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ハッピークリスマス
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「結衣、今日の夜、さっぽろホワイトイルミネーション見に行かない?」
クリスマスイブ当日のランチタイム。
将生くんからLINE通話がかかってきて誘われた。
「……お腹冷やしたくないから無理」
『暖房付きの馬車を抑えたから大丈夫。札幌駅前までは部下に送らせるから』
花金のクリスマスイブに、勤め先の御曹司からタクシーに使われる社員さんが可哀想になる。
将生くんと流されて付き合うわけにはいかないから、仕事の納期を理由にクリスマスの誘いは断ってた。
『18時半に迎えにいくから!!ライトアップされた馬車に俺1人で乗るなんて恥ずかしいから、付き合って!!』
断ってるのに、将生くんはデートを強行しようとする。
29日から年始年末休暇に入る。
設計図や書類作成は休み中もできるが、住宅設備機器の見積もりをメーカーに依頼し価格交渉する事が休み中はできないから設備選定に遅れが出てしまう。
「2月いっぱいに仕事を片づけないと困るんだけどなぁ……」
3月28日が出産予定日。
お産が早まる事を想定して、1ヶ月前には退職したい。
将生くんには申し訳ないけど、迎えにきても無視する事にした。
昼からメーカーからの見積に対する折り返しテレビ電話がかかってきて、その対応で時間が過ぎていく。
設備の機能性とデザインについてのデモンストレーションから始まり、価格交渉。
お茶を飲む時間もなかった。
終業時間の18時。
メーカーとのテレビ電話を終え、やっと一息がつけた。
キッチンで温かいミロを入れ、飲みながら着信消音しているプライベート用のスマホを手にとる。
「……えっ、拓磨くんが札幌に!!」
拓磨くんと事前に逢う約束なんてしてない。
拓磨くんから届いた
“18時45分に札幌駅に着く”
とだけ書かれたLINEメッセージ。
パソコンの電源を落とし、コートを羽織って家から飛び出す。
札幌駅まではタクシーで20分。
「結衣、来てくれてありがとう!!」
18時20分。
将生くんがマンションの前に車を停めて待ってた。
「将生くんとさっぽろホワイトイルミネーションは見に行かないけど、お願い、札幌駅まで連れて行って!!」
将生くんの会社の部下の車の後部座席に便乗させて貰い、札幌駅まで向かう。
18時40分。
札幌駅前に到着。
「ありがとうございます!!」
将生くんの部下にお礼を伝え、車から降りた。
「ーー将生くん、ゴメン!!」
さっぽろホワイトイルミネーションのライトアップ馬車が駅前に停まってる。
そこに私をエスコートしようと手を差し出した将生くんを振り払い、私は札幌駅構内に入り、快速エアポートが停まる乗り場に急ぐ。
「結衣、久しぶりだね。年末にかけて接待入れまくられたから札幌になかなか出て来れなかった。元気してたか?」
大きなトランクケースを下げ拓磨くんがJRから降りてきた。
「ずっと連絡なかったから、自然消滅で捨てられたと思ってた!!」
駅の構内で人の目があるのに、列車から降りてきた拓磨くんに抱きつく。
「逢えないのに連絡するのもなっと思って。祖父の介護と仕事で結衣も大変だろうと思って……」
拓磨くんは私に気を使って連絡を入れなかったらしい。
「仕事を調整してリモートで仕事ができる日か週末に札幌に来ようと思ったが、俺も3月いっぱいで馬島を退職する事になってて、それでデベロッパーや協力会社の幹部から呼び出しが多くて東京から離れられなかった。4月からは俺も札幌に移住する」
馬島不動産を辞めて福岡にある実家の神崎不動産に戻ると思っていた私。
「……札幌に移住して、仕事は?」
「実家の仕事をリモートで手伝う。話してなかったが俺の実家、西日本を拠点としてる建築会社を経営してる。……結衣、詳しい話は場所を変えてから話そう」
快速エアポートは利用客が多い。
気づいたら私達の周りに人集りができてた。
「そうだね。……私のマンションに場所変えよう」
