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いきなり晴翔が私のマンションにやって来て、たまたまその日が拓海のライブが京都で行われる日で、冷やかしに行ったらまさかのゲスト出演。
そのまま2人が私のマンションにやって来て、2人はご飯を食べたら疲れて寝ちゃって、そのままにしてたら起きたのが午前11時。
大阪のライブ会場に向かうにも一応アーティストだからシャワーを浴びさせ、サンドイッチを食べさせ、私はマネージャーか?
慌ててたから変装をしてなくて、JRに乗ったら揉みくちゃにされ、新幹線で京都から新大阪へ向かった。

ライブは今までキーボードで参加した事がなかったけど、2人に心配をかけたし、なんとなく出演してみた。

曲作りはだいたいが楽曲プログラムだけど、キーボードとギターはなるべく本物の楽器でレコーディングをした。
だから、キーボードを弾く役が私で、高校から大学の7年間は、週末に近くのスタジオを借りて集まって曲作りからのレコーディングをした。

大阪城ホールで拓海とは別れ、晴翔と私のマンションへ戻る。

晴翔はいつまで京都にいるんだろう。



空き部屋があるから、そこをゲストルームにとパイプベッドと布団を買ってきた、晴翔が…。

2週間いるつもりらしく、ホテルに泊まるよりは安くつくかもしれないけど、私といても楽しくないだろう…。

時間がある時に曲作りをしないで大丈夫なのかとわたしが心配になる。

はじめの3日間は一緒に京都の観光地周りをした。
そして、その後の2日間は行く当てなく、私の部屋にある文庫本を読み浸っていた。

「凛音、明日から2日間、東京ドームで拓海がライブツアー最期の公演するからヘルプで来てって言ってるけどどうする?」

晴翔に拓海からLINEが来たようで、iPhoneを見ながらわたしに言ってきた。

「私は行かないよ。晴翔は行きなよ」

床にモップをかけながらこたえた。

「なら、俺も行かない。凛音がいるなら行こうかと思ったけど」

そう話していたら、私のiPhoneが鳴った。拓海からLINE通話がかかってきた。

『凛音。、お願い。先週のライブ、評判良くて、東京ドームでも同じように盛り上げたいんだ!!』

月曜日の《朝だよTV》の芸能コーナーで取り上げられてたから知ってる。
腐れ縁トリオが全員集合で【俺とあいつが入れ替わった】の主題歌を披露したとなると話題になる。
映画のストーリーを描いたのが私で、歌は晴翔と拓海のコラボ今日で、まさかの全員集合。
私がキーボードで出演した事がかなりの話題になった。

「こないだだけって言ったよね。それに、さすがに東京までは行けないよ」

『新幹線に乗ったらすぐじゃん。それにさ、久しぶりに東京に戻ってこいよ』

拓海の必死のお願いに悩むわたし。

元々、頼まれたら断れない性格で、高校時代と大学時代にライブに出なかったのは、人気者の2人と活動してると、身近な女性達から嫉妬されて嫌な思いをしそうだったから。
晴翔と拓海もそれをわかってくれて、今までは無理強いはしなかった。

今は1人で京都でのんびり暮らす身で、嫌がらせをされる心配はない。

「仕方ないなぁ。本当に東京ドーム公演の2日間で最後だよ。わたしが描いた映画の主題歌だし、今回だけだ付き合う」

土曜の午前10時の新幹線で晴翔と東京へ向かう。
なせが、また戻ってくる気の晴翔は着替えを置いていく。
ひよりを小さな鳥かごに移し、バックに入れて、多めに餌を入れて連れて行く。

ファンに揉みくちゃされるのを避けるためか、グラサンかけてる晴翔。
最近、活動をあまりしてないから、拓海ほど追っかけはいない。
ひよりがいるから、へんに絡まれたら危ないからほっとする。

実家にひよりを預けようとしたら、東京ドームに近いからと拓海のマンションに寄り、置かせて貰うことにした。

東京駅から側のタワーマンションを思い切って購入をしたのは知ってた。
最上階の部屋で、上層階はカードキーか部屋からロックを解除しないとエレベーターで上がれないセキュリティーの高さに驚く。
地下に高級スーパーと駐車スペース、1階に書店と電気屋とブランド店とカフェがある。

タワーマンションの最上階、25階から都内を見る。ベランダがサンルームとか、かなり贅沢な造りに、落ち着かない。

「凛音。ひより、こっちにうつさない?」

なぜか、ひより用の広いケージがよういされてた。
高さの無いハムスター用のケージ。
姫うずらは地べたを歩く鳥だから、ハムスターのケージがちょうどいい。
下に牧草を入れ、砂浴び用の入れ物も入っていた。

ひよりを小さい鳥かごから出し、そのケージに入れたら嬉しそうに走り回っていた。
餌入れと水入れを入れた。

「じゃ、行くか。東京ドーム」

ふと思う。晴翔も拓海も、ライブで着ている服が普段着なのが気になる。

男だから無頓着なのか?

ファンは歌を聴きにきているから、見た目を求めてないと思ってるからなのか?

