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責任逃れ計画 side 相馬涼羽

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『ストーカー男は相馬社長だよ。たぶん、会社とプライベート用のスマホに盗聴器とGPS仕掛けられていて、遠隔操作でネット検索履歴とメールとラインを全て盗み見してると思うよ』

人気恋愛小説家の七瀬ちとせの鋭い推理に身が凍りつく。

部屋中に監視カメラを取り付けてる事やスマホにデータ転送装置を取り付けてる事がバレてしまった。

鈴原も運営メンバーもストーカーに部屋に不法侵入されて下着泥棒と手作りおかずを盗み食いされただけと思っていたのに、さすが小説家、勘がいい。

鈴原の部屋に取り付けた監視カメラは遠隔操作で破壊する事ができる。
スマホに取り付けたデータ転送装置のチップは今、取り外した。

証拠隠滅をし、ほっと一息つく。

鈴原と七瀬ちとせの会話を盗み聞きできてるのは、共犯者に尾行させているから。

「相馬、さすがにやり過ぎだったんじゃないか!!」

「……バレないからとエスカレートしてしまった」

大学時代からの友人でアスカコーポレーション立ち上げ時から俺の片腕として働きてくれた運営メンバー男性陣と、俺がストーカー男ではないと誤魔化すにはどうしたらいいかを銀座のBARのVIP roomで緊急会議を開く。

「社長が従業員女性に不法侵入から部屋内を盗撮していたなんてマスコミにバレたら、アスカコーポレーションは終わりだよ」


****

『ツバサコムの経営は危うい。このままでは倒産してしまう。涼羽、会社を助けるためにお見合い結婚してくれたいか』

ツバサコムの代表取締役社長をしている祖父に言われた。
一族経営のグループ会社を倒産させたくない。
だが、時代錯誤な縁故結婚はしたくない。
仕事で成果を出しグループ会社を立て直すと祖父と約束をした。
35歳までに純利益100億円を達成し、通算3年達成しないと祖父が決めた相手と結婚する。

鈴原に交際を申し込みたかったが、家の事情で別れないといけなくなるかもしれない事から気持ちを伝える事ができなかった。

通算3年100億円超えを達成し、縁故結婚はまのがれた。

経営者としてアスカコーポレーション以外にも通販サイトとインディーズの音楽動画サイトを立ち上げ、合算200億円の総収益を稼げるようになり、鈴原に結婚前提の交際を申し込もうと思った。

3年もの間、俺は自分の欲求を満たすために鈴原の生活全てを盗撮盗聴していた。

「俺らのうち誰かが犯人やるか?」

「俺、妻子いるから、家族を傷つけたくないからできない」

運営メンバー男性陣は鈴原がストーカーによる被害届を警察に出し、俺が逮捕される事を危惧していた。

とんでもない事をしでかしてしまったと後悔している。

「鈴原さんに正直に話して土下座したら許してくれないかな?」

「無理だろう。盗撮してたんだろ?」

鈴原に想いを寄せるようになってから、他の女に欲情しなくなった。
5年間撮り溜めた鈴原の盗撮データは、俺にとって宝物だ。
盗撮動画があったから、ビジネスで成功を掴めた。

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