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幼馴染とプライペートお試し交際

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律兄のおうちに初めて1泊2日でお泊りする日。

8時半に律兄が白いインプレッザで迎えに来てくれた。
そして、『車を走らせたいから』と、律兄は高速に乗ってに向かって車を走らせた。

「どこに行くの?」

「秘密」

どこに向かってるか教えてくれない。

高速に乗って2時間ぐらいで辿り着いたのは、名古屋からほど近い場所にある三重県の【鈴鹿サーキット】だった。

F1レースの開催地で知られる鈴鹿サーキットは、温泉やホテル、遊園地などが併設されていて、鈴鹿サーキットの遊園地【モートピア】は運転に関するアトラクションが多く、パトカーやパワーショベルに見立てた乗り物を運転できたり、乗り物の組み立てを体験できたりした。

「理愛が喜びそうな所を選んだつもりだったんだけど……」

鈴鹿サーキットでちょうどF1レースをしていたから観戦し、ランチを食べてから午後からはモートピアで小さい子と混じって遊んだ。

「楽しかったよ」

帰りの車の中で、律兄にわたしは言う。

「もっと大人な初デートをしたかったのに、最後は小さい子供とゴーカートで競争して遊んでたのがな……」

小さい頃によく律兄とミニ四駆を走らせて遊んでた事を思い出して、わたしは楽しかった?
わたし達らしい初デートのスポットな気がした。
でも、律兄はもっと大人っぽいデートをしたかったらしい。
わたし以上に楽しそうにゴーカートに乗ってたけど……。

「夕食はどうする?うちでゆっくり鍋でもつつきながらテレビでも見よう」

11月半ばになると少し肌寒く、わたしもゆっくり温かい鍋が食べたいなと思い、スーパーでもつ鍋の材料を購入して律兄の家に向かった。

「広い‼︎もしかして賃貸じゃなくて分譲?」

「入社8年目だからな。ずっとトミタに勤めるつもりだから5年目の時に購入した」

律兄の住んでるマンションはファミリー向けの5LDKのマンションでリビングが広がった。
そして、駅から徒歩10分で帰宅途中に大手ショッピングモールとスーパーもあり、かなり便利がいい。
拓哉と別れた時にわたしも一生独身でいようと思ってマンション購入を考えた。
でも、収入的に住宅ローンを組むと生活が苦しくなるのと、仲の良い人がいない名古屋に住み続けられる気がしなくて地元京都に帰りたいと時より思ってしまうわたしには踏ん切りがつかなかった。

律兄の家に入り、早速鍋の準備をする。
真新しい土鍋とIHコンロを律兄が出してきて、土鍋にキャベツともやしにニラ、木綿豆腐にソーセージに下茹でしたモツを入れて、リビングのテレビの前の机に置き、グツグツ煮る。
ご飯も炊いてるけど、中華麺を茹でて皿に入れて後入れの準備をした。

夕食の準備が整い、律兄が冷蔵庫からビールとわたし用に購入した桃味の酎ハイを出してきて、2人並んで座り、テレビを見ながらご飯を食べる事にした。

準備にモタモタしたから時計の針を見たら20時過ぎで、今日は食事を終えたらお風呂を済ませてからすぐに就寝になる気がした……。

「懐かしい、この映画、律兄と見に行ったの覚えてる!!」

20時から特番で東映アニメを見ながらもつ鍋をつつく。

「……懐かしいな。この映画、受験生の俺を2度も付き合わせて見に行ったのだよな」

「そうそう、律兄が勉強疲れで2度とも劇場内で寝てたのだよ」

大学受験前の大事な夏休みに、わたしは律兄におねだりして映画に連れて行って貰った。

時と場所を超えて男女が入れ替わり、女の子の住む地に隕石が落ちて消滅するのを、未来に存在する男の子が女の子に伝え、女の子が住む街の住民の命を救ったストーリー。

東京アニメとジブリが好きなわたし、毎年夏休みに律兄にお願いして映画館に連れて行って貰ってた。

大好きだった映画に、ついついテレビにくいついて食事が進まないわたし……。
番組が終わる時間帯に〆の雑炊を律兄が作ってくれて食べたから、夕食に2時間以上時間をかけてしまった。

番組が終わり、鍋や食器を洗い片付ける。

「浴槽に湯を溜めたから、先に入っておいで」

律兄に先にお風呂に入るように言われ、先にお湯を頂いた。

お試し恋愛、もういい歳した大人だから、律兄さんと男女の一線を越えるのか……。
お泊まりをするという事は、そういう行為をするのかと、今まで律兄とそうシチュレーションになった事がないから戸惑う。

……嫌ではないけど、今まで築いた関係が壊れそうで怖かった。

わたしがお風呂を上がって入れ替わりに律兄がお風呂に入り、出てきて、

「11時過ぎてるし、そろそろ寝ようか」

と言われ、わたしは慌てふためいた。
心の準備ができてなくて、完全にパソコンでいうフリーズ状態に陥ってしまった。


律兄に手を引かれて、寝室に入る。キングサイズのベッドに、真新しい枕が2つ……。

「……理愛、一緒に寝るだけだからそんなに緊張しないで。中2時まで一緒に添い寝してたんだから今更だろ?幼馴染、いや兄弟みたいに育った期間が長いから、すぐに大人の深い関係に持っていったりはしない。ゆっくり関係を築いていこう」

律兄が緊張しているわたしをいきなりお姫様抱っこし、優しくベッドの左側に寝かされた。

「明日は名古屋科学館と名古屋水族館に行こう。理愛、おやすみ」

そう言って、陸兄は照明を暗くし、わたしに背を向け眠りについた。 

律兄と同じベッドで寝る事に対して緊張していたわたしも、今日一日遊び疲れてすぐに夢の中に入っていた。

朝目覚めた時のわたし。
懐かしい香りに包まれていて、心地よかった。
ゆっくり目を開いたら、わたしは律兄に抱きしめられていて慌てる。

律兄を起こし、腕の拘束を解いて貰ってベッドから出て、洗面所駆け込み身だしなみを整えた。

身だしなみを整えてからリビングに行くと律兄がコーヒーを入れてくれていて、それを飲み、その後近くのカフェでモーニングを食べてから律兄の車で名古屋科学館と名古屋水族館に観光に出かけた。

拓哉とはお出かけデートをした事がなく、名古屋の街を観光した事がなかった。
初めて行く名古屋科学館と名古屋水族館の中学校の修学旅行みたいなワクワクする観光はとても楽しかった。


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