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健康管理のために同棲

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社長室兼開発室にこもって出てこない翔琉社長。
社長室の奥にお手洗いとシャワー室に休憩室があり、休憩室にシングルベッドがあるから疲れたら寝れるし、冷蔵庫もあるから引きこもり生活を送ることができる。
月曜日の朝礼以降、金曜日の終礼後まで1度も出てこなかった翔琉社長。

同僚達は新装置開発に集中してるから邪魔をしたらいけないと言う。

でも、気になり、金曜日の終礼後に社長室兼開発室のドアをノックした。

でも……応答なし。

翔琉社長のiPhoneにLINE通話をかけても出ない。

思いっきり開けると、翔琉社長は倒れてた。

金曜日はイベントの準備もしくは立ち会いで社員の大半が現場にいて、オフィスにいる社員も終礼後早々に退社して、わたししかいなく、慌ててiPhoneで救急車を呼んだ。

救急車で慈恵大学病院に運ばれた。

「脱水症状と寝不足ですね。いわゆる過労。働かせすぎ。点滴2本入れて意識が戻ったら帰っていいから」

救急医のドクターに言われてホッとする。
意識がなく、青い顔をしてぐったりしてる翔琉社長が死ぬんじゃないかと思って泣いてしまった。

翔琉社長が目を覚ましたのは救急病院に運ばれてから12時間後の朝の7時過ぎだった。

「……ここは、どこ?病院だよね?」

翔琉社長が目を覚まし、あたりをきょろきょろしわたしを見た。

「過労で倒れたんですよ。心配したんですからね!!」

「ごめん」

「しかも、最近、ちゃんと食事をされてないですよね。かなり……痩せた。札幌の雪祭りまでまだ時間あるし、今期詰めて開発しなくても大丈夫でしょ」

翔琉社長は反省してるようだった。わたしの頭を撫でて、申し訳なさそうな表情を浮かべた。

「……俺、どうしても1人だと今期詰めてストイックになるから、澪、俺の世話をして。じゃないとまた俺、倒れるわ。飯どころか水分を補給するのも忘れる。そして、寝ずに開発し続ける」

「……世話する。そうしないと翔琉社長、また倒れるから」

8時30分にドクターの診察を受け、朝食は食べずに病院から出た。

「よし、モーニング食べに行った後、澪の引越しの準備をしよう」

「えっ??」

「俺の世話をしてくれるんだろ?今から俺の補佐として、プライベートと仕事で隣にいて」

新橋駅ビル内のカフェでモーニングを食べ、その後にわたしの部屋へ行き、衣類と化粧品をスーツケースに入れた。
冷蔵庫の中は空っぽ状態だったから、電源を切った。
引っ越しは再来週の週末にする事にし、翔琉君が住んでるタワーマンションに向かった。

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