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国立研究開発国立循環器病研究センターの天才心臓外科医について、日本の医学雑誌に取り上げられていてた。
中高一貫校を卒業して12年経った瀬戸篤志ことあっくんの姿を雑誌で見て、かっこよくなってる彼の姿にときめく。
彼の目力のある端正な顔立ちで知的な感じがする写真をiPhoneで写真を撮り保存したわたし。
彼に会いたい…。
でも、会いにいく勇気が出ない。
「真理子ちゃん、こないだはありがとね」
毎月恒例の医大医師仲間との食事を兼ねての勉強会。
今月は真理子ちゃんも都合をつけて来てくれた。
京都と大阪は近い方だけど、心配な患者さんがいたら、病院にすぐに駆けつけれない所には出ていけない。
他の先生に引き継いでお願いできるけど、人の命に関する事だから、無責任な事はできない。
「田中明子さんの手術は来週の木曜日の夕方からだよ。小さい娘さんがいるからね、絶対に成功させるから安心して」
高度な緊急オペをいつも真理子ちゃん経由で国立研究開発国立循環器病研究センターの循環器外科医にお願いしてるわたし。
いつもの事だけど、今回引き受けてくれたのが、あっくんだから、どんな感じか気になっていた。
「オペしたがる天才心臓外科医がきたから、こっちに遠慮しないで患者を横流ししていいからね。
あの天才心臓外科医、マッハ級で患者の身体を切りまくって、オペ件数を増やしてる。オペは全て成功させてるし、凄い人が来たよ。
まっ、サポートにつくオペナースは悪魔だと泣いてるけど」
「ありがとう。真理子ちゃん」
あっくんが心臓外科医として活躍してるのを聞いて、嬉しく思うわたし。
でも、オペってやっぱりグロテスクなイメージがあるからか、狂気に感じて怖い印象に聞こえてしまう…。
「天才心臓外科医、瀬戸篤志ってどんなやつなん?」
京都の赤十字総合病院で循環器外科医をしている荒木くんが、わたしと真理子の話の中に入ってきた。
「メスが似合う男。見た目はかっこよくて出世頭だけど、喧嘩でもしたらメスで体内をぐちゃぐちゃにされてわからないようにこの世から抹消されそうな狂気を感じる人かな。
あの人、最初はモテてたけど、オペにしか興味ないからか近寄ってくる子達を煙たがって、冷酷極まりない態度で蹴散らせてたから今は変人扱いだよ」
「うわっ、怖っ。同じ心臓外科医だから、いつか会って話をしてみたいなと思ったけど、辞めとこ」
わたしの知ってるあっくんには思えなくて戸惑う。
中高一貫校時代のあっくんは、いつもクラスの中心にいて、明るくて優しい人だった。
「天野、おまえの中高一貫校時代の彼氏も、確か、心臓外科医目指してアメリカの医大に行ったんだよな。
瀬戸篤志みたいになってたらどうする?」
瀬戸篤志がわたしのずっと待っていた彼だと言えないわたし。
あっくんはすごい言われようだけど天才心臓外科医で、今、わたしの事を思ってくれてるかわからないから…。
荒木くんに何度か告白されて断ってる。
夫婦で医師は多い。
それもあり、独り身のわたしにアプローチしてくれる同級生や先輩の医師は多い。
すべて、中高一貫校時代の彼氏との約束を理由に断ってきた。
「どうするも何も、今の彼を受け入れるかな。中高一貫校時代に6年間付き合ってた彼だもん」
「ふーん。俺の入る隙はないか、残念」
あっくんがどんな人になっていても、わたしは、あっくんがわたしを求めて受け入れてくれたら、わたしは今のあっくんを受け入れる。
医大医師仲間との食事を兼ねての勉強会はお開きになった。
「乙葉、日曜日に田中明子さんのお見舞いにくる?」
「うん。そのつもりだけど、来週の事だからまだわからない」
「出てくるならLINEしてね。ご飯行こ」
国立研究開発国立循環器病研究センターに転院してオペを受けた受け持った患者さんに関して、退院後にK大附属総合病院の循環器内科で定期的に検診するのもあり、手術後にお見舞いに行くようにしてる。
そして、オペを執刀して下さった外科医の先生にお会いした際はお礼を伝えるようにしてる。
だから、国立研究開発国立循環器病研究センターの外科医と顔見知りだったりする。
木曜日の夕方遅くに真理子ちゃんからLINEがきた。
[田中明子さんの手術、無事に終わったよ。心臓を開いたら、開くまでわからなかった疾患もあって、無茶苦茶だったけど、あの天才外科医の的確な判断で助かったよ]
田中明子の症状はかなりよくなかった。
他にも疾患を抱えていてもおかしくない。
予想してなかったオペを執刀したあっくんの実力に感動した。
[報告ありがとう。日曜日に詳しく教えて、14時に国立研究開発国立循環器病研究センターに行きます!!]
