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ハイリスクな帝王切開
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愛莉ちゃんが金曜日の夜に車で迎えにきてくれる。
リスクがある妊娠だからエコーで異常がないかを注意深く確認していかないといけない。
「双胎妊娠だから仕方がないのもあるけど、低置胎盤してる。前置胎盤じゃないけど、大量出血と胎盤剥離して激しい痛みが出るかもしれないから絶対安静で入院した方がいいかも。ここに入院する?」
御忍び堕胎と出産のための離れの診療所だから、普段はあかずの病棟になってる。
入院患者を受け入れる時は、主任クラスの看護師が秘密保持で専属として滞在し、昼前と夜に医師が回診する。
「お願いしてもいい?」
車で1時間半かかる所で1人生活し続ける事に対し、不安を感じてた。
下の子の胎盤が内子宮口から1.4cmのところにあり、それにより安静にしてるけど出血してしまってた。
それで、常に貧血で鉄剤を内服し、週末に点滴をしてた。
出産時に大量出血する危険性があるから、状態がいい時に自分の血液をストックしておく“自己血貯血”を2~3回行わないといけない。
でも、常に貧血を起こしているから無理だった。
「じゃ、父さんにお願いしてくる。待ってて!!」
愛莉ちゃんは、両親に私が双子を妊娠している事は伝えてる。
着床日に1ヶ月ずれがある双子で、低置胎盤を起こしてるハイリスクな妊娠をしてる事は隠してる。
「父さんと母さんに、澪が政略結婚が嫌で家出中だって事は伝えてる。オリエンパスに澪の情報を伝えないよう口止めはしてる」
嘘だけど、愛莉ちゃんは私が他の男と恋仲になり妊娠して姿を眩ませてると両親に説明した。
裏稼業で御忍び堕胎と出産をしてるのもあり、私の置かれてる立場を理解してくれて庇護してくれた。
私の父と愛莉ちゃんの父は久しい間柄らしく、一族の娘の結婚事情を知ってた。
院内にある分娩監視装置、超音波診断装置などの機器はほぼ全てオリエンパスの製品を使ってるのもあり、私の父と仕事で会ってる。
もしかしたら、私の両親には私の妊娠が伝わってるかもしれない。
入院して2週間が経った。
出血はあるものの、双子は順調に育ってる。
点滴のおかげで貧血は解消し、体の調子も良くなった。
「2人とも男の子だ。陣地争いみたいにスペースの取り合いしてるし、産まれたら喧嘩ばかりするかもね」
愛莉ちゃんが毎日、夜に来てくれて、経腹超音波エコーで双子の様子を見せてくれる。
4Dカラー超音波診断装置だから、お腹の中にいる双子を立体的かつ動画でみる事ができる。
2人とも父親にそっくり過ぎる顔立ちをしてた。
「……他の男の子供と言い張るのは無理だね。子供の事を考えると、どちらかとの結婚はないわ」
1度に違った男性の子を同時に宿すことを“同期複妊娠”というえ、調べたところ、日本では1度も今まで起きてない。
「スキャンダルとしてマスコミに晒されるかもしれないね。結婚してるわけじゃないけど、2人と体関係があったとかふしだらなイメージ持たれそう」
双子の誕生は楽しみだけど、その後に色々騒がれそうで、怖くなった。
「澪、小柄で華奢だから、双子妊娠に向かない体なんだよね。……他の臓器が子宮で押し上げられて変形してる。母体の命が危ういから32週で帝王切開した方がいいかも。うち、新生児用保育器あって新生児小児科医も東京大学病院から週3できて貰ってる。でも、早産児の集中治療は専門外でやってない。澪、母子手帳取得して、東京大学病院に移ろう。教授には私からお願いするから」
早産児として産まれてきた双子が無事育つにはNICUの設備が整っていて専門医がいる病院に移らないといけない。