恥ずかしくて、穴があったら入りたい。
拓磨くんと手を繋ぎ、速歩きで札幌駅から出た。
クリスマスイブ当日のランチタイム。
将生くんからLINE通話がかかってきて誘われた。
「……お腹冷やしたくないから無理」
『暖房付きの馬車を抑えたから大丈夫。札幌駅前までは部下に送らせるから』
花金のクリスマスイブに、勤め先の御曹司からタクシーに使われる社員さんが可哀想になる。
将生くんと流されて付き合うわけにはいかないから、仕事の納期を理由にクリスマスの誘いは断ってた。
『18時半に迎えにいくから!!ライトアップされた馬車に俺1人で乗るなんて恥ずかしいから、付き合って!!』
断ってるのに、将生くんはデートを強行しようとする。
29日から年始年末休暇に入る。
設計図や書類作成は休み中もできるが、住宅設備機器の見積もりをメーカーに依頼し価格交渉する事が休み中はできないから設備選定に遅れが出てしまう。
「2月いっぱいに仕事を片づけないと困るんだけどなぁ……」
3月28日が出産予定日。
お産が早まる事を想定して、1ヶ月前には退職したい。
将生くんには申し訳ないけど、迎えにきても無視する事にした。
昼からメーカーからの見積に対する折り返しテレビ電話がかかってきて、その対応で時間が過ぎていく。
設備の機能性とデザインについてのデモンストレーションから始まり、価格交渉。
お茶を飲む時間もなかった。
終業時間の18時。
メーカーとのテレビ電話を終え、やっと一息がつけた。
キッチンで温かいミロを入れ、飲みながら着信消音しているプライベート用のスマホを手にとる。
「……えっ、拓磨くんが札幌に!!」
拓磨くんと事前に逢う約束なんてしてない。
拓磨くんから届いた
“18時45分に札幌駅に着く”
とだけ書かれたLINEメッセージ。
パソコンの電源を落とし、コートを羽織って家から飛び出す。
札幌駅まではタクシーで20分。
「結衣、来てくれてありがとう!!」
18時20分。
将生くんがマンションの前に車を停めて待ってた。
「将生くんとさっぽろホワイトイルミネーションは見に行かないけど、お願い、札幌駅まで連れて行って!!」
将生くんの会社の部下の車の後部座席に便乗させて貰い、札幌駅まで向かう。
18時40分。
札幌駅前に到着。
「ありがとうございます!!」
将生くんの部下にお礼を伝え、車から降りた。
「ーー将生くん、ゴメン!!」
さっぽろホワイトイルミネーションのライトアップ馬車が駅前に停まってる。
そこに私をエスコートしようと手を差し出した将生くんを振り払い、私は札幌駅構内に入り、快速エアポートが停まる乗り場に急ぐ。
「結衣、久しぶりだね。年末にかけて接待入れまくられたから札幌になかなか出て来れなかった。元気してたか?」
大きなトランクケースを下げ拓磨くんがJRから降りてきた。
「ずっと連絡なかったから、自然消滅で捨てられたと思ってた!!」
駅の構内で人の目があるのに、列車から降りてきた拓磨くんに抱きつく。
「逢えないのに連絡するのもなっと思って。祖父の介護と仕事で結衣も大変だろうと思って……」
拓磨くんは私に気を使って連絡を入れなかったらしい。
「仕事を調整してリモートで仕事ができる日か週末に札幌に来ようと思ったが、俺も3月いっぱいで馬島を退職する事になってて、それでデベロッパーや協力会社の幹部から呼び出しが多くて東京から離れられなかった。4月からは俺も札幌に移住する」
馬島不動産を辞めて福岡にある実家の神崎不動産に戻ると思っていた私。
「……札幌に移住して、仕事は?」
「実家の仕事をリモートで手伝う。話してなかったが俺の実家、西日本を拠点としてる建築会社を経営してる。……結衣、詳しい話は場所を変えてから話そう」
快速エアポートは利用客が多い。
気づいたら私達の周りに人集りができてた。
「そうだね。……私のマンションに場所変えよう」
恥ずかしくて、穴があったら入りたい。
拓磨くんと手を繋ぎ、速歩きで札幌駅から出た。
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