真理子ちゃんにLINE返信をした。
日曜日、国立研究開発国立循環器病研究センターであっくんに会えるかな…。
真紀子ちゃんから、今のあっくんの話を聞くと、会うのが怖い気もするけど…。
でも、田中明子さんの命を救ってくれた事に対しては感謝の気持ちを伝えたい。
日曜日、午前中は入院患者さんのところに回診へ行き、軽くランチを食べ、JR京都線の新快速に乗って大阪へ、約30分で国立研究開発国立循環器病研究センターの近寄り駅に着き、降りてから歩いていく。
大阪と京都、割と近い。
病棟前で真理子ちゃんと待ち合わせをして、田中明子さんの病室へ向かう。
真理子が白衣を着てたから、休日の回診を午後からしてたんだな。
「今、外科病棟の医局がバタバタしててね。心筋梗塞で倒れたと思われる患者が運ばれて、救急搬送されてオペ。高瀬先生が執刀する事になったんだけど、最近、高瀬先生ばかりがオペするから他の外科医が俺が俺がみたいに立候補して、オペ好きが集まるうちの外科医ってどうかしてる…」
疲れた表情をしていた真理子ちゃん。
「医療ミスが怖くて手術を嫌がるうちの外科医よりは頼りになると思うよ…」
数年前にうちの循環器外科で患者が手術中に亡くなり、それで裁判沙汰になり、結局はそういう事実はなく不起訴になったけれど、あれから外科関係は、高度な手術は受けないようになった。
真理子ちゃんの案内で、田中明子さんの元へ行く。
田中明子さんのご家族も来られていて、わたしが国立研究開発国立循環器病研究センターを紹介してくれたから命を救われたと感謝された。
お土産に、娘さんに絵本とお絵かき帳、お母さんにリップとハンカチを渡した。
「退院後はまたK大附属総合病院の循環器内科の天野先生に定期的に診察して頂きたいですがよろしいでしょうか?」
「はい。お待ちしてます」
15分ほどで病室を出た。
外科病棟の医局の前を通りエレベーターに乗ろうとすると、医局で外科医達が言い争ってた。
「あいつら、まだ言い合いしてる。乙葉、ここで待ってて」
真理子ちゃんがため息をつき、外科医の医局へ入っていく。
真理子ちゃんが一喝して、静かになった。
真理子ちゃんが言い争ってる男性医師達を黙らせて、男性医師を1人連れて出てきた。
「心筋梗塞でぶっ倒れた状態でのオペをあいつらに任せられないから高瀬にさせたら、あいつらが辞めるっていうから…」
「じゃ、医長の啓介がやれば良かったんじゃん」
「いや、助かる可能性が低い患者のオペはしたくない」
真理子ちゃんの彼氏は外科医で、35歳で医長をしてるらしい。
真理子ちゃんの彼氏に丁寧にお辞儀をした。
「初めてまして、田嶋啓介です。ここの医長をしてます。で、真理子とお付き合いしてます」
「初めまして、天野乙葉です。真理子ちゃんとは大学時代から仲良くして貰ってます。
それと、いつもK大附属総合病院からのオペの受け入れありがとうございます。
感謝してます」
「今、オペしたい輩だらけだから、うちにドンドン回して」
「ありがとうございます。助かります」
エレベーターが開き、医師や看護師さん達が出てきた。
「田嶋先生、救急搬送の心筋梗塞の患者助かりましたよ。さすがですね、高瀬篤志。生で手術が見れて感動しました」
ヘルプで入ってたと思われる外科医が田嶋先生に手術の感想を述べた。
かなり興奮していた。
「金子先生、オペ助手ありがとうございました。うちの若い医師達が恥ずかしい所をお見せしました」
少し時間が経ち、エレベーターがまた開いた。
そして、あっくん、らしい男性が出てきた。
オペ後だから疲れてる感じがした。
「お疲れ様、高瀬先生」