私自身も帝王切開による出産で大出血ショックを起こし、命を落とす危険性があると愛莉ちゃんのお父さんからも言われた。
文京区役所に母子手帳を貰いに行った。
その足で東京大学病院へ行く。
愛莉ちゃんが教授にお願いしてくれたからその日の内に診察をして貰う事ができ、そしてそのまま入院する事になった。
難易度Aランクの成功率15%の症例で、命がけのお産になると教授に言われた。
全前置胎盤になっていて、それにより癒着胎盤を起こす可能性が高い。
胎盤が子宮筋層に強固に付着してお産が終わった後に剥がれない状態の事を癒着胎盤といい、出血多量になり血液凝固異常を引き起こし、出血ショックを起こし、妊産婦が産後に亡くなってる。
癒着胎盤が起きる事は想定していたけど、胎盤が2つあり胎児が成長する部屋も2つある2絨毛膜2羊膜双胎で、横に並んだ形で胎盤がある私は、内子宮口の癒着が両方で起きてる可能性があり、それにより2倍の速度で大出血する危険性があると教授から説明を受けた。
リスク回避で癒着が進む前に早目に帝王切開で双子を取り出す事になり、術式に関しても教授率いるベテラン医師チームで話し合われた。
胎盤剝離面の出血部位を直接縫合止血する、もしくは子宮圧迫縫合を行うか、癒着している場所の子宮を部分切除して子宮筋腫核出術のように子宮を縫合する。
子宮腔内バルーン、カテーテルによる動脈バルーン閉塞術、あるいは動脈塞栓術などの各種止血法を試す事も検討された。
『術式に対して知識はあるが、オペの執刀に関しては自信がない』
だけど、ハイリスク過ぎて教授は執刀に関しては引き受けて下さらず、ベテランの医師達も怖気づいて誰も執刀医に名乗りでない。
新生児医療の発達により、28週以降の出生なら無事子供は育つ。
1ヶ月後の32週に予定帝王切開する事に決まったけれど、執刀医がなかなか決まらなかった。
「執刀医補助でオペに立ち合うから、一緒に頑張ろう!!」
愛莉ちゃんが仕事の合間に時間をみつけて、個室の病院に顔を出してくれる。
そして、仕事の後、21時まで一緒にいてくれた。
リスクがある妊娠だからエコーで異常がないかを注意深く確認していかないといけない。
「双胎妊娠だから仕方がないのもあるけど、低置胎盤してる。前置胎盤じゃないけど、大量出血と胎盤剥離して激しい痛みが出るかもしれないから絶対安静で入院した方がいいかも。ここに入院する?」
御忍び堕胎と出産のための離れの診療所だから、普段はあかずの病棟になってる。
入院患者を受け入れる時は、主任クラスの看護師が秘密保持で専属として滞在し、昼前と夜に医師が回診する。
「お願いしてもいい?」
車で1時間半かかる所で1人生活し続ける事に対し、不安を感じてた。
下の子の胎盤が内子宮口から1.4cmのところにあり、それにより安静にしてるけど出血してしまってた。
それで、常に貧血で鉄剤を内服し、週末に点滴をしてた。
出産時に大量出血する危険性があるから、状態がいい時に自分の血液をストックしておく“自己血貯血”を2~3回行わないといけない。
でも、常に貧血を起こしているから無理だった。
「じゃ、父さんにお願いしてくる。待ってて!!」
愛莉ちゃんは、両親に私が双子を妊娠している事は伝えてる。
着床日に1ヶ月ずれがある双子で、低置胎盤を起こしてるハイリスクな妊娠をしてる事は隠してる。
「父さんと母さんに、澪が政略結婚が嫌で家出中だって事は伝えてる。オリエンパスに澪の情報を伝えないよう口止めはしてる」
嘘だけど、愛莉ちゃんは私が他の男と恋仲になり妊娠して姿を眩ませてると両親に説明した。
裏稼業で御忍び堕胎と出産をしてるのもあり、私の置かれてる立場を理解してくれて庇護してくれた。
私の父と愛莉ちゃんの父は久しい間柄らしく、一族の娘の結婚事情を知ってた。
院内にある分娩監視装置、超音波診断装置などの機器はほぼ全てオリエンパスの製品を使ってるのもあり、私の父と仕事で会ってる。
