上げます」
「死んでねぇ。けど死ぬかと思った」

 思わず冗談とは言え溜め息混じりに疲れた様に弱気な発言する程度にはしんどかったのであろう。おいおい、両親も外でやれよ。子供の前でなんつー地獄だ。

「お金持ってるなら、ヒート来たって分かった瞬間高級ホテルでも貸し切ってくればいいのにね」

 なんて傍迷惑なと義憤に駆られていると、大神は怪訝そうにこちらを見ていた。その視線に私の方が不思議に思う。

「世間的に無理だろうし、つかお前、本当に女か? センスと一緒に恥じらいも実は無えとか?」
「正直大神を思っての発言だと思うのに、味方から裏切られた気分だぜ。この突然のけなし! さっきから何でだよ!」
「そりゃ…」

 至極真っ当な怒りを向ければ、大神は立膝から胡坐に直して、視線を泳がせた。ぽりぽりと頬を指で掻き、濁そうとしているがそうは問屋が卸さねえぜとっつあん! さあトンカツ食って白状しやがれと睨みをきかすと、やれやれと言いたげにむっつり口を引き延ばした。

「下ネタは元より、女って生理だのヒートだのってあんま言いたがらねーもんじゃねーのか?」

 違うのか?という風に逆に質問として投げ掛けられて一瞬思考が停止する。

 生理? 生理って月のもののやつの方? えー? ヒートって確かにオメガにとっては月のものみたいなもんだろうけど…。

 え? 扱いってそんな感じになるの? 設定でよく使うっつーか、よくある単語だからむしろ萌え設定ご馳走様くらいにしか…

「そういうもんなの?」
「そうじゃねぇのか?」
「えー、むしろヒートって聞いたらテンション上がらない?」

 そういうと、心底理解出来ないという顔で大神は呆れた風に眉を顰め

「変態め」
 
 とだけ呟くのだった。







 衣擦れの音と共に、健やかな二つの寝息だけが暗闇に木霊する。夜目が効くせいで、暗闇に順応した目は、子供部屋らしい室内の様子を薄明るく映し出す。

 ほんの数時間前までは、人生の中でも最も煩いくらいの時間であったかもしれない。
 
 それは酷く煩わしく、疲れるし呆れもするし苛立ちもする時間ではあったけれど、決して不快ではなかったのだ。

 自分の服から、身を包む布団から自分以外の匂いがすることへの違和感はある。けれど、不思議な程気持ち悪いとも臭いとも感じずそれが自分でも不思議であった。
 まだ来て二日目なのに、微睡みを誘う妙に落ち着く匂いに悔し紛れに顔を顰めて。

「変な女」
 
 とだけ呟けば、二段ベッドの上の方からくしゅんと小さくくしゃみが聞こえて、思わず笑ってしまったのだった。










 

 
 
後書き
トネコメ「これが、今の甘さの限界、、だ、、ごふっ」(やり切った感

置き土産=翌日風邪になりました
りこちゃん「我が無風邪記録があああ。大神めぇっ、恩を仇で返しおってからに!」

 くしゃみは前兆です←おい
 さすがにアルファが掛かる風邪にはりこちゃんも負けたようです。その後、もれなく弟くんも掛かりましたが、父母は無事だった模様。ヨカッタネ!! そして大神も流石に悪いと思った模様(笑)
 ふっ。誰が何時サブタイトルを本文から付けると言った…?(タイトル回収を後書きでする件←ただのあほ


次話「6、小学五年生 野生のヒートに遭遇した。刺した」

 ここも書くの楽しみにしてたところなんすよね~♪気長にお楽しみに~♪
 


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