田嶋先生が一言、声をかけたのをあっくんは会釈で返して医局に戻ろうとした。
その時に、あっくんと目が合った。
あっくんが立ち止まり、わたしの方を向いた。
「乙葉?」
あっくんに名前を呼ばれて首を縦にふる、わたし。
あっくんがわたしを見て、強張ってた表情が穏やかになっていった。
「田嶋先生、ちょっと出てきていいですか?」
「どうぞ。ごゆっくり」
あっくんが田嶋先生に外出許可をとって、わたしの側まで近づいてきた。
「乙葉、ちょっと着いてきて」
「うん。真理子ちゃん、ちょっとここで待っててくれる?」
真理子ちゃんはわたしとあっくんが顔見知りと知り、驚いてるようだった。
「わかった」
真理子ちゃんから許可をとり、あっくんとエレベーターで1階まで降り、中庭まで歩いていく。
「11年ぶりだね。やっと、乙葉に会えた。K大附属総合病院にいるのは、ここに赴任してすぐにわかったんだけどしょっちゅう呼び出されるから、ここから動けなかった。乙葉がたまに木原先生に会いに来るって噂で聞いたから、それを待ってた」
あっくんの11年前の優しい穏やかな笑顔を浮かべた。
「乙葉、俺との約束を守って、循環器内科医師になったんだね。
乙葉、俺との約束、覚えてる?」
「うん。覚えてる。そのために、1人で頑張ってきた」
あっくんを見上げた。あっくんは、嬉しそうにわたしを見てた。
「俺もそう。アメリカでただ、医学の勉強に明け暮れてた。乙葉、抱きしめていい?オペ後で血生臭いかもしれないけど」
わたしが首を縦にふり、あっくんの前まで歩み寄ると、あっくんが優しくわたしを抱きしめた。
「乙葉、国立研究開発国立循環器病研究センターに来いよ。で、籍を入れて、結婚しよう。お互い医者をしてると病院の側から離れられないし、なかなか一緒にいられない。11年ぶりに会ってすぐだけど、俺の、もう乙葉と離れたくない」
「うん。わたしも、あっくんと離れたくない。わたし、あっくんがアメリカに行って、ずっと寂しかった。13年後に本当にあっくんが日本に帰ってきて、わたしを迎えに来てくれるか不安だった」
「俺もだよ。乙葉可愛いから、他の男に持っていかれないか不安で、だからオペ技術を鍛えて専門医になって日本に帰ってきた。もう、これから日本にいるから。しばらくはお互い別々の勤務先だから一緒になれないけど、大学附属なら3月に辞めれるだろ?国立研究開発国立循環器病研究センターには俺からも口利きしとく」
わたしが真理子ちゃんを待たせてるのと、あっくんもオペ後にカルテ記入をしたりしないといけなかったから、外科の医局へ戻った。
あっくんは医局の中に入っていき、入れ替わりで真理子ちゃんが出てきた。
真理子ちゃんに、実はあっくんが中高一貫校時代に付き合っていた彼で、約束通りに結婚すると報告をしたら驚いてた。
中高一貫校を卒業して12年経った瀬戸篤志ことあっくんの姿を雑誌で見て、かっこよくなってる彼の姿にときめく。
彼の目力のある端正な顔立ちで知的な感じがする写真をiPhoneで写真を撮り保存したわたし。
彼に会いたい…。
でも、会いにいく勇気が出ない。
「真理子ちゃん、こないだはありがとね」
毎月恒例の医大医師仲間との食事を兼ねての勉強会。
今月は真理子ちゃんも都合をつけて来てくれた。
京都と大阪は近い方だけど、心配な患者さんがいたら、病院にすぐに駆けつけれない所には出ていけない。
他の先生に引き継いでお願いできるけど、人の命に関する事だから、無責任な事はできない。
「田中明子さんの手術は来週の木曜日の夕方からだよ。小さい娘さんがいるからね、絶対に成功させるから安心して」