もしかしたら、私の両親には私の妊娠が伝わってるかもしれない。
入院して2週間が経った。
出血はあるものの、双子は順調に育ってる。
点滴のおかげで貧血は解消し、体の調子も良くなった。
「2人とも男の子だ。陣地争いみたいにスペースの取り合いしてるし、産まれたら喧嘩ばかりするかもね」
愛莉ちゃんが毎日、夜に来てくれて、経腹超音波エコーで双子の様子を見せてくれる。
4Dカラー超音波診断装置だから、お腹の中にいる双子を立体的かつ動画でみる事ができる。
2人とも父親にそっくり過ぎる顔立ちをしてた。
「……他の男の子供と言い張るのは無理だね。子供の事を考えると、どちらかとの結婚はないわ」
1度に違った男性の子を同時に宿すことを“同期複妊娠”というえ、調べたところ、日本では1度も今まで起きてない。
「スキャンダルとしてマスコミに晒されるかもしれないね。結婚してるわけじゃないけど、2人と体関係があったとかふしだらなイメージ持たれそう」
双子の誕生は楽しみだけど、その後に色々騒がれそうで、怖くなった。
「澪、小柄で華奢だから、双子妊娠に向かない体なんだよね。……他の臓器が子宮で押し上げられて変形してる。母体の命が危ういから32週で帝王切開した方がいいかも。うち、新生児用保育器あって新生児小児科医も東京大学病院から週3できて貰ってる。でも、早産児の集中治療は専門外でやってない。澪、母子手帳取得して、東京大学病院に移ろう。教授には私からお願いするから」
早産児として産まれてきた双子が無事育つにはNICUの設備が整っていて専門医がいる病院に移らないといけない。
私自身も帝王切開による出産で大出血ショックを起こし、命を落とす危険性があると愛莉ちゃんのお父さんからも言われた。
文京区役所に母子手帳を貰いに行った。
その足で東京大学病院へ行く。
愛莉ちゃんが教授にお願いしてくれたからその日の内に診察をして貰う事ができ、そしてそのまま入院する事になった。
難易度Aランクの成功率15%の症例で、命がけのお産になると教授に言われた。
全前置胎盤になっていて、それにより癒着胎盤を起こす可能性が高い。
胎盤が子宮筋層に強固に付着してお産が終わった後に剥がれない状態の事を癒着胎盤といい、出血多量になり血液凝固異常を引き起こし、出血ショックを起こし、妊産婦が産後に亡くなってる。
癒着胎盤が起きる事は想定していたけど、胎盤が2つあり胎児が成長する部屋も2つある2絨毛膜2羊膜双胎で、横に並んだ形で胎盤がある私は、内子宮口の癒着が両方で起きてる可能性があり、それにより2倍の速度で大出血する危険性があると教授から説明を受けた。
リスク回避で癒着が進む前に早目に帝王切開で双子を取り出す事になり、術式に関しても教授率いるベテラン医師チームで話し合われた。
胎盤剝離面の出血部位を直接縫合止血する、もしくは子宮圧迫縫合を行うか、癒着している場所の子宮を部分切除して子宮筋腫核出術のように子宮を縫合する。
子宮腔内バルーン、カテーテルによる動脈バルーン閉塞術、あるいは動脈塞栓術などの各種止血法を試す事も検討された。
『術式に対して知識はあるが、オペの執刀に関しては自信がない』
だけど、ハイリスク過ぎて教授は執刀に関しては引き受けて下さらず、ベテランの医師達も怖気づいて誰も執刀医に名乗りでない。
新生児医療の発達により、28週以降の出生なら無事子供は育つ。
1ヶ月後の32週に予定帝王切開する事に決まったけれど、執刀医がなかなか決まらなかった。
「執刀医補助でオペに立ち合うから、一緒に頑張ろう!!」
愛莉ちゃんが仕事の合間に時間をみつけて、個室の病院に顔を出してくれる。
そして、仕事の後、21時まで一緒にいてくれた。
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