Substitute lover

鳴宮鶉子

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大好きになってたアイツ

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銃を所持してる吉原セレナの消息が分かってないのに、病院勤務に復帰しようと私が言ったから、将生は殺された。

吉原セレナは、将生と私を両方殺すつもりだった。
だけと、将生が私を庇い、すぐに病室から私を連れ出したから、私は無傷で助かった。

吉川セレナは櫻井晴政に顔を整形され、そして病的に華奢だった体が肉付きが良くなっていて、別人のような姿になってた。

だから、警察が指名手配をかけて探しても見つかるはずはない。

たぶん、ずっと、私と将生の側で殺害するタイミングを見定めてた。

常に護衛をつけてるから、殺害するタイミングは院内しかないと思ったセレナは、櫻井病院からカルテを盗み、紹介状を添えて、オペの予約を入れた。

櫻井病院から転院してくる患者さんが多く、警戒をしていなかったため、悲劇が起きてしまった。

散弾銃を乱発され、動脈を貫通し、多臓器に銃弾が撃たれた。

すぐにオペ室で緊急オペを行った。
止血をし輸血をしながら人工心肺装置を取り付け、手速く弾を取り出し臓器を縫合していく。

大学時代にゼミでお世話になった神崎教授が駆けつけてくれて、オペは完璧に行われた。

だけど、全ての処置を終え、止めてた心臓を動かそうとしたら動かなかった。

「……将生、行かないで。死んだら、やだ!!」

動かない心臓は、将生がもう亡くなってる事を意味してた。
銃殺の死因の原因は失血死と臓器が撃たれて引き起こる臓器不全。
18発も弾を受けた将生は大量出血し、臓器の損傷も酷かった。
弾を取り出し縫合しても、機能が元通りになるのはどう考えても不可能だった。

「心愛くん、……残念だが、将生くんは戻ってこない」

神崎教授に言われ、涙を流しながら、将生の開いたお腹を縫合し、オペを終了する。

家族の説明は自分自身だからしないでいい。
死亡届を記入し、将生にエンゼルケアを施す。

相馬の両親と翔琉が将也と翔太を連れて、特別個室にきた。
将生が亡くなった事を受け入れなくないけど、通夜と葬式と告別式で喪主を務めないといけない。

3歳の時に両親が亡くなった時を思い出す。私は両親に何もしてあげられなかった。

相馬の両親が、将生は家族だから相馬の家で最期を見送りたいと言ってくれた。

一緒に将生の死を悲しんでくれた。

将生の家族は日本医師会長を務めてる祖父と祖母以外は、将生に対して義理的に式に参列してた。

医者の家系だから、櫻井一族と同じで、能力に対しての妬み僻みがあったのかもしれない。

異母兄妹の関係でできた孫を穢らわしいと思ったのか、両親は抱っこしてくれなかった。
そして、火葬が終わると御両親と弟は仕事を理由に大阪に帰っていった。

将生は家族に飢えてた。
私と夫婦になり、2人の息子を授かり、これから幸せな家庭を築いていくはずだったのに、将生だけ死なせてしまった。

吉原セレナは将生に乱発した後すぐに、自身の頭を銃で撃ち、自害した。

私の両親が亡くなった時と同じ。
私は大切な家族をまた殺されてしまった。

将生が亡くなって、忌引きが明けてから、私は将生の分も人の命を救うために働いた。
将也と翔太がいるから医療手術ロボット執刀外科医として予定オペを熟す。
帰宅後、2人のお世話をし寝かしつけたら新型医療手術ロボット竜馬のシステム開発の仕事をする。

将生がいない哀しみを仕事に打ち込む事で考えないようにした。
そうでもしないと耐えられなかった。

時間が解決してくれると思ってたけれど、哀しみは癒えなかった。

大学の入学式で出会ってから、何かと私に絡んできた将生。
はめられて無理やり結婚させられたけど、将生は私だけを愛してくれて大切にしてくれた。

素の自分をさらけ出す事ができ、気を使う事なく、一緒にいて楽しかった。

将生の事、結婚するまでは嫌いで苦手な人だと思ってた。

それが、いつのまにか将生は、私にとって、大好きで大切な人になってた。

だから、将生がいない生活が辛くて耐えられなかった。



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