高度な緊急オペをいつも真理子ちゃん経由で国立研究開発国立循環器病研究センターの循環器外科医にお願いしてるわたし。
いつもの事だけど、今回引き受けてくれたのが、あっくんだから、どんな感じか気になっていた。
「オペしたがる天才心臓外科医がきたから、こっちに遠慮しないで患者を横流ししていいからね。
あの天才心臓外科医、マッハ級で患者の身体を切りまくって、オペ件数を増やしてる。オペは全て成功させてるし、凄い人が来たよ。
まっ、サポートにつくオペナースは悪魔だと泣いてるけど」
「ありがとう。真理子ちゃん」
あっくんが心臓外科医として活躍してるのを聞いて、嬉しく思うわたし。
でも、オペってやっぱりグロテスクなイメージがあるからか、狂気に感じて怖い印象に聞こえてしまう…。
「天才心臓外科医、瀬戸篤志ってどんなやつなん?」
京都の赤十字総合病院で循環器外科医をしている荒木くんが、わたしと真理子の話の中に入ってきた。
「メスが似合う男。見た目はかっこよくて出世頭だけど、喧嘩でもしたらメスで体内をぐちゃぐちゃにされてわからないようにこの世から抹消されそうな狂気を感じる人かな。
あの人、最初はモテてたけど、オペにしか興味ないからか近寄ってくる子達を煙たがって、冷酷極まりない態度で蹴散らせてたから今は変人扱いだよ」
「うわっ、怖っ。同じ心臓外科医だから、いつか会って話をしてみたいなと思ったけど、辞めとこ」
わたしの知ってるあっくんには思えなくて戸惑う。
中高一貫校時代のあっくんは、いつもクラスの中心にいて、明るくて優しい人だった。
「天野、おまえの中高一貫校時代の彼氏も、確か、心臓外科医目指してアメリカの医大に行ったんだよな。
瀬戸篤志みたいになってたらどうする?」
瀬戸篤志がわたしのずっと待っていた彼だと言えないわたし。
あっくんはすごい言われようだけど天才心臓外科医で、今、わたしの事を思ってくれてるかわからないから…。
荒木くんに何度か告白されて断ってる。
夫婦で医師は多い。
それもあり、独り身のわたしにアプローチしてくれる同級生や先輩の医師は多い。
すべて、中高一貫校時代の彼氏との約束を理由に断ってきた。
「どうするも何も、今の彼を受け入れるかな。中高一貫校時代に6年間付き合ってた彼だもん」
「ふーん。俺の入る隙はないか、残念」
あっくんがどんな人になっていても、わたしは、あっくんがわたしを求めて受け入れてくれたら、わたしは今のあっくんを受け入れる。
医大医師仲間との食事を兼ねての勉強会はお開きになった。
「乙葉、日曜日に田中明子さんのお見舞いにくる?」
「うん。そのつもりだけど、来週の事だからまだわからない」
「出てくるならLINEしてね。ご飯行こ」
国立研究開発国立循環器病研究センターに転院してオペを受けた受け持った患者さんに関して、退院後にK大附属総合病院の循環器内科で定期的に検診するのもあり、手術後にお見舞いに行くようにしてる。
そして、オペを執刀して下さった外科医の先生にお会いした際はお礼を伝えるようにしてる。
だから、国立研究開発国立循環器病研究センターの外科医と顔見知りだったりする。
木曜日の夕方遅くに真理子ちゃんからLINEがきた。
[田中明子さんの手術、無事に終わったよ。心臓を開いたら、開くまでわからなかった疾患もあって、無茶苦茶だったけど、あの天才外科医の的確な判断で助かったよ]
田中明子の症状はかなりよくなかった。
他にも疾患を抱えていてもおかしくない。
予想してなかったオペを執刀したあっくんの実力に感動した。
[報告ありがとう。日曜日に詳しく教えて、14時に国立研究開発国立循環器病研究センターに行きます!!]