ひよりを一目見てから、晴翔について、タワーマンションを出て、東京ドームへ向かう。

「東京ドームは広いなぁ」

晴翔が呟く。
収容人数が67000人らしく、かなり緊張する。
後ろの方の席なんて、絶対に音しか聞こえないよね。

「初の東京ドームが拓海のゲストってなんか嫌だな」

学業を優先しているから音楽活動があまりできてない晴翔。
でも、大学時代は同じように活動し、晴翔の方が人気あった。

「リハ、行こっか?」

マイクの音量テストが思ったより時間がかかった。

東京ドームに並ぶ人の数を見た。
やはり、若い女性達が賑わっていた。

1時間前の開門でどっと我先と入ってきたファン達の手には、拓海のうちわだけでなく晴翔のもあった。
東京だから、晴翔もサプライズゲストで来ると思ってだと思う。

東京ドームでのライブは、前回の京都と大阪の比にならないぐらい盛り上がった。
あまりにもきれいな女性達が熱血に歓声をあげてりるから、ゲストで出て行くのが怖かった。

彼女達の目的は、拓海と晴翔だから、私なんて眼中にないけど、2度と出たくないと思った。

サプライズゲストの紹介で、晴翔とステージに立つ。

目をギラギラさせてるキレイ系なファンが晴翔を見て、熱狂する。

愛を叫ぶ人までいて、驚く。
ステージから去りたい。

拓海から、晴翔、私の順に紹介される。
晴翔の時の歓声と違い、わたしの時は一応声を上げてるような感じだった。

引き間違えないようにキーボードに集中する。
ギターを弾きながら歌う美形男子に、ドーム内の女性達はキュン死してた。

晴翔と拓海が絡むと絵になる。

晴翔が【俺とあいつが入れ替わった】の挿入歌を歌う。
大学受験の前、2人と同じ大学に行きたくて必死に勉強をしてたことを思い出して、歌詞を描いた。


2人に追いつきたくて、がむしゃらに頑張ってた。

でも、2人の側にいる事が眩しすぎて、私は、大学卒業の時に離れた。

けれど、晴翔に捕まり、また、こうやって3人、一緒にいる。

ライブ初日は盛り上がった。

ファンが会場から出て、裏門から警備員さんに身守られながら3人でタクシーに乗り込み、晴翔のタワーマンションに向かった。

「東京のファンは熱いな」

「東京で活動場所が近い分、俺たちとの恋とか狙ってるんじゃないか?キレイ系からのアタックが凄くて、怖いよ。自分に自信があるのかもしれないけど、あれは無いわ」

晴翔と拓海の会話。
ファンが怖いから、別のタクシーで実家に帰ろうと思ったら、ひよりが晴翔のタワーマンションにいるから便乗して行く事に。

「明日は、わたし、不参加していい?あの場はきつい」

夜ご飯の準備をしながら、拓海に言う。
地下の高級スーパーで、豪華なオードブルを購入した。
それだけだと野菜不足になるから、新鮮な美味しそうなレタスとトマトとサーモンとホタテの刺身を購入しカルパッチョを作った。

「ファンなんて気にするなよ。俺ら、腐れ縁トリオでずっと一緒に活動してたんだからさ。明日は最終日だから、一生のお願い」

と、わたしに手を合わせて必死にお願いする拓海。
わたし、今まで、キーボードで共演してませんでしたけどっと思いつつ、

「わかった」

と承諾した。
23時のニュースで、拓海の東京ドームライブについて報道していた。
入場前、ファンが列になって並んでる映像は、コンパに参加する本気メイクと身だしなみの女性達ばかりで、取材に便乗して、拓海に告白するツワモノもいた。

おかずをつまみながら、テレビを見て、固まる私達。

「拓海はT大経済学部の院生で、この顔立ちで、プリンスホテルグループの跡取りだもんね。婚活化しても仕方ないから…」

拓海の顔をじっと見る。
拓海はどっちかというと可愛い系のちょっとチャラい感じのイケメン。

晴翔は、その反対で、キリッとした知的なイケメン。

「俺、ファンには手を出してないよ。そういうイメージ持たれてるけどさ…」

感じがチャラいからね。

食事がすみ、片付けをすまし、先にお風呂を借りた。
腐れ縁だからと、男友達の部屋で普通に過ごせるわたしって、どうなんだろう…。

真夏で暑いけど、露出が少ない室内着に着替えた。

部屋に戻ると、パソコンルームで、晴翔と拓海が楽曲プログラムを開き、新曲を作ってた。

時計の針は、午前2時。

「凛音、ゲストルーム案内するよ」

晴翔がパソコンルームをのぞいてる私に気づいて立ち上がって、空き部屋を案内してくれた。

木でできたしっかりしたシングルベッドに、水色のシーツがかけてあった。

隣の部屋も同じように、同じシングルベッドがあり、茶色のシーツがかかってある。

しかも、部屋に鍵が中からかけられるのが嬉しい。

2人は何時まで曲作りをしたかわからないけど、私は先に休ませて貰った。

そして、いつもより遅い、8時に起床した。
ちなみに2人は11時に起きてきて、私が作った和食のブランチを食べ、また、慌てて、ライブ会場へ向かう。

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