真理子ちゃんにLINE返信をした。
日曜日、国立研究開発国立循環器病研究センターであっくんに会えるかな…。
真紀子ちゃんから、今のあっくんの話を聞くと、会うのが怖い気もするけど…。
でも、田中明子さんの命を救ってくれた事に対しては感謝の気持ちを伝えたい。
日曜日、午前中は入院患者さんのところに回診へ行き、軽くランチを食べ、JR京都線の新快速に乗って大阪へ、約30分で国立研究開発国立循環器病研究センターの近寄り駅に着き、降りてから歩いていく。
大阪と京都、割と近い。
病棟前で真理子ちゃんと待ち合わせをして、田中明子さんの病室へ向かう。
真理子が白衣を着てたから、休日の回診を午後からしてたんだな。
「今、外科病棟の医局がバタバタしててね。心筋梗塞で倒れたと思われる患者が運ばれて、救急搬送されてオペ。高瀬先生が執刀する事になったんだけど、最近、高瀬先生ばかりがオペするから他の外科医が俺が俺がみたいに立候補して、オペ好きが集まるうちの外科医ってどうかしてる…」
疲れた表情をしていた真理子ちゃん。
「医療ミスが怖くて手術を嫌がるうちの外科医よりは頼りになると思うよ…」
数年前にうちの循環器外科で患者が手術中に亡くなり、それで裁判沙汰になり、結局はそういう事実はなく不起訴になったけれど、あれから外科関係は、高度な手術は受けないようになった。
真理子ちゃんの案内で、田中明子さんの元へ行く。
田中明子さんのご家族も来られていて、わたしが国立研究開発国立循環器病研究センターを紹介してくれたから命を救われたと感謝された。
お土産に、娘さんに絵本とお絵かき帳、お母さんにリップとハンカチを渡した。
「退院後はまたK大附属総合病院の循環器内科の天野先生に定期的に診察して頂きたいですがよろしいでしょうか?」
「はい。お待ちしてます」
15分ほどで病室を出た。
外科病棟の医局の前を通りエレベーターに乗ろうとすると、医局で外科医達が言い争ってた。
「あいつら、まだ言い合いしてる。乙葉、ここで待ってて」
真理子ちゃんがため息をつき、外科医の医局へ入っていく。
真理子ちゃんが一喝して、静かになった。
真理子ちゃんが言い争ってる男性医師達を黙らせて、男性医師を1人連れて出てきた。
「心筋梗塞でぶっ倒れた状態でのオペをあいつらに任せられないから高瀬にさせたら、あいつらが辞めるっていうから…」
「じゃ、医長の啓介がやれば良かったんじゃん」
「いや、助かる可能性が低い患者のオペはしたくない」
真理子ちゃんの彼氏は外科医で、35歳で医長をしてるらしい。
真理子ちゃんの彼氏に丁寧にお辞儀をした。
「初めてまして、田嶋啓介です。ここの医長をしてます。で、真理子とお付き合いしてます」
「初めまして、天野乙葉です。真理子ちゃんとは大学時代から仲良くして貰ってます。
それと、いつもK大附属総合病院からのオペの受け入れありがとうございます。
感謝してます」
「今、オペしたい輩だらけだから、うちにドンドン回して」
「ありがとうございます。助かります」
エレベーターが開き、医師や看護師さん達が出てきた。
「田嶋先生、救急搬送の心筋梗塞の患者助かりましたよ。さすがですね、高瀬篤志。生で手術が見れて感動しました」
ヘルプで入ってたと思われる外科医が田嶋先生に手術の感想を述べた。
かなり興奮していた。
「金子先生、オペ助手ありがとうございました。うちの若い医師達が恥ずかしい所をお見せしました」
少し時間が経ち、エレベーターがまた開いた。
そして、あっくん、らしい男性が出てきた。
オペ後だから疲れてる感じがした。
「お疲れ様、高瀬先生」
田嶋先生が一言、声をかけたのをあっくんは会釈で返して医局に戻ろうとした。
その時に、あっくんと目が合った。
あっくんが立ち止まり、わたしの方を向いた。
「乙葉?」
あっくんに名前を呼ばれて首を縦にふる、わたし。
あっくんがわたしを見て、強張ってた表情が穏やかになっていった。
「田嶋先生、ちょっと出てきていいですか?」
「どうぞ。ごゆっくり」
あっくんが田嶋先生に外出許可をとって、わたしの側まで近づいてきた。
「乙葉、ちょっと着いてきて」
「うん。真理子ちゃん、ちょっとここで待っててくれる?」
真理子ちゃんはわたしとあっくんが顔見知りと知り、驚いてるようだった。
「わかった」
真理子ちゃんから許可をとり、あっくんとエレベーターで1階まで降り、中庭まで歩いていく。
「11年ぶりだね。やっと、乙葉に会えた。K大附属総合病院にいるのは、ここに赴任してすぐにわかったんだけどしょっちゅう呼び出されるから、ここから動けなかった。乙葉がたまに木原先生に会いに来るって噂で聞いたから、それを待ってた」
あっくんの11年前の優しい穏やかな笑顔を浮かべた。
「乙葉、俺との約束を守って、循環器内科医師になったんだね。
乙葉、俺との約束、覚えてる?」
「うん。覚えてる。そのために、1人で頑張ってきた」
あっくんを見上げた。あっくんは、嬉しそうにわたしを見てた。
「俺もそう。アメリカでただ、医学の勉強に明け暮れてた。乙葉、抱きしめていい?オペ後で血生臭いかもしれないけど」
わたしが首を縦にふり、あっくんの前まで歩み寄ると、あっくんが優しくわたしを抱きしめた。
「乙葉、国立研究開発国立循環器病研究センターに来いよ。で、籍を入れて、結婚しよう。お互い医者をしてると病院の側から離れられないし、なかなか一緒にいられない。11年ぶりに会ってすぐだけど、俺の、もう乙葉と離れたくない」
「うん。わたしも、あっくんと離れたくない。わたし、あっくんがアメリカに行って、ずっと寂しかった。13年後に本当にあっくんが日本に帰ってきて、わたしを迎えに来てくれるか不安だった」
「俺もだよ。乙葉可愛いから、他の男に持っていかれないか不安で、だからオペ技術を鍛えて専門医になって日本に帰ってきた。もう、これから日本にいるから。しばらくはお互い別々の勤務先だから一緒になれないけど、大学附属なら3月に辞めれるだろ?国立研究開発国立循環器病研究センターには俺からも口利きしとく」
わたしが真理子ちゃんを待たせてるのと、あっくんもオペ後にカルテ記入をしたりしないといけなかったから、外科の医局へ戻った。
あっくんは医局の中に入っていき、入れ替わりで真理子ちゃんが出てきた。
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